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稲城駅南口駅前広場改良工事 建築確認等実施せず工事中断 2026年度以降に再開に

稲城市稲城駅南口駅前広場で行われた2025年度の改良工事は、建築確認申請等の必要な手続き等を行っていなかったことから、現在中断されています。

休工を知らせる看板

事業概要

稲城市稲城駅南口駅前広場では、駅南側で行われている多摩都市計画南山東部土地区画整理事業の進捗を踏まえた交通広場の改修工事が行われています。

バスやタクシーの乗車場や待機場のレイアウト変更などが行われる予定です。

道路情報

施行者 稲城市
路線名 稲城市道1496号線
工事期間 2024年度~

最近の発注状況

工事
発注年度 工事名称 受注者 当初契約額(税抜)
2024年度 稲城駅南口駅前広場(市道1496号線)道路改良工事(その1) 株式会社創建 90,950,000円
2025年度 稲城駅南口駅前広場(市道1496号線)道路改良工事(その2) 株式会社創建 131,280,000円
委託
発注年度 委託名称 受注者 当初契約額(税抜)
※これ以前は情報収集していません
2021年度 稲城駅南口駅前広場(市道1496号線)改良工事設計委託 日本設計株式会社 多摩営業所 11,080,000円
2023年度 稲城駅南口駅前広場(市道1496号線)改良工事詳細設計委託 日本設計株式会社 多摩営業所 5,830,000円
2025年度 稲城駅南口駅前広場上屋実施設計委託 東日本総合計画株式会社 東京支店 3,400,000円
この表の注意事項
データ収集期間:工事すべて、委託2021年度~(それ以前は収集していません)
最終更新日:2025年12月17日

自治体等が運営する入札情報サービスなどをもとに情報を収集しています。見落とし等をする可能性があり、すべての契約を網羅しているとは限りません。特に普段とは異なる名称法則で発注されている場合は見落としが発生しがちです。また、入札後随時更新することは労力がかかりすぎて不可能であるため、データ収集開始日以前及び最終更新日以降の情報は掲載できていません
契約額は入札情報サービス記載の当初契約額です。契約変更等があったとしても対応していません。記載がないものは情報収集していません。
発注年度は入札日を基準としています。工事や業務は複数年にまたがる場合があります。
次の委託・工事は原則掲載しません。
・入札情報サービスに掲載されない契約(特命随契、少額随契、見積合わせ、オープンカウンター方式による契約など)
・用地の管理工事
・維持・修繕等の単価契約価契約
・入札不調や取り下げられた案件(公表する一部自治体除く)
・占用企業者による工事(下水道・水道・ガス等)
・物件補償や土地鑑定
・積算照査や発注者支援業務
など


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タグ:稲城駅南口駅前広場改良工事

稲城駅南口駅前広場改良工事 建築確認等実施せず工事中断 2026年度以降に再開に
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稲城駅南口駅前広場 車道部が完成 4月1日からバス停移設
稲城駅南口駅前広場改良工事 駅舎前付近の整備進みバス停移設へ
稲城駅南口駅前広場 改良工事開始

写真等

工事概要について

2025年度に施工予定だった範囲

稲城駅南口広場では、南山東部土地区画整理事業が完成に近づいていることや、同区域内で読売巨人軍による「TOKYO GIANTS TOWN」の整備が進められていることから、既存広場のレイアウト変更を伴う改修が行われています。

2024年度には車道部の改良工事が行われ、2025年度には歩道の舗装、シェルター(バス停の上屋)の設置、ベンチの設置、案内看板の設置などが行われる予定でした。

工事は「稲城駅南口駅前広場(市道1496号線)道路改良工事(その2)」で、2025年6月9日に株式会社創建と契約が締結され、工事の準備が進められていました。

建築確認申請等手続きの不備

バスシェルターは「建築物」

ところで、建築基準法では、建築物は以下のように定義されています

建築基準法第2条
1 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

要するに、屋根と柱もしくは壁があれば建築物ということになります。また、建築基準法第6条の規定により、新築するためには建築確認が必要となります。

したがって、バスシェルター(上屋)は、一般的に屋根と柱があるため建築物に該当し、都市計画区域内であるため建築確認が必要となります。あわせて、道路区域内に建築することとなるため、第44条の規定により建築許可が必要となります。

稲城市内では、長峰小学校バス停(小田急バス)、長峰バス停(京王バス)などは建築確認を取って建築されているほか、近隣他自治体の事例を見ても、鶴川駅北口(町田市)、登戸駅(川崎市)、向ヶ丘遊園駅北口(川崎市)、永山駅(京王バス)、国立駅南口(立川バス)、国立駅北口(国立市)、狛江駅(小田急バス)、東中神駅北口(UR)などでも建築確認を取っていることが確認できます。(カッコ内は建築主)

稲城市は、今回の工事で設置するバスシェルターについて、建築確認等を行っていませんでした

2025年第4回稲城市議会定例会では、今年度の工事予算を来年度に繰越すための繰越明許費を設定することを含む「令和7年度東京都稲城市一般会計補正予算(第3号)」が上程され、可決成立しています。

繰越明許費

自治体の予算は、原則としてその年度内に使い切らなければなりません(会計年度独立の原則)。しかし、予算成立後のなんらかの理由で年度内に完了しない見込みがある場合、あらかじめ議会の議決を得ることで、翌年度に予算を繰り越して使うことができます。これを「繰越明許費」と呼びます。

なお、同議会の補正予算特別委員会で、以下のような答弁がなされています。

(工事の概要と繰越明許費設定の理由を問われたのに対して)
◎土木課長
 稲城駅南口駅前広場改良工事の概要といたしましては、令和6年度より車道部の改良工事に着手し、引き続き令和7年度には、歩道部においてバスやタクシーの乗車場及び降車場と駅までを繋ぐ通路部分における上屋や、バス乗車場付近にベンチの設置、歩道舗装工事など、駅利用者及び市民などの利便性の向上が図れるよう整備を進めておりました。
 次に、繰越明許として計上することとなりました経緯といたしましては、令和7年度に実施する稲城駅南口駅前広場改良工事の中で設置を予定しておりました稲城駅南口駅前広場の道路区域内における上屋設置につきまして、現場着手直前に建築行政を司る東京都多摩建築指導事務所より市に対し建築確認申請等手続きが必要との指導がありました。また、このことにより、多摩建築指導事務所と協議を行ったところ、あわせて稲城駅の駅舎と南口駅前広場との出入口にございます既存の大屋根につきましても、建築確認申請等手続きがなされていなかったことから、撤去を行ったうえで、建築確認申請等手続き後に改めて新設する必要があるとの指導がありました。
 駅前広場に設置する上屋につきましては、市といたしましては、道路区域内に設置する道路の付属物として認識しておりましたが、多摩建築指導事務所から指導がありましたことから、市との見解に相違があったものの、建築行政の権限を持つ多摩建築指導事務所の指導には従わざるを得ないものと考えております。
 このことから、大屋根や上屋の建築確認等手続き及び大屋根の新設に伴う設計作業に時間を要しますことから、年度内に工事が完了しない見込みとなるため、繰越明許費を設定するものです。

※議会録が公開される前のため、公開されている録画から文字起こししたものです。句読点や漢字等の表現が異なる場合があります。発言は修正されることがあります。

疑問点

2025年度の工事の入札は、2025年5月9日に「一般土木工事」として公告されました。その際、種々の疑問が湧いていました。

建築基準法や建築士法では、これら建築物の設計は規模により(一級・二級・木造)建築士でなくてはならないと規定されており、建築主は、建築士である工事監理者を定めなければならないとされています。また、これらの規定に違反した工事は、することができないと定められています。

前年度までに発注されていた設計業務を受託した設計会社のウェブサイトを見ると、建築士が在籍していません(書いてないだけかもしれませんが)。また、自治体発注の建築工事では、工事監理を委託することがほとんどですが、これら委託は発注されておらず、当初予算書にも計上されていませんでした。また、都のシステムから建築計画概要書等が確認できませんでした。

したがって、建築工事を土木工事として発注していることに疑問を感じ、5月14日に建築工事ではない根拠を問い合わせるメールを、稲城市に匿名で送付しました。稲城市では匿名のメールには回答しない旨があらかじめ公表されていますが、5月22日に「市ウェブサイトのお問い合わせページ内に記載のとおり、『正確な氏名及び住所の記載がないもの』に該当するため、回答を差し控えさせていただきます。」との回答がありました。

その後、入札は6月5日に開札され、6月9日に契約となっています。

暫くして現場に看板が掲出され、一般的に建築工事で掲出される「建築計画のお知らせ」等の看板がないことや、監理技術者が一級土木施工管理技士であったことから、建築工事ではないことを確信し、9月4日に、稲城市域を管轄する特定行政庁である東京都多摩建築指導事務所に対して、匿名で違法建築の恐れがある旨を情報提供しました。その後、上記答弁のような経緯となったものと推測されます。

正義のクレーマーにはなりたくはないですし、わざわざネット上に書くことでもないかもしれません。認識の誤りについても特に責めるつもりはありません。ただ、問い合わせがあった時点で特定行政庁とやり取りができ、工事契約前に中断できたはずです。

なお市のウェブサイトは12月17日に更新され、「工事に必要な手続きに時間を要しており、工事を一時中止しております。」とされていますが、「工事に必要な手続きを行っていなかった」が正確な表現と言えるでしょう。

現地の状況

12月20日時点で、現地では一切の工事が中断していました。建築工事以外の土木工事についても施工されていません。
9月に訪問時点で、バスシェルター設置位置と見られるマーキングがありましたが、これもそのまま残されています。

議会の答弁にもあった通り、今回工事範囲外の既存の大屋根についても建築確認申請が行われていなかったようで、これについても対応するようです。

バスシェルターなどの屋根だけの古い建築物には、建築確認を行っていないものが結構あるため、昔のことについてもどうこう言うつもりはありません。

設計業務を発注

これをうけ、11月13日には、「稲城駅南口駅前広場上屋実施設計委託」の入札が行われ、東日本総合計画株式会社が340万円(税抜)で落札しました。建通新聞の報道によると納期は3月末とのことです。

なお上述議会において、稲城駅南口駅前広場改良工事の工期について問われたのに対して、

◎土木課長
 稲城駅南口駅前広場改良工事の工期につきましては、当初の契約では令和7年6月9日から令和8年2月6日までを工期としておりましたが、繰越明許費補正により、令和8年10月31日まで延伸する予定としております。

と答弁がされています。
土木工事部分は同工事の契約変更で対応する形でしょうか。

いずれにしても、利用者の多い駅前広場での工事ですので、安全かつ適切な手続きを経て、事業が再開されることが望まれます。

撮影日:2025年12月20日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。

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