川崎市麻生区で事業が行われている川崎3・4・4号世田谷町田線(上麻生Ⅱ期)のうち、上麻生交差点で行われていた交差点改良工事(暫定)が完了していました。この工事で右折ポケットが整備されました。
右折レーンがなかった上り線は深夜時間帯を除いて常時渋滞が発生していましたが、完成後は渋滞がかなり改善したように感じます。
事業概要
川崎3・4・4号世田谷町田線は多摩川の多摩水道橋から町田市境に至る都市計画道路です。すべての区間で現道があり、津久井道と呼ばれています。
このうち柿生駅付近では上麻生工区として道路の拡幅が行われています。
道路は幅20mの4車線に拡幅される予定です。
事業はⅠ期とⅡ期に分けられており、それぞれ事業開始時期が異なります。
Ⅰ期 | |
施行者 | 川崎市 |
延長 | 約340m |
幅員 | 20m |
区域変更告示 | 2009年1月26日 |
2020年4月22日現在 |
Ⅱ期 | |
施行者 | 川崎市 |
延長 | 約430m |
幅員 | 20m |
事業期間 | 2019年1月25日~2026年3月31日 |
2020年4月22日現在 |
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写真等
交差点の暫定改良工事が行われたのは、県道3号(世田谷町田)《津久井道》と、県道12号(横浜上麻生)《麻生通り》が接続する上麻生交差点です。
この交差点は、県道3号(世田谷町田)側に右折レーンが存在せず、右折待ち車両を起因として、深夜時間帯を除いてほぼ常時渋滞が発生していました。
交差点付近では、県道3号(世田谷町田)では2019年から道路を拡幅して4車線化する事業が、県道12号(横浜上麻生)では2016年から柿生陸橋を拡幅する事業がそれぞれ着手され、それぞれ用地取得が進められてきました。
このうち、交差点角にあった中古車販売店だった敷地の一部が取得され、2023年に更地になっていました。今回の暫定交差点改良工事は、この中古車販売店だった部分の取得に伴い可能となったものとみられ、将来的には周辺の未取得用地の取得も行い、都市計画道路の整備に合わせてさらなる交差点改良が見込まれます。
工事件名は「都市計画道路世田谷町田線(上麻生Ⅱ期工区)上麻生交差点暫定整備工事」で、2024年7月頃から現場着手をし、株式会社吉孝土建が施工しました。
今回の交差点暫定改良工事では、町田側道路を約1m拡幅。これにより中央線を移動させ、右折ポケットを整備しています。右折ポケットは、右折レーンが整備できるほどの幅がない場合などに設ける滞留スペースのことです。
また、これに合わせて世田谷側の道路のゼブラゾーンの位置を変更したほか、街渠を都市型側溝に変更するなどの工事も行われています。
もう少し右折ポケットを広げられたのではないかという意見もあろうかと思いますが、広げると右折車両と世田谷側から来た直進車両が正面に向き合う形となり危険で、現時点で用地取得した部分でそうした整備は不可能と思われます。
設置された右折ポケットの様子
改良完成後、平日7時ごろ、15時~16時ごろ、19時ごろ3回、と訪問しましたが、いずれの時間帯も町田側に伸びていた渋滞がかなり解消していました。
右折ポケットの幅は4.5mで、普通乗用車程度であれば横に並ぶことが可能です。
ちなみに、町田側に約500mいったところにある藤の木交差点の右折ポケットも同程度の幅です。
大型車両が来ると横並びはほとんど不可能となります。(参考に一般的な普通乗用車の幅約1.7~1.8m、20tトラックの幅約2.5m)
主要地方道どうしの交差点ながら特大・大型車両はさほど多くはなく普通乗用車が多い道路なので、比較的スムーズに流れていました。ただ、ときどき来る大型車や、右に寄るのがあまい乗用車が来ると、右折詰まりが発生していました。
右に寄るのが甘い車両に対して右折ポケットの存在を周知するため、右・直進矢印を手前にもう1組設置したほうがよさそうに感じました。
それと、今書かれている矢印は「左直・右」になっているんですが、「左」は正解なんですかね。左の急坂は交差点外なので、左は不要だと思います。
写真に川崎市の車両が写っていますが、この日は早朝と夕方に市役所の人が交通量の調査をしていました。
世田谷側のレーン状況
世田谷側はゼブラゾーンを移動させ、直進レーンを従来より左側に寄せる形に変更となりました。
また、街渠を都市型側溝に変更し、左に寄りやすい形になっています。
柿生陸橋は変化なしだが、信号現示(青の時間)を変更か
県道12号(横浜上麻生)の柿生陸橋も深夜時間帯を除いて常時500m程度渋滞が発生していました。
今回の交差点改良以降、時間帯にもよりますが、渋滞が短くなったように感じます。(偶然かもしれないが平日朝7時頃、昼12時過ぎ、夜19時頃は渋滞長100m程度になっていた。夕方は16時ごろは300m程度の渋滞が発生。)
今回の交差点暫定改良工事では、この道路自体には手を付けられていませんが、上麻生交差点の信号現示が変更された可能性があります。
6月に計測した時には柿生陸橋側の青信号が約25秒だったものが、約35秒に伸びていました。世田谷町田線側は大きく変化はなし?(ただしサイクルによって数秒程度の変動があり。時間帯・交通量・車両位置等によって可変させていると見られる)
ただ、上麻生交差点の信号現示の1サイクルは約120秒(数秒の変動あり)なのに対し、都県境を挟んで約100m隣にある東京都側の無名交差点の1サイクルは90秒で、互いの交差点の赤・青がちぐはぐになる場面が見られます。非常に無駄なロス時間を生んでいるように思います。
県を跨いだ交通管制のやりとりがされているのかわかりませんが、できるものならどちらかに管制を委任するなど、県を跨いだうまい連携を取ってほしいものです。(東京都側無名交差点の1サイクルを上麻生交差点と同じ長さ(約120秒)にしても差し支えないと思いますけどね。)
柿生陸橋の脇に設置された箱型のものは、尻手黒川道路のトンネル工事で使用する生コンを製造するためのバッチャープラントです。
橋の増設工事ではありません。
町田市側に大きな恩恵
今回の交差点暫定改良工事は、とりわけ町田市側に大きなメリットがあったものと思われます。
町田市議会でもたびたびこの交差点を含めた整備が質問されてきました。
見ていた時間の範囲では、町田市側は車は流れていました。今回見たのはいずれも晴れた平日なので、これが雨だったり、土日になると変わってくるかもしれませんが、しばらく様子を見たいと思います。
ただ、鶴川駅周辺には渋滞要因が複数あり、抜本的解消には程遠いような気がします。
東京都側の拡幅は、1996年に策定された『多摩地域都市計画道路の第二次事業化計画』、2006年に策定された『多摩地域における都市計画道路の整備方針(第三次事業化計画)』、2016年に策定された『東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)』において、東京都が施行する予定の優先整備路線に継続的に選定されていますが、現時点では事業認可されていません。(第一次は手持ち資料がないため不明)
新百合ヶ丘駅方面については、現在、麻生警察署付近まで4車線化事業中で、片平付近~麻生警察署付近の4車線化切替え工事が入札されており、早ければ来年にも片平以北は4車線化するかもしれません。
撮影日:2024年11月11日~14日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
左直・右の左はその坂道ではなく、上麻生交差点内から山に上っていく坂道の方だと思います
その道はマンションの私道であるため、なおのほど案内する意味がありません。
この道路、何度も通ったことがあるのですが、深夜・早朝を除いてほぼ一日中渋滞しているので、車では絶対に通りたくないです。私はバイクなのですり抜けることも出来ますが、すり抜け対象の車と歩道の縁石との余地が殆どないので、思った以上にすり抜け出来ません。
ここの拡幅が完成しても、その先、百合ヶ丘駅⇔根岸陸橋の間が狭いので、今度はその区間の渋滞が激しくなりそうな気がします。しかも、拡幅するにも南側にある小田急の線路に挟まれた狭い土地に建物がいっぱいあり、新しい建物も見受けられますから、用地買収は困難を極めそうです。
百合ヶ丘〜根岸陸橋間は、市議会議員の中でも拡幅要望の大きい路線ですが、仰るように地形的な条件が大きく、また小田急線があることなどからかなり制約があるようです。
小田急線の地下連続立体化を求める声もありますが、人口減少が進み、コロナを期に小田急は大減便をして未だに戻してないことを考えると、連続立体交差事業は市の道路事業の一環とはなるとはいえ、鉄道会社にも10数%の費用負担を求められることから、なかなか事業はされないと思われます。特に川崎市はこれから南武線の立体化をやるので、向こう30年くらいはやらないでしょう。
せめて交差点の前後だけでも用地買収を伴った交差点改良をして流れをスムーズにして欲しいものです。