世田谷区の二子玉川地先で行われている、多摩川の堤防工事の進捗状況を見てきました。
工事は進んでいて、まもなく完成となりそうです。
この場所では、2019年の台風19号(令和元年東日本台風)により溢水し、周辺では被害を受けました。
この付近は堤防のない区間となっていて、台風以前より堤防の整備について議論がされていました。台風の被害をうけ、多摩川では「多摩川緊急治水対策プロジェクト」が実施されており、二子玉川のこの部分においても、2020年度から国直轄の堤防の整備が行われています。
現在行われている工事は「R3多摩川左岸二子玉川築堤護岸工事」で、2024年6月28日までの予定で、日本国土開発株式会社東京支店が施工しています。(6月15日時点)
2021年度から複数年かけて続けられている工事です。
既に低水護岸や高水護岸の整備は進んでいて、現在は堤防の天端や斜路の整備を進めているように見えました。
①二子橋付近
大型土嚢が置かれた無堤部だった二子橋及び田園都市線直下にも堤防が築造され、下流側の堤防に接続されています。
この日の時点では堤防は開放されておらず、この部分で堤内外の行き来はできませんでした。
なお、二子橋の桁高さが低いため、この部分の堤防は計画高水位(H.W.L)と同じ高さの暫定堤となっています。また、この先下流の二子玉川公園付近まで同様に暫定堤となっています。
※堤防は計画高水位に余裕高さを見た高さが完成高さとなります。
二子橋の上流部は土堤部となり、計画高水位(H.W.L)から余裕分を見た完成高さまで整備がされています。
この部分で野川を横断していた兵庫橋は、下流側約60mの位置に架け替えられ、2023年春ごろに部分的に開放されました。
新しい橋の名前は不明です。
幅員が広くなり、現在は2/3ほどを工事用通路として使用しています。
②特殊堤部(マンション横)
その上流部、マンションに挟まれた狭い区間は、逆T型擁壁等による特殊堤部となり、すでに擁壁の築造は完了している模様です。
写真のコンクリートがその堤防です。
この部分も堤防上に通路を設ける計画のようで、現在はその工事が行われているようでした。
なお、マンションが近接するためプライバシー配慮のため植栽等を行うようです。
堤防整備前は本当に堤防がない区間でしたので、ずいぶんと様変わりしました。
③新二子橋上流部
新二子橋から上流部は土堤部となり、計画堤防高まで整備が行われています。
現在は天端等の整備を行っている模様で、交通開放はされていません。
この区間は並行する都道も非常に狭い区間なので、管理通路が開放されると歩きやすくなりますね。
野川でアクリル防水壁設置へ
二子玉川で多摩川に合流する東京都管理河川の野川では、合流部~新井橋までの多摩川背水区間で、アクリル防水壁を設置する工事が始まっています。
この部分の野川は、野川自己流による計画高水位及び多摩川計画高水位を満たす護岸が整備済みですが、多摩川計画堤防高を満たしていないため、その分をアクリル防水壁で嵩上げするものです。
工事は複数に分けて発注される予定で、既に「野川整備工事(その201)」で、吉澤橋、野川水道橋、天神森橋のアクリル防水壁設置が完了しています。
※施工は株式会社瀧澤建設、工期の変更がなければ2024年5月21日まで。
吉澤橋については、工事前からこれよりも1mほど高さの低いアクリル防水壁が設置されていましたが、それを撤去したうえで高さの高いものに交換されています。
上流に向かうほど標高が高くなるので、当然アクリル防水壁の高さも低くなっています。
東京都資料によると、護岸改修よりも容易であることや、眺望の観点からアクリル防水壁を採用したようです。近隣だと横浜駅近郊の石崎川や、板橋区の新河岸川でも採用実績があります。
吉澤橋に設置されているアクリル防水壁は、内部にナイロンコードなどがない非常にクリアなもので、眺望性は優れているものの、クリアすぎて鳥などがぶつからないか気になりました。
現在は、吉澤橋下流左岸で、同様の工事が行われています。
工事件名は「野川整備工事(その202)」で、2024年12月9日までの予定で、株式会社瀧澤建設が施工しています。
今回の工事は既存護岸をコンクリート等による嵩上げも行われています。
その他の区間は現在も未着工です。
今年度の年間発注予定には、この付近の住所を施工箇所とする「野川整備工事(その203)~(その205)」が掲載されており、施工内容は書かれていないものの、同様の工事と見られます。
撮影日:2024年6月15日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
多摩川工事するのならば、ついでに草刈りもしてほしいです。
別発注でやっていると思います。
ツタ類は生育がかなり早く、1ヶ月経つとモッサモサになります。