川崎市麻生区で事業が行われている川崎3・4・9号尻手黒川線(Ⅳ期)のトンネル工事の様子が公開されたので見て来ました。

事業概要
川崎3・4・9号尻手黒川線のうち、上図に示した区間では4期区間として事業が行われています。
延長は約680m、幅員16mの2車線で、一部区間にトンネルを含む構造となります。
基本データ
施行者 | 川崎市 |
延長 | 約680m |
幅員 | 16m(一部を除く) |
事業施行期間 | 2009年11月24日~2029年3月31日 |
2025年3月28日現在 |
最近の発注状況
工事 | ||
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発注年度 | 工事名称 | 受注者 |
※これ以前は情報収集していません | ||
2021年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造(切廻し道路)工事 | 株式会社重田組 |
2021年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造(擁壁)工事 | 織戸・追川共同企業体 |
2021年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造(擁壁その2)工事 | 株式会社織戸組 |
2022年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造(擁壁その3)工事 | 月野・高津共同企業体 |
2022年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造(水路撤去等)工事 | 不調 |
2023年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造(水路撤去等)工事 | 株式会社佐藤工務店 |
2023年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造(トンネル)工事 | 西松・森本共同企業体 |
2025年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造工事 | 重田・重田造園共同企業体 |
委託 | ||
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発注年度 | 委託名称 | 受注者 |
※これ以前は情報収集していません | ||
2021年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線(トンネル部)道路詳細設計委託 | 大日本コンサルタント株式会社 横浜営業所 |
2021年度 | 麻生区内市道尻手黒川線道路防護(設計)委託 | 株式会社カナコン |
2022年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線環境(水位・水質)調査委託 | 株式会社カワコン |
2022年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線雨水浸透阻害対策等詳細設計委託 | 株式会社アジア共同設計コンサルタント |
2023年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線(トンネル部)家屋事前調査委託 | 株式会社アイマーク |
2023年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線家屋事後調査(その2)委託 | 株式会社ライズ |
2024年度 | 麻生区内都市計画道路尻手黒川線高低差処理等詳細設計委託 | 株式会社間瀬コンサルタント 川崎営業所 |
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この道路の記事一覧
トンネル内の様子

トンネル工事は、片平2丁目交差点と県道137号(上麻生連光寺)の間の区間で行われています。
この区間は柿生緑地となっている小高い山があり、東側を山岳トンネルで、西側を開削トンネルでトンネルを築造しています。
今回、お祭りで公開がされたのは、東側の山岳トンネル部で、片平2丁目交差点からトンネル切羽まで、出入り自由で見学できました。ここまで自由な見学ができるのはかなり珍しいと思います。

なお、当初設計では、山岳トンネルは約182.0m、開削トンネルは約97.5m、さらに山岳トンネルの東側の高低差がある区間に自立式鋼管杭擁壁を設置する計画でした。
川崎市議会議会録によると、工事発注後、自立式鋼管杭擁壁設置箇所に新たに軟らかい地盤があることが判明し、当初設計の擁壁では耐力が持たないことから、検討の結果、山岳トンネルを延伸し約189.5mとする設計変更が行われています。
また、この変更に伴い、工期を約9ヶ月延伸する予定であることが、既に市議会で報告されています。

トンネル坑口前には、お祭りの出店がありましたが割愛します。
トンネルに向かって右側は自立式鋼管杭擁壁で、既に設置が行われています。鋼管の表面には化粧用のコンクリートを打設する計画ですが、現在は未施工のようです。
左側の擁壁(鉄板と白いシートがかぶさっている)は、2022年度に「麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造(擁壁その3)工事」で施工が完了しています。

こちらが坑口です。トンネル内は2車線で、両側に幅2.5mの歩道が設置される計画です。

トンネル内には建設機械などが展示されていました。
山岳トンネルは、NATM工法で建設されています。掘削中の全線にわたって吹付けコンクリート・鋼アーチ支保工建込みなどが行われている状態で、覆工コンクリートの施工はまだのようでした。
施工ヤードは比較的狭く、使用するコンクリートのバッチャープラントは、ここから約900m離れた柿生陸橋脇に設置されています。

こちらがトンネル掘削の先端、切羽です。
現場の市職員によると、坑口の緑色の幕から130mまで掘削したとのことでした。

別角度から

トンネル自体はそれほど長くはありません。
川崎市資料によると、今年12月にはトンネルが貫通する予定で、その後、インバート工、覆工、校門工を行ったあと、その他工事を行い、2026年12月にはトンネル工事は完了する予定です。
なお、トンネル内の舗装など街築工事は別途発注となるため、道路の開通はさらにあとになると見られます。
展示重機の紹介
トンネル内で展示されていた重機です。(一部割愛)
なるべく工事の順となるように掲載します。
その他の区間

その他の区間の写真撮影位置はこの通りです。

西側は大型ボックスカルバートによる開削トンネルとなる計画です。
一度上から山を切り開いた後、箱型のトンネルを建設し、埋め戻す工法です。
現場では既に仮設構台が設置され、掘削が行われています。覆工板があって中の様子はよく見えませんが、将来の道路面まで掘削している箇所が多いように見えました。
中に足場を設置してあるところもあり、一部は鉄筋を組んでいるようにも見えました。
工事に伴い、一部道路が付替えられています。

こちらに仮設構台への出入口があります。

トンネルの西側は現道を拡幅する区間です。
既にいくつかの工事が行われ道路が切回されているほか、占用企業者による管路等の付替え工事も施工されています。
この部分では次期工事が既に発注済みです。工事件名は「麻生区内都市計画道路尻手黒川線道路築造工事」で、重田・重田造園共同企業体が施工する計画です。
まだ現場着手はしていないようで、看板類は見当たりませんでした。7月契約なのでそろそろ現場に入っても良さそうなのですが。
入札情報サービスによると、工事期間は2027年3月31日までとなっています。
図面によると、この工事では、写真④付近~写真⑥付近の区間、すなわち拡幅区間をほとんど完成形まで整備する模様です。

電線共同溝も整備する計画で、無電柱化する予定です。
残る、写真④交差点部やトンネル部などは別途工事の予定で、全体の完成はさらに先となります。
撮影日:2025年10月11日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
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