新宿駅の直近で事業が始まった新宿駅直近地区土地区画整理事業の進捗状況を見てきました。
数年前より都市計画の変更など手続きが続けられており、その計画の方向性などに注目していたところです。そして、2021年7月7日に事業計画の決定がなされ、事業が始まりました。結構早いペースで事業開始まできたイメージです。
新宿駅直近地区土地区画整理事業の範囲は、甲州街道20より北側の、JR線、小田急線、京王線などを含んだ区域です。施行者は東京都で、事業施行期間は2047年3月31日までです。面積は約10.1ヘクタールです。
土地区画整理事業にあたっては、都市計画道路、都市計画広場、用途地域、地区計画などの都市計画変更も行われています。この事業によって、駅の東西を結ぶデッキ、西口の南北デッキ、広場の再編などが行われる計画です。
また、区画整理地内の小田急百貨店がある区域では、小田急電鉄と東京メトロが再開発事業を計画しており、高さ約260mの高層ビルの建設が計画されています。2022年度より着工する計画です。
このほか、西武新宿駅とを結ぶ地下通路の計画もされています。ほかにも土地区画整理事業に付随して行われる事業があるようですし、まだ公表されていないくすぶっている事業があるように思えます。
事業すべてを説明するのは無理がありますし、ここで書く必要もないと思うので、下記に参考としてリンクを張っておきます。
・新宿駅直近地区土地区画整理事業 事業計画を決定!-東京都報道発表
・新宿駅直近地区土地区画整理事業の事業計画決定について ‐東京都都市整備局
・新宿駅直近地区に係る都市計画(素案・原案)の説明会について(※終了しました)-新宿区役所
・新宿駅直近地区地区計画 ‐新宿区役所
・新宿駅西口地区の開発計画について -小田急電鉄・東京メトロ
事業概要
新宿区の新宿駅周辺では、東京都市計画事業新宿駅直近地区土地区画整理事業が行われています。
施行者は東京都で、施行細則の決定(東京都規則第282号)と事業計画決定(東京都告示第922号)は2021年7月7日です。
※新宿駅周辺では、土地区画整理事業以外にも複数の事業が行われています。
名称 | 東京都市計画事業新宿駅直近地区土地区画整理事業 |
施行者 | 東京都 |
施行地区 | 新宿区新宿三丁目及び同区西新宿一丁目の各一部 |
事業施行期間 | 2021年7月7日~2047年3月31日 |
事務所の所在地 | 中野区中野一丁目二番五号 東京都第二市街地整備事務所内 |
事業計画の決定の年月日 | 2021年7月7日 |
2021年7月7日現在 |
この枠内の情報は随時更新されます。記事本文の情報と枠内の情報に時間的差異が生じる場合があります。
写真等
まだ事業が始まったばかりなので、ほとんど変わっていません。いつもの新宿駅を見ていきましょう。南口から東口、西口と、反時計回りに見ていきます。
撮影位置の図も……いらないよね?
甲州街道に面した新宿駅南口です。見慣れた景色です。数年前まで行われていた甲州街道の改修やバスタ新宿など整備が一段落したところです。
LIMINE2の奥にある小田急ミロードを含めた区域では、高層ビルの建設が計画されています。この景色も見納めになるのでしょうか?
私にはほぼ馴染みがない東口です。広場や地下駐車場の再編も計画されています。
左にあるのがルミネエストです。これも建替えが計画されています。(今のところ具体的なものは公表されていない?)
あれ……ここ車道あったよな……?いつの間にか変わっていました。
ちょうどこの真下あたりに東京メトロ丸ノ内線とメトロプロムナード(地下街)が広がっています。
この写真の先に地上を歩いていくと西武新宿駅があります。メトロプロムナードから西武新宿駅に行こうとすると、一度地上に出るか、地下道経由ならかなり大回りしなければならないのは有名です。
そんな西武新宿線には複々線の計画があり、急行線は地下でこのメトロプロムナードまで若干延伸し地下駅ができる計画となっていました。
その急行線は現在、混雑率の低下などを理由に都市計画の廃止に向けた手続きが行われています。
そして、今年4月、西武新宿駅とメトロプロムナードを繋ぐ地下通路(新宿駅北東部地下通路線)の都市計画決定に向けた素案が公表されました。
まぁ、新宿駅直近地区の再開発に向けて、西武新宿線の地下急行線の都市計画の存在が邪魔だったということなんでしょうけど、急行線廃止の計画がでた2019年頃に「急行線廃止は区画整理と関係あるんじゃないか」ってネット(Twitter)で指摘してたのは、私が探した限りでは私だけでしたね。
最近話題のネコチャン
この地下に通路ができる計画です。
横断するのが結構面倒な交差点です。
この交差点に面する店舗テナントが撤退したりと、変化し続けるのが「まち」なんだなぁと感じるものです。
さて、大ガード西側の地下道(D3出入口付近)です。この奥右上あたりが大ガードです。
新宿大ガードの下には現在地下道はありませんが、都市計画上は既に存在しています(新宿歩行者専用道第3号線)。
この地下通路が意味深な終わり方をしているのは、いずれ地下道を整備するのでしょう。
新宿駅といえばこの景観、この景色。小田急百貨店の場所には高層ビルが建てられる計画です。
これが見られるのもあと1年くらいかもしれません。1年くらいです。
7月10日に写真を撮りに行き、この記事は7月12日頃に書いたんですが、7月16日に小田急百貨店の閉店が告知されましたね。
現在は人の歩行空間が端に追いやられている感がありますが、再開発によって「人中心の駅前広場整備」が計画されています。
この西口広場についてまとめた本『坂倉準三の都市デザイン 新宿駅西口広場』、おすすめです。(→amazon)※アソシエイトは使っていません
スバルビルが解体されて数年が経過。スバルビルの跡地も土地区画整理事業の範囲に組み込まれており、西口地下駐車場へのアクセス路などとなるようです。
少し前まで西口出てすぐの場所に喫煙所があって臭かったものですが、写真正面に移転し、煙環境が非常に向上しました。
この日もありました。
明治安田生命のビルは解体中でした。新宿の特徴的だった建物がいつのまにか消滅しています。
現地に掲示されていた建築計画のお知らせによると、(仮称)西新宿一丁目地区プロジェクトとして、地上23階建の建物ができるようです。
西口の地下にある駐車場も変わる計画です。
先述の通り、駐車場の出入口が変わる計画のほか、京王線新宿駅を丸ノ内線方面に若干延伸し、ホーム先端に改札口を設置する計画があります。
京王百貨店も何か再開発するのかなぁと予想しているのですが、いまのところ特に動きがないんですよね。
2020年7月19日には、JR新宿駅の東西を結ぶ地下自由通路が完成しました。
これから始まる新宿駅直近の再開発では、JR線の上空で東西を結ぶデッキが建設される計画です。
東西デッキの付近(JR線の真上)には「新宿セントラルプラザ」なるものが構想されています。これも詳しいことがまだ公表されていないようですが、まぁ何か作るんでしょう。
ふたたび南口側に戻ってきました。
このLUMINE1及び京王百貨店沿いにも南北デッキができる計画です。
正直、規模が大きすぎて全容を掴むのが困難です。何か変化があったら記録していきたいなと思います。
撮影日:2021年7月10日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
こんにちは
何時も更新されると拝見しています
私が都市計画の状況に興味を持ったのは、住んでいる西武新宿線の井荻から西武柳沢間の立体交差事業を知ってからです。
この事業は高架を前提に今年度(令和3年)都市計画決定を予定して進んでいます。
私は大量の立ち退きを必要とする高架に反対の立場です。
バブルが弾けたので急行線を地下へ埋め込む計画は、皆が忘れたかのようにそのままになっていました。
それが2019年5月に正式に計画廃止の説明会が開かれました。
一番の理由は、立体交差事業との矛盾解消のため、と考えました。
新宿の再開発で西武は、鉄道ではなく商業で事業参加を表明ていたので、この辺りの矛盾もあったのだと今回思いました。
新宿に小田急デパートができ、京王デパートができ、西口がどんどん開発で広がるようすも眺めてきたので、手をつけて60年新たな開発の時が来たのだと感じました。
地下急行線の計画は西武新宿線のみならず、JR中央線や京王線でもあります。いずれも計画のみで事業化はしていません。
西武新宿線は一部区間に緩行線の地下計画区間がありますが、連続立体交差事業を高架方式で行うための口実としてできもしない地下急行線の計画を作ったのかなぁという気はしています。
西武新宿線も連続立体交差区間が広がった今、計画を残しておく必要もなくなったのであると、邪推しています。
何時も非常に楽しみに、また、興味深く拝見させていただいております。
西武新宿線の地下急行線の建設中止の理由となりますが、詳細設計の段階になり、当初計画にはなかった『非常用立坑(リニアで建設されているような新たな用地の買収と、地下40~50mまで掘削するのに、莫大な費用が掛かる)を5~10km間隔で設置せよ』とのお達しが計画以後に消防からもたらされたこと、また、バブル崩壊以後、西武池袋線と比較しても、西武新宿線の利用者が減少傾向に転じたこと、物価上昇により、建設費全般が高くなったこと、などがあります。
複々線建設に関しては、鉄道側の負担割合が大きい為、鉄道会社として費用の増加を賄いきれないと判断があったと聞いております。(確かに、西武新宿線の現在の利用者は減少傾向にあり、現行の複線でも、混雑率が緩和されており、複々線の建設中止の判断は正しかったと言わざるを得ない状況です。)
また、地下急行線の計画は具体的に進んでいて、川越市と、安比奈線に車両基地を建設する際に駅を併設する話や国道16号線との平面交差をどう解決するかなどの話が進められていたようです(車両基地の具体的な配線設計図もあります)。
(ご参考)
タイトル:列車走らぬまま半世紀の西武安比奈線、廃止へ
URL:https://trafficnews.jp/post/48569/image/160212_seibu_01
また、昨今の地下急行線の計画の廃止手続きは、メトロプロムナードと地下急行線のコンコースで結ばれる予定であった為、新たに新宿歩行者専用道第4号線と新宿駅北東部地下通路を都市計画決定する為には、都市計画決定する為には、地下急行線の建設に伴う、競合する駅コンコースによる通路設置計画を廃止する必要があった模様です。
一度決まった都市計画は、何十年経過しようと、建設の目途が立たなくとも、廃止しない限り、計画として生き続ける故です。都市計画道は、まさにそれですね(微)。
なお、京王線の地下急行線の計画の場合は、確かに、現高架線の設計は、地下急行線の建設を考慮した設計となっていますが、私も口実に過ぎない(実際に建設までは至らない)と思います。
でも、札幌駅のJRタワーのように、当時は北海道新幹線の延伸はあり得ないと、新幹線用地を活用して建設したが為に、問題になった例もありますし、計画さえ生きていれば、いつの日か、京王線の地下急行線は、建設される日がくるのかもしれません。(以上、書き始めたら長くなってしまい、申し訳ございません。)
消防の話は初めて聞きました。言われてみると、地下急行線にはそういった施設がないですね。
正直、人口が減少している今、鉄道会社が100%負担の複々線をやるのは無謀ですよね。東京都なんかは国への予算編成提案要求の中で「新しい整備の仕組みづくりの検討」を毎年要求していますが、コロナで鉄道利用も減少している中で、今の段階では事業に踏み出すのはかなり厳しいものがありそうです。
当初西武新宿線の地下急行線都市計画廃止の話が出た際は、新宿周辺の再開発の話はまったく出ていなかったのですが、その後の歩行者専用道の話が出て、「やっぱり関係あったんだ」となりました。
新宿駅周辺では、京王百貨店部分の再開発の話も具体化し始めていると建設系ニュースで出ていました。まだまだ公表されていない事項が多そうです。
いつも、楽しく拝見させてもらってます。
新宿駅西口の風景が変わるのは、初めて知りました。
子どものとき、新宿に住んでいて京王線が路面電車のころからの西口の変化を見てきたので寂しいような気がしますが変わる姿が楽しみです。
ちなみに住んでいた家の場所は昨年完成した補助72号線の一部になっています。
路面電車のときというと大先輩ですね。
考えてみると、最近では南口のバスタ、10両編成化、小田急京王のホーム改良、地下鉄の開業・・・と変わり続けるのが都会なんだなぁと考えさせられます。
アルタ前の広場ですが、去年の今頃には道路が廃止されて工事してて、秋には交番前から一体化されて通りやすくなりました。ステーションスクエアの巨大壁面がなくなって、広々としてますね。
ちょうど新宿に行かないうちに変わっていましたか。
広々としていましたが、あまりにも違和感がなかったので、歩いていて不思議でした。