川崎市多摩区で事業が行われている登戸土地区画整理事業の進捗状況を見てきました。
川崎市議会まちづくり委員会の答弁によると、2024年6月1日時点の仮換地指定率は98.1%、宅地使用開始面積率は92.6%、道路築造延長率は94.9%となっていて、2024年6月にすべての移転補償物件の撤去が完了したとのことです。また、仮換地指定は2024年度内に完了予定とのこと。
道路築造はほとんどの区間で工事着手済みとなっていて、答弁によると電線共同溝も含めて残工事の完了予定は2027年度とのことです。
土地区画整理事業自体については、2025年3月に換地計画案を作成し、その後縦覧等の手続きを行い、2026年3月頃に換地計画を決定、2026年度上半期に換地処分公告を予定しているとのことです。施行期間は今後期間を延伸し、2036年度末までを予定しているとのこと。
事業概要
登戸土地区画整理事業は川崎市多摩区で事業が行われている土地区画整理事業です。周辺には南武線・小田急小田原線の登戸駅や向ヶ丘遊園駅があります。
施行者は川崎市、1988年3月に都市計画決定、1988年9月に事業計画決定を行い、現在も事業が続けられています。
施行者 | 川崎市 |
施工面積 | 約37.2ha |
事業施行期間 | 1988年9月16日~2026年3月31日 |
2020年9月17日現在 |
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写真等
上記図の番号が、下の小見出し番号となります。撮影位置はその範囲内です。
①向ヶ丘遊園駅北口広場
向ヶ丘遊園駅北口では駅前広場の建設工事が引き続き行われています。
既に1期工事、2期工事まで完了していて、現在は3期目の工事が施工中です。
現在施工中は「向ヶ丘遊園駅前広場整備(3期)工事」で、2026年3月31日までの予定で、長栄・清生共同企業体が施工しています。
今回の工事は主に広場を取り囲む屋根(シェルター)の整備を行うものです。
現在はGINZA FOREST側を囲ったうえで工事中ですが、今後工区を移動させながら、全体的に整備する予定のようです。
広場の整備工事に伴い、バスの乗降場所は順次移動しています。
整備完了後には、一般車乗降スペースも設けられた駅前広場となる予定です。
②登戸1号踏切廃止に向けて小田急が歩道橋整備
向ヶ丘遊園駅の東側すぐの場所にある登戸1号踏切は、もともと自動車も通行できる踏切道でしたが、2023年6月5日から自転車以外の車両通行ができなくなりました。
この時点からすでに予告されていましたが、今後小田急電鉄が横断歩道橋を整備する予定で、整備完了後に登戸1号踏切は廃止される予定です。
③アトラスタワー南側の街路整備
工事件名は「令和6年度登戸土地区画整理事業区画道路8-4号線道路築造等工事」で、2025年3月31日までの予定で、有限会社中神が施工しています。
向ヶ丘遊園駅北口広場に繋がりますが、自動車の通行は制限されるものと見られます。
④登戸駅前広場
登戸駅前では引き続き駅前広場の建設工事が進められています。
現在行われている工事は「登戸駅前広場整備(1期)工事」で、2024年11月30日までの予定で、株式会社三秀が施工しています。現在の工事は1期工事で、電線共同溝と自由勾配側溝等の整備を行う予定です。
工事着手前の暫定整備されていた広場は自動車の入口と出口が別々の場所でしたが、現在は同一箇所(信号のところ)に変更されています。
なお、2期工事も予定されていますが、9月25日に開札予定されていた入札は中止となっています。川崎市の資料によると「非公表の設計金額の公表」と備考に記載されています。
⑤高架下街路再整備中
都市計画道路登戸野川線高架の次の高架にあたるこの道路では、街路の再整備工事が行われています。
工事件名は「令和6年度登戸土地区画整理事業区画道路6-51号線道路築造等工事」で、株式会社石岡組が施工しています。
もともと登戸駅直近で南北を結ぶメインロードで、南武線の踏切を渡り南へ進行するとこの高架に到達したほか、路線バスも通過していました。2024年8月29日に約50m北側に都市計画道路登戸野川線が開通したことで、メインロードはそれに引渡し、9月1日から路線バスルートも変更されこの高架下は通らなくなりました。
この工事では幅員6mに縮小させるなどの再整備が行われています。
工事完了道路続々
これまで宅地移転に合わせて道路整備が行われてきましたが、部分的に未整備だった場所も整備が完了してきています。
⑥の箇所
⑦の箇所
かつて八千代銀行登戸支店があった北側付近も街路が完成し通り抜けできるようになりました。
⑧の箇所
⑨の箇所
この場所は古い津久井道が写真を横切るように通っていた場所で、最後までその道路形状が残っていました。
道路は直角に作り替えられましたが、正面パン店の配置が昔の道路筋を物語っています。
⑩の箇所
(仮称)登戸駅前地区第一種市街地再開発事業
登戸駅前で予定されている(仮称)登戸駅前地区第一種市街地再開発事業では、事業地周辺に柵が囲われ始めました。
市議会答弁によると、市街地再開発組合の設立及び事業計画認可は2024年度内を、工事着工は2025年度下期を予定しているとのことです。
賑わい創出へ
10月27日には、登戸・向ヶ丘遊園駅周辺エリアプラットフォーム準備会などの共催で、「ハロウィンだよ!登栄会!!」と「登戸まちなか遊縁地」の同日開催が予定され、様々なイベントが催される予定です。
都市計画道路登戸2号線や区役所通り登栄会商店街では、居心地がよく歩きたくなるウォーカブルな通りになることを目指し、道路空間が賑わい、憩い、交流の空間となる取り組みが進められる予定です。
かつては路線バスが行きかっていた区役所通り登栄会商店街は一方通行化し、コミュニティロードのような蛇行した白線が引かれています。ただ現時点では、宅地移転等でかつての賑わいとは異なっているような感もしなくもなく、これからの取り組みに期待したいところです。
換地処分に合わせて町名変更へ
ページ冒頭のとおり、登戸土地区画整理事業の換地処分公告は2026年度上半期頃を予定されています。換地処分は、従前の土地に存する権利内容を、換地処分後の土地に移行させるための行政処分のことです。登戸土地区画整理事業の区域では、登戸1丁目~3丁目を新しい地名とする予定で、換地処分の翌日から施行される予定です。
土地区画整理事業は現在は2025年度末までの予定ですが、清算期間のため2036年度末まで延伸する事業計画変更を今後予定されています。(自治体施行の土地区画整理事業ではこのくらいかかるのは普通)
10年位前までいつまでかかるのかと思うような状況でしたが、徐々に土地区画整理事業のゴールの話も出始めていて、事業の完了が徐々に実感としてわいてくる状況です。
撮影日:2024年10月20日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
地元民です。自分でも、記録を撮っておかないと…と思っていた場所を見事に網羅なさってます。永久保存版ですね。