国道20号 八王子南バイパスの建設進捗状況を見てきました。記事にするにあたって国土交通省関東地方整備局相武国道事務所にも行って話を聞いてきました。
八王子南バイパスとは
八王子南バイパスは八王子市北野町から八王子市南浅川を結ぶ全長約9.6kmの道路です。都市計画道路名称は八王子3・3・2号東京八王子線。
事業者は国で、国道として整備が計画されています。現在既に暫定的に整備されている部分は市道となっている部分もありますが、将来は国道となる見込みです。開通時期は「お答えできない」として現時点では未定・非公表のようです。2021年4月27日付の記者発表により、八王子市大船町~館町間(ロピア付近より以西)について、今後5か年程度での開通と発表されました。
道路規格は第4種第1級で、本線部分は往復4車線、設計速度は60km/hで計画されています。現在の国道20号のバイパスとして建設が進められています。
なお、現在のように高尾山インター方面に至るルートは、1997年2月24日の都市計画変更によって決定されました。
それまでは北野町から西へそのまま伸び、現在の椚田遺跡公園通りが八王子3・3・2号で町田街道とぶつかる予定でした。
この都市計画変更によって椚田遺跡公園通りの東側区間や八王子3・4・8号大塚小比企線などのルートも一部変更された他、同時に八王子1・3・1号首都圏中央連絡道路(圏央道)の高尾山インター(当時は八王子南インターという仮称だった)~神奈川県境間も都市計画決定されました。
八王子南バイパスは大部分が他の幹線道路と立体交差する計画で建設されています。
施行者 | 国 |
延長 | 約9.6km |
幅員 | 22~51.6m |
事業化 | 1997年度 |
部分開通 | 町田街道~高尾山インター間 約2.6km 2010年7月31日15時 |
都道八王子城山線~市道めじろ台寺田線間 約300m 2015年3月27日14時 | |
2020年5月7日現在 |
八王子南バイパスの東側では、別に日野バイパス(延伸)、日野バイパス(延伸)Ⅱ期の事業が行われています。日野バイパス(延伸)・Ⅱ期については下記をご覧ください。
第4工区
第4工区は圏央道高尾山インター~町田街道間です。
この区間は2010年7月31日に開通しました。
多くが山岳トンネルである「浅川トンネル」で、片側2車線のトンネルが2本あります。歩道は設けられていないため、自転車や歩行者は通り抜けることができません。高尾駅方面から甲州街道を迂回する必要があります。まぁ通り抜ける需要もなかったからでしょう。なお、旧町田街道とは立体交差で接続はありません。
第3工区
第3工区は町田街道~都道506号線間の約2.5kmです。
この写真は町田街道と交わる医療センター入口交差点を高尾山インター方面に撮影したものです。
交差点部分は谷になっていて湯殿川が流れています。
奥の浅川トンネルから出てきた八王子南バイパスは現在は側道部のみ開通している状態で、将来的には中央に橋梁(館高架橋)を建設し町田街道と立体交差する計画です。
現在はその橋梁の一部の橋脚設置と、館ヶ丘団地側の擁壁設置工事などが行われている状況でした。
特に現場に設置されていた看板によると、橋脚設置工事は「八王子南バイパス館高架橋下部(その4)工事」で、P2、P3、P5D、P6U橋脚4基の建設が進められていました。
館ヶ丘団地側で進められている擁壁設置工事は「八王子南バイパス館町改良(その2)工事」で、八王子南バイパス建設に必要な道幅にするため、それまであった法面を削り幅を広げています。
現場は大きな半円状の擁壁が並び、かなり威圧感のある状態となっていました。
この部分は側道部が館ヶ丘団地側にやや広がる形状になるようです。
なお、八王子南バイパスの計画線は館小学校北側の市道と重なるため、将来的には市道を付け替える補償代行工事を行う予定だそうです。既にそれに向けた工事も進められていて、1年もしたらこの辺の景色はより一層変わっているのだと思います。
医療センター交差点付近から高尾山インター方面を見ています。現在は八王子市の市道として供用されています。
八王子南バイパスの本線は高低差を利用して途中からトンネル構造に変わり、側道はそのトンネル上部に建設される計画のようです。現在は、そのトンネルに関連するような大規模な工事は行われていませんでした。
八王子市の市道として供用されている区間は、都立翔陽高校の東側までです。この写真はそこから日野方面を見ています。
現在はこの先の山を切り崩し、工事用道路を建設しているようでしたが、よく見えなかったのでどうなっているのかわかりませんでした。
仕方がないので、迂回してこの反対側へ行ってみることにしました。
この写真はゆりのき台の西側の道路(横山681)から高尾山インター方面を見たものです。1枚上の写真を反対側から見ている状態です。
奥の山の木は切り倒され、その奥では大きく造成している様子がわかります。山の手前側も工事用道路がグネグネと造られているのがわかります。
手前の谷には湯田川が流れています。
国交省のパンフレットには、奥の高尾山インター方面から来た八王子南バイパスは掘割式で湯田川を越えることになっていますが、館町団地の自治会がホームページ(https://tatemachidanchi.jimdo.com/南バイパス道路対策委員会/)に掲載している(2017年8月21日現在)説明会資料によると橋梁となっていて、ここはどのような構造になるのか気になるところです。そのページに掲載されているイメージ図もパンフレットの図と構造が異なっています。
この写真は、1枚上の谷にある湯田川から日野方面を見たものです。
ここからトンネル構造となりゆりのき台を突き抜けます。本線はゆりのき台の道路と直接接続しないようで、側道がトンネルの上部に建設されます。
写真中央付近に写っている家がある道路は横山681で、この道路は橋梁に変更されて本線・側道ともに立体交差となる計画です。
トンネル工事は既に始まっています。名称は現時点では「館第1トンネル」となっています。トンネルは当初の計画では開削で建設予定だったらしく、相武国道事務所でもそう説明を受けましたが、現場の工事看板等にはシールドで建設すると貼り紙がありました。
シールドマシンはこの写真の場所から発進しゆりのき台を貫通、その後転回し反対側の車線のトンネルを掘って戻ってくる計画です。
ゆりのき台は団地建設当初から道路用地を確保していました。
ゆりのき台のトンネル上部には側道が平面で建設される予定です。
この先は見えている山を越えて都道にぶつかったところで第3工区が終了します。
めじろ台グリーンヒル通り~都道506号線間の約0.3kmは2015年3月27日に暫定2車線で開通しました。この区間は既に国道指定となっています。
第2工区
第2工区は都道506号線~北野街道までの約2.5kmです。この区間は八王子みなみ野シティ(八王子ニュータウン)などの開発により、既に2車線で開通しています。
この写真は、都道506号線の東側のロピア前から高尾山インター方面を撮影したものです。
谷にあるのが都道506号線で、その奥は2015年3月27日に暫定2車線で開通しました。将来は橋梁構造となって都道506号線およびめじろ台グリーンヒル通りを越えることになります。
手前(日野方面)にかけてはこの辺りから掘割構造となっていく計画です。
掘割式の例(環境影響評価書を参考に作成)
現在は、八王子市道が2車線で開通しており、一部で副道のような街路も設けられている状況です。付近では大きな工事は見受けられませんでした。
上の写真とほぼ同じ場所から日野方面を見ています。
現在は北野街道まで2車線の道路が続きます。この場所では右側(南側)には道路用地として大きな空き地が残されています。現在は2車線ですが、信号機も少なく、交通量もそれほど多くないため快適な道路でした。
八王子市立みなみ野中学校の北西側、ミニストップ八王子小比企町店付近から日野方面を見ています。
この付近も暫定2車線で開通済みで、片側に大きな空き地が残されている状況です。このような現況は北野街道交点まで続くことになります。
将来の国道化を見据えてなのか、沿道にはガソリンスタンドのようなロードサイド型の店舗もちらほら出店していました。
北野街道の南側、日帰り温浴施設(スーパー銭湯)から日野方面を撮影したものです。
この付近も片側に2車線で暫定開通し、副道のようなものも整備されている状況でした。中央部は道路用地として確保されていますが、かつてはここに車道があったのか路面が残されていました。
この付近から日野方面にかけて橋梁形式となって、北野街道を越える計画です。現在は用地取得が進められており、大きな工事は行われていません。
環境影響評価書に掲載されていた完成予想図はこのような感じです。この図のカーブ右側が温浴施設がある付近です。
同様に、温浴施設付近から反対側の高尾山インター方面を撮影したものです。
手前の北野街道にかけて比較的急な坂道が続いています。高尾山インター方面から掘割構造で来た本線は、比較的フラットに橋梁形式になっていくのではないかと予想できます。
環境影響評価をした20年程前と比べると住宅も立ち並んでいることがわかります。
北野街道と交わるつどいの森入口交差点から日野方面を見ています。
八王子南バイパスはこの交差点を直進後、すぐに右(東)方向に進路を変えトンネルになります。
本線部は北野街道と橋梁で立体交差しトンネルに突入しますが、側道部は北野街道と平面交差後トンネル内で本線と合流する計画のようです。
トンネルは第1工区内はずっと続くようですが、鉄道との交差部などの施工方法など詳細は決まっていないようです。
この交差点付近では用地取得が続けられていました。
第1工区
第1工区は北野街道~国道16号八王子バイパスまでの約2.0キロの区間です。
京王高尾線の北側から高尾山インター方面を見ています。
北野街道から京王高尾線の南側にかけて急な崖になっていて、京王線高尾線は崖上部を切通しのように通っています。写真には京王高尾線の架線柱の一部が写っています。
八王子南バイパスはこの付近からトンネル構造となります。また、北野街道から野猿街道の西側までは既存の道路がないため、用地取得が進められています。
京王片倉駅の西側から日野方面を見ています。
この付近の計画幅員は22mです。少しづつ左にカーブします。ゆるい逆S字カーブを描くような感じです。
国道16号東京環状を橋本方面に見ています。正面に京王高尾線が横切っています。
八王子南バイパスは、16号がカーブしている付近をトンネルで横切る形になります。国道16号線とは後述のランプで接続することになる計画です。
ちなみに国道16号線東京環状の橋本付近~左入町付近は、八王子バイパスが無料化し国道として2重のルートがある状態のため、都道・県道などへの移管が計画されています。国の資料にも都内区間について「八王子バイパスの現道であり、八王子拡幅(現道拡幅)等、現道部における事業箇所の進捗及び概成区間の取り扱いを調整、及 び共同溝や道路情報板等の取り扱いに関する課題を調整した後に移管が可能と見込んでいる。」とあり、神奈川県内区間についても「八王子バイパス現道であり、早期の移管が可能と見込んでいる。」とあります。
国道16号東京環状から八王子南バイパスへ降りるランプは、子安町交差点の南側、創価学会八王子文化会館の南側に設けられる予定です。
ランプは日野方面への入口と、日野方面からの出口のみです。ランプはトンネル内で本線と接続するようになります。
由井中学校の北側です。中学校は右側に見えます。
この付近でも用地取得が進められている状態でした。
暫くすると横浜線と京王線を越えることになります。この付近もトンネルで鉄道と交差することが計画されているようです。
ちなみに、国道16号東京環状とこの鉄道との中間付近で都市計画道路と交わりますが、その都市計画道路は事業化の見通しが立っていません。
そして、野猿街道、国道16号八王子バイパスと交わって、八王子南バイパスとしては終わり、日野バイパス(延伸)Ⅱ期となります。(こっちが起点側だが)
日野バイパス(延伸)Ⅱ期の八王子市長沼町及び北野町の区間は、2015年(平成27年)12月17日に都市計画変更され地表式から掘割式に変更されました。同時に八王子市内の八王子3・3・2号線全域で車線数が4車線に決定されたほか、長沼町及び北野町内の一部で幅員が変更されました。(告示第1811号)
参考図書
・環境影響評価書案のあらまし(八王子都市計画道路3・3・2号線建設事業(八王子市北野町~南浅川町))
・環境影響評価書 (八王子都市計画道路3・3・2号線(八王子北野町~南浅川町)建設事業)
・環境影響評価書 資料編 (八王子都市計画道路3・3・2号線(八王子北野町~南浅川町)建設事業)
・国道20号 日野バイパス(延伸) 八王子南バイパス パンフレット 相武国道事務所発行
・国道20号 八王子南バイパス より快適で安全な暮らしの実現へ パンフレット 相武国道事務所発行
・相武国道事務所HP 各ページ http://www.ktr.mlit.go.jp/sobu/
・館町団地ホームページ https://tatemachidanchi.jimdo.com/
・八王子都市計画図 平成29年発行
・八王子都市計画図 昭和62年発行
・八王子の都市計画(資料編)
・平成9年2月24日付 東京都公報
・平成27年9月24日付 東京都公報
・平成27年12月17日付 東京都公報
撮影日:2017年7月22日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
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