稲城市、多摩市及び川崎市麻生区で4車線化の事業が行われている多摩3・1・6号南多摩尾根幹線のうち、多摩東公園交差点以西の進捗状況を見てきました。
鎌倉街道と交差する多摩卸売市場前交差点で行われていた橋梁工事が進み、足場解体のお知らせが掲示されています。
このほか、南野地区・鶴牧地区でも工事が進んでいます。

事業概要
多摩3・1・6号南多摩尾根幹線のうち、上記で示した多摩東公園交差点~多摩市総合福祉センター前交差点間では2020年に事業認可を取り、東京都が都市計画道路事業を行っています。
この区間については、掘割式による都市計画となっていましたが、2015年に策定された『南多摩尾根幹線の整備方針』に基づき、平面4車線構造への都市計画変更を行うことになりました。2017年9月14日に計画段階環境影響評価手続きを開始し、都市計画変更の手続きと環境影響評価の手続きを進め、2019年3月6日に都市計画変更が完了しました。
都市計画道路事業の認可は2020年2月20日、施行者は東京都、事業延長は5,500mで、幅員は43~58mです。
基本データ
施行者 | 東京都 |
延長 | 約5,500m |
幅員 | 43~58m |
事業施行期間 | 2020年2月20日~2026年3月31日 |
事業費 | 130億円 |
2020年10月1日現在 |
※南多摩尾根幹線全線についてはこちら
最近の発注状況
工事 | ||
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発注年度 | 工事名称 | 受注者 |
2019年度 | 道路改修工事に伴う準備工事(31南東-南野)及び歩道改修工事(南東-宿通りの10) | 株式会社朝倉組 |
2019年度 | 道路改修工事に伴う準備工事(31南東-諏訪) | 取下げ |
2019年度 | 道路改修工事に伴う準備工事(31南東-諏訪)その2 | 取下げ |
2019年度 | 道路改修工事に伴う準備工事(31南東-諏訪)その3 | 株式会社フジマサ東京支店 |
2020年度 | 道路改修工事に伴う準備工事(2南東-諏訪の2) | 奥山建設株式会社 |
2020年度 | 道路改修工事に伴う準備工事(2南東-南野の2) | 黒須建設株式会社 |
2021年度 | 道路改修工事に伴う橋梁下部工事(3南東-南野の3) | 黒須建設株式会社 |
2022年度 | 道路改修工事に伴う準備工事(4南東-鶴牧) | 巴山建設株式会社 |
2022年度 | 道路改修工事に伴う準備工事(4南東-諏訪の3) | 多摩住起建設株式会社 |
2022年度 | 道路改修工事に伴う橋梁上部工事(4南東-南野の4) | 川田建設株式会社 |
2023年度 | 道路改修工事に伴う擁壁設置工事(5南東-鶴牧の2) | 森本・坂田建設共同企業体 |
2023年度 | 道路改修工事(5南東‐南野の5)及び道路改修工事に伴う擁壁設置工事(5南東-百村) | 多摩住起建設株式会社 |
2024年度 | 道路改修工事に伴う橋梁上部仕上げ工事(6南東-南野の6) | 川田建設株式会社 |
2024年度 | 道路改修工事に伴う橋梁上部仕上げ工事その2及び擁壁設置工事(6南東-南野の7) | 株式会社入江建設 |
委託 | ||
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発注年度 | 委託名称 | 受注者 |
2017年度 | 道路予備設計その2(29南東-南多摩尾根幹線) | 株式会社エイト日本技術開発 |
2019年度 | 道路予備修正設計及び橋梁予備修正設計(31南東-南多摩尾根幹線) | 株式会社エイト日本技術開発 |
2020年度 | 道路詳細設計及び橋梁詳細設計(2南東-南多摩尾根幹線) | 株式会社エイト日本技術開発 |
2021年度 | 電線共同溝予備設計(3南東-南多摩尾根幹線〔諏訪・永 山〕) | 株式会社日本インシーク |
2021年度 | 道路構造物予備設計(3南東-南多摩尾根幹線〔諏訪・永山〕) | 株式会社復建技術コンサルタント |
2022年度 | 道路構造物予備修正設計(4南東-南多摩尾根幹線〔諏訪・永山〕) | 株式会社復建技術コンサルタント |
2022年度 | 橋梁詳細補足設計(4南東-南多摩尾根幹線〔鎌倉街道交差部〕 | 株式会社エイト日本技術開発 |
※これ以前はすべてを情報収集していません | ||
2023年度 | 路床土調査及び地質調査(5南東-南多摩尾根幹線〔2・3工区〕外1路線) | ソイロム株式会社 |
2023年度 | 遮音壁設計(5南東-南多摩尾根幹線〔諏訪・永山〕) | 株式会社エイト日本技術開発 |
2023年度 | 道路詳細補足設計(5南東-南多摩尾根幹線〔鶴牧・南野〕) | 宏栄コンサルタント株式会社 |
2023年度 | 道路構造物詳細設計(5南東ー南多摩尾根幹線〔諏訪・永山〕) | 株式会社復建技術コンサルタント |
2024年度 | 路床土調査及び地質調査(6南東-南多摩尾根幹線[2工区]) | 株式会社京北地盤コンサルタント |
2024年度 | 橋梁詳細補足設計その2(6南東-南多摩尾根幹線[鎌倉街道交差部]) | 株式会社エイト日本技術開発 |
2024年度 | 電線共同溝予備修正設計(6南東-南多摩尾根幹線[諏訪・永山]) | 株式会社日本インシーク |
2024年度 | 道路詳細修正設計(6南東-南多摩尾根幹線[鶴牧・南野]) | 宏栄コンサルタント株式会社 |
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写真等

撮影位置はこの通りです。(周辺のGoogleマップ)
鶴牧地区(アクアブルー前)

多摩鶴牧六丁目交差点~多摩市総合福祉センター入口交差点間の東寄りでは、中央分離帯だった部分で道路の築造工事が行われています。
写真①のうち奥に見える仮囲い部分が施工箇所です。
工事件名は「道路改修工事(5南東‐南野の5)及び道路改修工事に伴う擁壁設置工事(5南東-百村)」で、2025年10月中旬までの予定で、多摩住起建設株式会社が施工しています。
鶴川街道(百村)の工事と抱き合わせの工事ですが、この看板では百村の工事件名は省略されています。
この区間では、2022年度後半から2023年度前半にかけて、中央分離帯の土砂を撤去する準備工事が行われており、今回の工事はその続きとなります。
今回の工事は、将来の車道を築造するものですが、舗装の表層工は行わず、基層までの施工となる模様です。

既に工事は進んでいて、重機等は見えず、フェンスから見える部分も工事は概ね完了しているように見えます。
工期は10月中旬までであり、残りはかなりあります。(百村区間の工事も概ね完了している)
なお、現道との擦り付けはされていないため、今回工事完了後の切替えはありません。
鶴牧地区(Y字橋付近)

鶴乃橋~多摩鶴牧六丁目交差点間では、擁壁工事が引き続き進められています。

既に、もともとの法面の掘削がされているのがわかります。
現地の情報板によると、法面補強工と鋼矢板の設置が追加で行われていて、設計変更されている模様です。今後は地盤改良を進め、補強土壁の工事を行っていくものと思われます。
南野地区(南豊ヶ丘フィールド前)

南豊ヶ丘フィールド前付近では、中央分離帯だった部分で道路改修工事が進められてきました。
工事件名は「道路改修工事(5南東‐南野の5)及び道路改修工事に伴う擁壁設置工事(5南東-百村)」で、アクアブルー前の工事と同じです。
既に重機などは見えず、工事は概ね完了しているものとみられます。なお工期は10月中旬までの予定でかなり先です。

整備されたのは南野スカイブリッジ付近のみで、現時点ではこの前後の区間は施工されていません。
これまで準備工事が行われた区間でも、その後の工事が行われていない区間も多く、工事箇所もバラバラであるため、どのように進めたいのかよく理解できません。
南野地区(多摩卸売市場前交差点)

鎌倉街道と交差する多摩卸売市場前交差点では、オーバーパスで鎌倉街道と交差する橋梁工事が行われています。現在は上部工と上部仕上げ工が施工中です。
現在行われている工事のうち1つ目は、「道路改修工事に伴う橋梁上部工事(4南東-南野の4)」で、2025年6月9日までの予定で、川田建設株式会社が施工しています。
2つ目は、「道路改修工事に伴う橋梁上部仕上げ工事(6南東-南野の6)」で、2025年6月16日までの予定で、川田建設株式会社が施工しています。
橋梁上部工事は競争入札で契約されていますが、仕上げ工事は随意契約により契約されています。入札情報サービスによると、上部工事の足場設置時に渋滞を引き起こしたことから、同一工事とすることで足場設置撤去の回数を減らすことを目的に、同会社に随契した模様です。

橋梁は3径間連続プレビーム合成桁橋で、桁及び床版工事を上部工事で、壁高欄や防護柵などの工事を上部仕上げ工事で施工したようです。

見る限りこの工事はほとんど完成形に近い形となっています。
現地の案内看板等によると、5月7日~31日の各日深夜に足場の解体を予定しているとのことです。

この橋梁部では、次の工事となる「道路改修工事に伴う橋梁上部仕上げ工事その2及び擁壁設置工事(6南東-南野の7)」が2025年2月20日に入札で決まり、株式会社入江建設が施工する予定です。現時点では未着手です。
図面等によると、今回の橋台の後ろ側に逆T型擁壁の設置などを行う工事のようで、一部橋梁上部仕上げも含まれる模様です。
なお、現道との擦り付けなどは含まれておらず、さらなる高低差処理が必要となることから、橋梁部を通行できるようになるのは当分先と思われます。
諏訪地区

諏訪・永山地区では、2024年度に準備工事が行われて以降、工事は行われていません。

準備工事で土砂撤去を行った場所も草が生い茂っている状況です。
年間発注予定(4月1日公表分)によると、南多摩尾根幹線関係と思われる工事は、
業種 | 件名 | 履行場所 | 概要 | 公表予定時期 | 履行期間 |
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一般土木工事 | 【財】【週休2日工事】【ICT活用工事(土工)(舗装工)(地盤改良工)】道路改修工事(7)(南東・南多摩尾根幹線 鶴牧) | 多摩市南野地内 | 道路改修工事、工事発注規模:A05 18億円以上27億2000万円未満 | 5月下旬 | 契約確定の日の翌日から800日間 |
一般土木工事 | 【財】【週休2日工事】【ICT活用工事(地盤改良)(擁壁工)】道路改修工事に伴う擁壁設置工事(7南東-南野の8) | 多摩市南野地内 | 道路改修工事、擁壁工、工事発注規模:A03 7億円以上9億円未満 | 9月下旬 | 契約確定の日の翌日から560日間 |
一般土木工事 | 【財】【週休2日工事】稲城多摩トンネル(仮称)(7)擁壁築造工事 | 多摩市聖ヶ丘地内 | 擁壁工事、工事発注規模:A04 9億円以上18億円未満 | 5月下旬 | 契約確定の日の翌日から780日間 |
鋼けた | 【財】【週休2日工事】竪谷戸大橋(7)鋼けた製作・架設工事 | 稲城市向陽台~百村地内 | 鋼けた製作・架設工事、工事発注規模:A05 18億円以上27億2000万円未満 | 8月下旬 | 契約確定の日の翌日から780日間 |
一般土木工事 | 【所】【週休2日工事】道路改修工事(7南東-川北下) | 稲城市百村地内 | 箱型函渠改修工事、工事発注規模:B01 1億6、000万円以上~2億5、000千万円未満 | 11月上旬 | 契約確定の日の翌日から280日間 |
の5件となっていて、今年度も諏訪・永山地区では施工なしなのかなと予想しています。

これまでの施工状況を見ると、先に構造物を伴う工事を施工しているのかなという感じがしますが、施工箇所がかなり点在している状況です。
4車線化はまとまった箇所から切り替えていくとは思いますが、すでに4車線化済みの八王子側から施工するとかそういう様子にも見えず、どういう風に進めたいのかあまりよくわかりません。
撮影日:2025年4月27日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
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