2012年より事業を行ってきた多摩3・4・17号坂浜平尾線が11月27日10時に暫定開通しました。
開通記念式典や施設見学会は行われませんでした。
今回開通区間
事業概要と開通区間
今回開通したのは、鶴川街道19と交わる若葉台入口交差点から学園通りまでの区間です。(上図で赤線で示した範囲)
この道路は南北で2つの区間に分けて施行されました。
北側約420mについては東京都が都市計画道路事業として、2012年11月12日より施行してきました。
南側約240mについては稲城小田良土地区画整理組合が、2012年12月25日より土地区画整理事業により施行してきました。
北側東京都施行区間は今回は暫定形での開通となり、車道と東側歩道のみの開放となります。
平尾と若葉台が結ばれる
この道路の開通により、稲城市平尾地区と稲城市若葉台地区が幹線道路で結ばれることになります。
この付近はもともと東京都が坂浜平尾土地区画整理事業を行う予定でした。これは周辺の市街化や立地的条件から開発圧力が高まっていたこともあり、無秩序な開発を防ぐことも目的でありました。坂浜平尾線も同区画整理事業によって整備される計画でした。
しかし、東京都の公的住宅政策の転換や、経済の低迷による採算性の悪化などのため、東京都は土地区画整理事業から撤退しました。その後、小田良、上平尾の両地区で組合施行により土地区画整理事業が行われ、坂浜平尾線は道路事業として整備されることになりました。
稲城市平尾地区は地形的条件などから、稲城市のほかの地域と隔絶されていて、天神通りや学園通りは積雪時には通行止めになることもありました。
坂浜平尾線の開通は平尾地区と稲城市の各所を結ぶ動脈になることでしょう。
このブログでは、道路工事が始まる2014年度(平成26年度)以前より定期的に撮影をしてきました。
当初は「ここに本当に道路ができるのだろうか」といった感じの場所でしたが、やっと開通にたどり着き、嬉しく思います。
開通時の様子
当日は8時頃より若葉台入口交差点付近で見ていました。
当日の朝は、白線をシールで隠したり、すぐに撤去できるカラーコーンで車道を塞ぐなど、用意がされていました。
信号機に被せてあったカバーを取り外す作業が行われました。
この交差点はもともと丁字路で、今回開通した道路向きの車両用信号機のカバーはもともと外してあったため、歩行者用のみカバーを外すことになりました。
若葉台入口交差点はもともと丁字路で、若葉総合高校入口交差点と近接しているためか、片側のみに横断歩道がある交差点でした。
信号機のカバー取り外しと並行して、横断歩道の白線を隠していた被覆養生テープの取り外し作業が行われました。
そして9:05頃新しく横断歩道が追加され、開放されました。
道路工事と直接関係ありませんが、9時過ぎには交差点角に設置してあったコーチャンフォー若葉台店の看板が更新されました。
鶴川街道を走る車に向けて「右折」とあったのを、道路開通に合わせ「右折」の文字を消したようです。
なかなか用意がいいですね。それだけこの付近の商業施設の道路開通への期待感もうかがえます。
9時半ごろ、都職員さんらは道路の南の方へ。安全祈願などを行っていたようです。
開通8分前。
工事企業担当さんや、都職員さんは持ち場についたようでした。近隣住民の方々も集まってきました。
奥には先導のために用いる車両も見えます。
地元選出の前都議、こいそ明氏が記念撮影をしていました。
こいそ氏は坂浜平尾地区で都施行の土地区画整理事業を計画していた時代からこの地域にご尽力された方で、土地区画整理事業の計画凍結後もこの道路の整備についても大きく貢献されました。
右で見ているのは建設局南多摩東部建設事務所所長。
10時ちょうど、歩道を塞いでいたバリケードを撤去し、歩道が交通開放。
永山方面からの道路が青信号になったタイミングで、建設局のパトロールカーの先導で車道も交通開放されました。信号のタイミングの関係で10:01頃。
道路の反対側(新百合ヶ丘側)からも東京都の車両の先導で交通開放されました。
この規模の道路で警察車両が使われないのは珍しいと思います。
交通開放直後、若葉台入口交差点を先頭に渋滞が発生していましたが、数分後には解消していました。
私の経験上、開通直後は見て通る車両や、不慣れから渋滞が発生することが多く、これもそれだと思います。
一方で、この付近は週末を中心に商業施設の出入りなどを起因とする混雑が発生することが多く、この道路が開通以降、どのような車の流れになるか気になるものです。右折信号の設置などは必要かもしれません。
道路の詳細
東京都施行区間は2012年11月に事業着手し、用地買収については2015年10月に完了しました。この近隣でこれほど早いのは珍しいです。
その一方、川あり、山あり、谷ありと、多摩丘陵の複雑な地形があり、橋や擁壁など大規模な工事が必要となりました。
東京都整備区間は暫定開通
東京都施行区間は暫定開通となり、西側歩道の整備が終わっていないため通行できません。
東京都施行区間は東側歩道も暫定整備となっており、植栽や電線共同溝が未整備なほか、舗装も仮舗装になっています。
土地区画整理組合施行区間は概ね完成しているようで、植栽なども設置済みです。両側の歩道を通れますが、西側歩道は東京都施行区間境界で行き止まりになっています。
三沢川を跨ぐ橋梁は「坂平橋」と命名
道路の北側では一級河川の三沢川を橋で渡ります。
橋桁は「プレビーム合成桁」が採用されています。
この構造は桁高が小さいのが特徴で、横から見ると細くスタイリッシュに見えます。
橋の名前は「坂平橋」と命名されました。坂浜と平尾を結ぶことから、両者の頭文字を取ったかたちです。
工事段階の仮称は「坂浜橋」でした。坂浜地区と平尾地区を結ぶことはこの地域の悲願でもあったため、両者の名前が付けられたのはいいなと思います。
ちなみに、橋桁はクレーンによって1本ずつ架設されました。
5%の坂が続く道
鶴川街道から学園通りまでずっと上り坂が続きます。勾配は約5%です。
ちなみに、学園通りが多摩川水系と鶴見川水系の分水嶺になっています。
京王相模原線と交差
v途中で京王相模原線と交わります。京王相模原線を建設した当初から道路の計画を見越して橋梁構造になっていました。
京王相模原線の橋梁の橋台のくいがある関係で、西側の歩道は高い位置に設置してあります。
ちなみに、坂浜平尾線は1969年に都市計画決定し、その後1997年に都市計画変更し現在に至りますが、1997年以前の計画ではもう1つ新宿側の橋脚の間を通す計画だったみたいです。
学園通りとの交差点には横断用信号機を設置
学園通りと交わる交差点には横断用信号機が設置されました。夜間押しボタン式の信号です。
横断用の信号機のため、学園通り側には車両用信号機は設置されていません。
今回の開通により、学園通り側は一時停止が必要となっています。ご注意を。
将来は路線バスを開設
将来は路線バスを開設予定で、バスベイが用意されています。
稲城ふれあいの森に至る私道橋梁も架け替え
稲城ふれあいの森に至る私道の橋梁も、補償代行工事として架け替えられました。
橋は架け替え前の橋と同様に青色に塗られています。
上平尾トンネルの西側歩道も同時に供用開始
稲城上平尾土地区画整理事業地内の上平尾トンネルは2016年5月30日に開通しましたが、西側歩道は通行止めになっていました。今回の開通にあわせ、こちらも供用開始となりました。
上平尾トンネル開通のときの記事
その他
学園通りは交通量が激減か
これまで平尾地区と若葉台地区を結ぶルートとして使われてきた学園通りは交通量が激減したように見えました。
このような道路に大型車両が流入したり、消防・救急車両が通行する足かせになっていましたが、新道の開通はこれらにも効果があったように見えます。
坂浜平尾線沿道には大型商業施設が開業予定
沿道には大型商業施設が出店予定です。
これは野村不動産が宅地分譲に合わせ整備しているもので、当初は2019年春の開業を予定していました。しかし、坂浜平尾線が2度の入札不調により開通が延期されたことから、現在も未開業となっています。
11月27日現在ではオープン日は公表されていませんが、求人募集には「2020年春」との記述が見られます。
2020年1月9日追記
2020年3月6日にオープンすることが1月9日に発表されました。SOCOLA若葉台という商業施設で、三和・ユニクロ・セリア・ミネドラッグ・郵便局など18店舗が入る予定です。
撮影日:2019年11月27日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
過去ログにコメントすみません。
若葉台入口が右折レーン専用信号がない点について、現在、まだカバーはかかったままですが、ようやく設置されたようです!
これで渋滞解消してくれるとよいですねー
右折信号の設置に関しては稲城市のサイトに告知されていて、先週通ったときにはまだ設置されていなかった気がするのですが、設置されましたか!
黄色から赤の変わり目に突破して2,3台しか右折できないことが常態化していたので、ありがたいです。