港区で事業が行われている環状第4号線(港南・高輪・白金台)の進捗状況を見て来ました。
品川駅周辺の再開発にあわせ整備が進められており、特に港南地区では、JR線等を横断する橋梁の新設工事が進められています。

事業概要

環状第4号線は港区港南三丁目から江東区新砂三丁目に至る、延長約29,880mの都市計画道路です(支線含まず)。このうち、上記区間で道路を新設する事業が行われています。

品川駅周辺は、近隣で計画されている市街地再開発と並行して事業が行われ、JR線等を高架により横断します。

第一京浜への接続部(側道)は車道中央から分岐する形となります。
幅員は場所によってことなりますが30~33.5mで、車道は4車線(+側道2車線)、両側に歩道等が設けられる予定です。
高輪・港南区間
高輪・港南区間は2019年7月29日に事業認可されました。施行者は東京都で、延長は1,270m、幅員は25.6メートル~33.5メートルです。高輪区間は第一市街地整備事務所が、港南区間は第一建設事務所が担当します。
高輪区間では、沿道整備街路事業も合わせて行われる計画です。
基本データ(街路事業)
| 高輪・港南区間 | |
| 施行者 | 東京都 |
| 延長 | 約1,270m |
| 幅員 | 25.6~33.5m |
| 事業施行期間 | 2019年7月29日~2033年3月31日 |
| 2020年7月29日現在 | |
基本データ(沿道整備街路事業(土地区画整理事業))
| 名称 | 環状第4号線高輪区間沿道整備土地区画整理事業 |
| 施行者 | 東京都(同意施行者) |
| 認可公告 | 2024年2月9日 |
| 施工面積 | 約1.5ha |
| 施行期間 | 2024年2月9日~2033年3月31日 |
| 2025年11月29日時点 | |
最近の発注状況
| 工事 | |||
|---|---|---|---|
| 発注年度 | 工事名称 | 受注者 | 当初契約額(税込) |
| ※これ以前は情報収集していません | |||
| 2020年度 | 街路築造工事のうち街路樹移植準備工事(2一-環4港南) | 株式会社テラヤマ | |
| 2021年度 | 事業PR看板設置工事(3一-環4港南) | 株式会社アルファ―企業 | |
| 2021年度 | 街路築造工事のうち街路樹移植等工事(3一-環4港南) | 株式会社西部緑化 | |
| 2021年度 | 補償代行工事(3一-環4港南) | 雪印種苗株式会社 | |
| 2022年度 | 補償代行工事(4一-環4港南) | 不調 | |
| 2022年度 | 補償代行工事その2(4一-環4港南) | 株式会社マリテックス | |
| 2023年度 | 街路築造工事のうち側道整備工事(5一-環4港南) | 徳倉建設株式会社 | |
| 2023年度 | 構造物撤去工事(5高輪-1) | 大成建設株式会社 | |
| 2023年度 | 歩行者デッキ下部工事に伴うアンカーフレーム製作工事(5一-環4港南) | 矢田工業株式会社 | |
| 2023年度 | 街路築造工事のうち排水管設置工事(5一-環4港南) | 清水建設株式会社 | |
| 2023年度 | 街路築造工事のうち排水管設置工事その2(5一-環4港南) | 不調 | |
| 2023年度 | 歩行者デッキ下部工事(5一-環4港南) | 中央新幹線品川駅新設(北工区)工事共同企業体 | |
| 2024年度 | 環状第4号線橋梁下部工事(6一-環4港南) | 株式会社ノバック | 640,200,000円 |
| 2024年度 | 歩道橋撤去工事(6一-環4高輪) | 昭和工業株式会社 | 63,105,900円 |
| 2024年度 | 環4高輪街路築造及び迂回路工事(6高輪-2) | 有限会社東松建設 | 218,090,233円 |
| 2025年度 | 環状第4号線橋梁(仮称)鋼けた製作・架設工事(7一‐環4港南) | 株式会社横河ブリッジ | 1,223,475,000円 |
| 2025年度 | 街路築造工事のうち擁壁設置工事(7一-環4港南) | 株式会社森本組 | 841,500,000円 |
| 2025年度 | 環4高輪宅地造成工事(7高輪-2) | 2026年2月5日開札予定 | |
| 委託 | |||
|---|---|---|---|
| 発注年度 | 委託名称 | 受注者 | 当初契約額(税込) |
| ※これ以前は情報収集していません | |||
| 2023年度 | 環状第4号線歩道橋施設詳細補足設計(その3)(5一-環4高輪) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | |
| 2023年度 | 環状第4号線橋梁詳細補足設計(その2)(5一-環4港南) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | |
| 2023年度 | 地質調査(その2)(5一-環4高輪) | 株式会社日本インシーク | |
| 2023年度 | 現況補足測量(5一-環4高輪) | 株式会社東邦地形社 | |
| 2023年度 | 環状第4号線橋梁詳細補足設計(その3)(5一-環4港南) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | |
| 2023年度 | 環状4号線工事に伴う総合設計再許可対応業務(5道ー環4) | 株式会社NTTファシリティーズ | |
| 2023年度 | 路床土調査(5高輪-2) | 不調 | |
| 2023年度 | 環状第4号線道路詳細補足設計(その2)(5一-環4港南) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | |
| 2024年度 | 環状第4号線道路構造物詳細設計(その3)(6一-環4高輪) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | 19,415,000円 |
| 2024年度 | 路床土調査(6高輪-1) | 大建基礎株式会社 | 2,937,000円 |
| 2024年度 | 環状第4号線昇降施設詳細補足設計(6一-環4港南) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | 9,845,000円 |
| 2024年度 | 環状第4号線道路予備修正設計(6一-環4高輪) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | 19,470,000円 |
| 2024年度 | 令和6年度 環状第4号線(高輪地区)街区確定等測量(その2) | 株式会社東邦地形社 | 1,265,000円 |
| 2024年度 | 電線共同溝予備及びその他設計(6高輪-2) | 日本エンジニアリング株式会社 | 9,009,000円 |
| 2024年度 | 道路詳細修正及びその他設計(6高輪-3) | 成和コンサルタント株式会社 | 8,822,000円 |
| 2024年度 | 環状4号線軟弱地盤対策詳細修正設計(6一-環4港南) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | 16,940,000円 |
| 2024年度 | 環状第4号線橋梁詳細補足設計(その4)(6一-環4港南) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | 19,910,000円 |
| 2025年度 | 環状第4号線環境影響評価事後調査報告書作成委託(工事の施行中その1の3) | パシフィックコンサルタンツ株式会社 | 7,810,000円 |
| 2025年度 | 環状第4号線道路詳細修正設計(7一-環4港南) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 | 19,800,000円 |
| 2025年度 | 環状第四号線高輪区間 地区事務所新築工事基本設計 | 不調 | |
白金台区間
白金台区間は2020年12月14日に事業認可されました。施行者は東京都です。

白金台区間は幅員25mの4車線となります。
基本データ
| 白金台区間 | |
| 施行者 | 東京都 |
| 延長 | 800m |
| 幅員 | 25m |
| 事業施行期間 | 2020年12月14日~2033年3月31日 |
| 2020年12月14日現在 | |
最近の発注状況
| 工事 | ||
|---|---|---|
| 発注年度 | 工事名称 | 受注者 |
| ※これ以前は情報収集していません | ||
| 2023年度 | 低木植替及び支障根撤去工事(5一建・白金台) | 中田造園株式会社 |
| 委託 | ||
|---|---|---|
| 発注年度 | 委託名称 | 受注者 |
| ※これ以前は情報収集していません | ||
| 2023年度 | 環状第4号線道路構造物予備設計(5一-環4白金台) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 |
| 2024年度 | 環状第4号線道路予備補足設計(6一-環4白金台) | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社 |
この枠内の情報は随時更新されます。記事本文の情報と枠内の情報に時間的差異が生じる場合があります。
進捗状況

現在行われていた工事は以上の通りです。なお、鉄道直上部については、鉄道会社に委託して工事が行われており、その工事の正式な件名は不明です。

撮影位置はこの通りです。(周辺のGoogleマップ)
港南地区(旧海岸通り~第一京浜間)

旧海岸通り~JR線間では、従来4車線だった道路を1車線一方通行に幅を絞った上で、環状第4号線の工事が行われています。
現在行われている工事は、JR線を跨ぐ橋梁の続きと、その橋梁に至るアプローチ部に関係する工事です。看板類は以下の通りです。
| 工事内容 | |
|---|---|
| 工事件名 | 街路築造工事のうち側道整備工事(5一-環4港南) |
| 施工者 | 徳倉建設株式会社 |
| 工事期間 | 2025年12月10日まで |
| 工事概要 | 街渠側溝工、境石工、車道舗装工、歩道舗装工、道路照明設置工、仮設照明工 他 |
この区間の側道を整備する工事です。

| 工事内容 | |
|---|---|
| 工事件名 | 街路築造工事のうち擁壁設置工事(7一-環4港南) |
| 施工者 | 株式会社森本組 |
| 工事期間 | 2027年7月下旬まで |
| 工事概要 | A1橋台構築工、場所打杭工、擁壁工、地盤改良工、排水管撤去工、撤去及び復旧工 他 |
JR線等を跨ぐ橋梁のA1橋台と、それに続く擁壁を整備する工事です。
| 工事内容 | |
|---|---|
| 工事件名 | 環状第4号線橋梁下部工事(6一-環4港南) |
| 施工者 | 株式会社ノバック |
| 工事期間 | 2026年3月12日まで |
| 工事概要 | 橋梁下部工、場所打杭工、コンクリート打設工、排水管設置・撤去工 他 |
JR線を跨ぐ橋梁の、道路部分のP1、P2、P3橋脚下部工事を行うものです。P3橋脚は基礎のみです。
このほか、道路管理者が行う工事に関連して、占用企業者である東京都下水道局と東京電力パワーグリッド株式会社による工事が行われています。看板類は以下の通りです。

この区間では上記看板に示した通り、複数の工事が並行して行われています。
環状第4号線の本線部分は、旧海岸通りからスロープになって徐々に高さを上げていき、JR線等を跨ぐ計画で、写真②付近では、スロープ箇所の擁壁やA1橋台の築造が進められています。

品川シーズンテラスから西側は、本線は橋梁構造となります。現在は、橋梁下部工事が行われているところです。
この部分では、橋梁上部工も発注済みで、工事件名「環状第4号線橋梁(仮称)鋼けた製作・架設工事(7一-環4港南)」で、株式会社横河ブリッジが施工する予定です。

鉄道交差部は、鉄道運行との調整や高度な品質管理を要したり、指揮監督権を明確にするため、鉄道会社と協定を結び、鉄道会社に委託して工事を行うのが一般的です。鉄道会社は工事会社に工事を発注します。
東海道新幹線、横須賀線、上野東京ライン、東海道本線、山手線、京浜東北線、京急本線などを横断する鉄道直上部でも同様に、鉄道会社に委託して工事を行っている模様です。現場には、JR東海とJR東日本の看板が掲出されていました。
JR東海では、リニア中央新幹線の品川駅新設工事が地下で行われており、その工事と合わせて環状第4号線の工事も進められているものとみられます。
この動画によると、P3~P10橋脚(P3~P5橋脚の基礎除く)と上部桁架設をJR東日本が、P3~P5橋脚基礎はJR東海が担当しているようです。
東京都が整備する環状第4号線港南区間の鉄道上空部において、約1800tの橋を約160m送り出す大規模な架設が無事に完了し、港南側へ到達しました!引き続き工事を進めてまいります。
— 東京都 インフラ・まちづくり (@tocho_kouwan) November 25, 2025
事業概要はこちら:https://t.co/HeL0XKzTLO
工事状況の詳細はこちら↓#環4 #街路 #道路 #品川 #土木 #インフラ https://t.co/vJmW8nbjhV pic.twitter.com/zrhkwKzoea
環状第4号線を全体的に見渡せる場所が少ないので詳しい工事進捗がわかりませんが、2025年11月25日の東京都のXのポストによると、桁架設が完了したとのことです。
写真④付近では、地上から環状第4号線に登るための歩行者用の階段・斜路等が設置される予定で、既に杭工事等が実施済みと見られます。
※歩行者デッキ下部工事(5一-環4港南)=中央新幹線品川駅新設(北工区)工事共同企業体
※歩行者デッキ下部工事に伴うアンカーフレーム製作工事(5一-環4港南)=矢田工業株式会社
環状第4号線は、山手線や京浜東北線と交差する上空で、都市計画道路「補助第332号線」「補助第334号線」と交差し、品川駅北側の鉄道の上空に駅前広場が整備される計画です。
2021年公開の道路構造物ジャーナルネットの記事によると、東京都建設局道路監の話として、「旧海岸通りから補助第334・332号線の接続部まで先行して整備を行い、2027年の一部開通を目指しています」としています。

環状第4号線の予定地となる第一京浜沿いのビル3棟のうち、写真右側の1棟は解体され更地になっていました。
ビルの裏側では、京急本線と交差する計画ですが、現在はその部分は桁が架けられていないものとみられます。京急本線は連続立体交差事業が行われており、環状第4号線交差部では現在、効果となっている引上線が地平に変更される予定です。
高輪地区

環状第4号線と第一京浜15が交わる予定部分に架かっていた高輪歩道橋は、撤去工事が行われました。2025年11月16日深夜には、第一京浜の高輪二丁目交差点~品川駅前交差点間を通行止めにして工事が行われています。
この際、品川駅高輪口前にあった品川駅前歩道橋も同時に撤去されました。品川駅前歩道橋は関東地方整備局東京国道事務所が担当しました。
この代替として、横断歩道橋のほぼ真下付近に歩行者横断用の信号機と横断歩道が新設されています。
| 工事内容 | |
|---|---|
| 工事件名 | 歩道橋撤去工事(6一-環4高輪) |
| 施工者 | 昭和工業株式会社 |
| 工事期間 | 2025年12月11日まで |
| 工事概要 | プレキャスト街渠工、中央帯縁石工、植樹帯縁石工、歩道舗装工、中央分離帯舗装工、防護柵設置工、道路照明移設工、階段桁撤去工、通路桁撤去工、支柱撤去工、フーチング撤去工、二次破砕工 他 |
2025年11月29日撮影時点

環状第4号線は、第一京浜15と立体交差したあと、少し小高い位置にあるグランドプリンスホテル高輪前にすりつく計画です。
第一京浜~国道1号間の「高輪区間」は、通常の用地買収方式と合わせて沿道整備街路事業も行う計画です。また、東京都が取得した旧衆議院高輪議員宿舎跡地で、建物の共同化による移転を実施する計画です。
(参考)

沿道整備街路事業は、通常の用地買収方式と、土地区画整理方式を組み合わせた事業手法で、1999年に創設されました。
通常の用地買収方式では、事業用地と関係ない土地は原則買収されません。このため小規模や不成形な残地が残ったりします。
沿道整備街路事業は、用地買収方式の長所と土地区画整理方式の長所を組み合わせることで、土地を入れ替えたり、赤道などの法定外公共物を活用したり、転出希望者の要望に応えたりすることができます。

環状第4号線の南側では、環状第4号線の整備とは別に、再開発事業と土地区画整理事業が進められています。
写真⑦のタマホーム付近一帯では、組合施行の高輪三丁目品川駅前地区第一種市街地再開発事業が、2024年2月20日に組合設立が認可されました。工事は2026年度から行われ、2028年度の建物竣工を目指しています。
写真⑧の左側一帯では、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が施行する品川駅西口土地区画整理事業が2023年6月1日に事業計画の認可を受け、事業が進められています。

東京都が土地を取得した旧衆議院高輪議員宿舎跡地は、土地の中央付近を環状第4号線が通過する計画で、残地は、沿道整備街路事業の換地先としたり、共同化を進める土地として活用する予定です。
現在は、この土地で、議員宿舎の基礎杭の撤去や、暫定道路の整備などが進められています。
| 工事内容 | |
|---|---|
| 工事件名 | 環4高輪地区基礎杭撤去工事(6高輪-1) |
| 施工者 | 岩田地崎建設株式会社 |
| 工事期間 | 2025年12月16日まで |
| 工事概要 | 準備工、片づけ工、構造物撤去工、地盤改良工、基礎杭撤去工 他 |
2025年11月29日撮影時点

高輪区間は現時点で更地などはあまり見られません。
沿道整備街路事業の移転等が進めば、一気に用地確保が進んでいきそうな気がします。
白金台区間

国道1号~目黒通り間は、白金台区間として、通常の用地買収方式で街路整備が進められています。
白金台区間の2025年4月1日時点の用地取得率は9%で、66%となっている港南・高輪区間とは対照的です。

用地取得率の通り、現地では取得済み用地は濃くわずかです。

白金台は日本でも有数の地価の高い住宅街として知られ、2025年度地価公示によると、付近の「白金台3-55-4外」(白金台グロリアハイツ付近)は、470万円/㎡です。住宅地としては日本で3番目に高いです。
地価の上昇率も高く、2024年度から2025年度の1年での公示価格変動率は10.3%です。
こうした地価の高騰は用地取得の遅れに影響を及ぼす可能性があります。

当然ながら付近では工事は行われていません。

設計業務などの委託も、最近では高輪地区や港南地区がメインで、白金台地区ではあまり発注されていません。

白金台交差点付近の店舗も特に変化はありません。
撮影日:2025年11月29日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
















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