稲城市、多摩市及び川崎市麻生区で4車線化の事業が行われている多摩3・1・6号南多摩尾根幹線のうち、多摩東公園交差点以東の進捗状況を見てきました。以西は後日掲載します。
稲城市長峰と多摩市聖ヶ丘を結び、若葉台地区北側を抜けるトンネルの工事施工者が決まりました。まもなくすると現場着手となりそうです。
その他の区間でも橋梁工事などが進められています。
事業概要
多摩3・1・6号南多摩尾根幹線のうち、上記で示した稲城福祉センター入口交差点~多摩東公園交差点間では2021年に事業認可を取り、東京都が都市計画道路事業を行っています。
都市計画道路事業の認可は2021年7月30日、施行者は東京都、事業延長は4,030mで、幅員は29~58mです。
なお、この区間については、掘割式による都市計画となっていましたが、2015年に策定された『南多摩尾根幹線の整備方針』に基づき、平面4車線構造への都市計画変更を行うことになりました。2019年5月30日に計画段階環境影響評価手続きを開始し、都市計画変更の手続きと環境影響評価の手続きを進め、2021年3月4日に都市計画変更が完了しました。
基本データ
施行者 | 東京都 |
延長 | 約4,030m |
幅員 | 29~58m |
事業施行期間 | 2021年7月30日~2030年3月31日 |
事業費 | 347億円 |
2021年7月30日現在 |
※南多摩尾根幹線全線についてはこちら
最近の発注状況
工事 | ||
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発注年度 | 工事名称 | 受注者 |
※これ以前は情報収集していません | ||
2021年度 | 道路改修工事に伴う擁壁設置工事(3南東-長峰の1) | ライチ株式会社 |
2022年度 | 道路改修工事に伴う準備工事(4南東-聖ヶ丘) | 株式会社廣川興業 |
2022年度 | 稲城多摩トンネル(仮称)(4)擁壁築造工事 | 大成・黒須建設共同企業体 |
2023年度 | 道路改修工事に伴う橋梁下部工事(5南東-竪谷戸大橋) | 株式会社松尾工務店 |
2024年度 | 稲城多摩トンネル(仮称)(6)トンネル及び擁壁築造工事 | 飛島・りんかい日産・朝倉建設共同企業体 |
委託 | ||
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発注年度 | 委託名称 | 受注者 |
※これ以前は情報収集していません | ||
2023年度 | トンネル詳細補足設計及び道路予備補足設計(5南東-南多摩尾根幹線[3・4工区]) | 株式会社エイト日本技術開発 |
2023年度 | 橋梁詳細補足設計(5南東-南多摩尾根幹線〔竪谷戸大橋〕) | 株式会社エイト日本技術開発 |
2023年度 | 道路予備補足設計及び電線共同溝予備補足設計(5南東-南多摩尾根幹線〔3・4工区〕) | 株式会社復建エンジニヤリング |
2023年度 | 路床土調査及び地質調査(5南東-南多摩尾根幹線〔2・3工区〕外1路線) | ソイロム株式会社 |
2024年度 | 道路構造物詳細設計(6南東-南多摩尾根幹線[3・4工区]) | 株式会社エイト日本技術開発 |
この枠内の情報は随時更新されます。記事本文の情報と枠内の情報に時間的差異が生じる場合があります。
写真等
撮影位置はこの通りです。
多摩3・1・6号南多摩尾根幹線では、長年暫定2車線開通となっていた区間について、平面4車線にする事業が行われています。
稲城福祉センター入口交差点~多摩東公園交差点間については2021年7月30日に、多摩東公園交差点~多摩市総合福祉センター入口交差点間は2020年2月20日にそれぞれ事業認可を得て事業が進められています。
水道管移設工事
聖ヶ丘四丁目交差点~多摩東公園交差点間の中央分離帯部分では、東京都水道局発注の水道管移設工事が行われています。(現在は中央分離帯部分だけですが、今後広げるかもしれません。詳しい範囲は不明です。)
この部分では、2023年に分離帯の土砂を撤去する準備工事が行われていました。ここだけ妙に工事開始が早かったのは、水道工事をするためだったんですかね。
工事件名は「多摩市聖ヶ丘四丁目地先から同市聖ヶ丘五丁目地先間配水本管(1100mm)布設替及び送水管(600mm)移設工事」で、2026年6月中旬までの予定で、株式会社せきどが施工しています。
大きい水道管・送水管の移設で、水道局発注工事なので直接的な道路工事ではありませんが、場所が場所なだけに関係がありそうな気がします。
稲城多摩トンネル(仮称)着手へ
先ほどの写真のこの付近から、くじら橋付近までトンネルの建設が予定されています。
工事件名は「稲城多摩トンネル(仮称)(6)トンネル及び擁壁築造工事」で、2024年7月11日に入札が開札され、飛島・りんかい日産・朝倉建設共同企業体が落札しています。落札金額は36,095,507,800円です。
トンネルは多摩市聖ヶ丘の多摩東公園交差点付近から、稲城市長峰の稲城中央公園交差点付近間の上り線1848.000m、下り線1834.785mで、上下線が別々のトンネルとなる計画です。
この部分では、南多摩尾根幹線の事業化の前に線形を変更する都市計画変更が行われました。これは、2014年11月14日に「蓮光寺・若葉台里山保全地域」が計画線形上に指定され(2020年11月11日に拡張)、同保全地域には希少貝類を含む湿地を有していることを理由としていました。
ただ、南多摩尾根幹線の平面4車線化を打ち出したのは2015年2月18日のことで、旧線形は米軍基地を通過し、新しい線形はこれを見事に避けるルートとなっており、米軍基地を避けることが1番の理由だったのではないかなと感じています。当時の説明会は都市計画変更の理由書には米軍基地の米の字も出てこなかったですけどね。それでもいいですけど。
旧線形はブロークンバックカーブ気味ですし、線形としても今の方が格段といいので特に文句はありませんが・・・
トンネルは2車線×2で、歩道は設けられない計画です。ここを歩く人はいなさそうですので、特に問題はないと思います。
途中途中に上下線を繋ぐ連絡トンネルが設けられる計画で、非常時の通路となると見られます。
トンネル坑口は相模原側が高く、稲城側から緩やかに上り、途中から勾配を増してトンネルを抜ける計画です。
工事は稲城側から掘り進められると見られます。
現時点では工事着手はしていません。年明け以降、次項の擁壁工事の進捗を見ながら始まるのではないかと思われます。
トンネル坑口擁壁工事
稲城側のトンネル坑口予定地では、引き続き擁壁築造工事が行われています。
工事件名は「稲城多摩トンネル(仮称)(4)擁壁築造工事」で、2025年2月27日までの予定で、大成・黒須建設共同企業体が施工しています。工期が延伸されています。
道路の真ん中で擁壁工事が進められています。トンネルはこの中央に建設される予定で、こちら側から掘り進める場合は、この工事が終わらないと始められないと見られます。
なお、設計図によると、先述のトンネル工事ではこの部分の現道を切回すようです。
くじら橋東側
現在は工事は行われていませんが、時々重機が入って作業をしています。
竪谷戸大橋
JR武蔵野線(貨物線)を跨ぐ竪谷戸大橋では、橋梁の下部工事が行われています。
工事件名は「道路改修工事に伴う橋梁下部工事(5南東-竪谷戸大橋)」で、2026年1月15日までの予定で、株式会社松尾工務店が施工しています。
竪谷戸大橋は、現在の上下線の橋梁は自転車歩行者道用として転用する計画で、その間に将来の車道用となる橋梁が建設されます。現在はその下部工事で、橋脚3基と橋台2基が建設される計画です。(現在の橋梁を片側2車線化するには狭い)
既に工事着手していて、仮囲いが設置されています。
工事用通路は佐川急便の裏に設けられています。
撮影日:2024年11月16日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
多摩東公園交差点は、なぜ立体化されないんですか?!
道路構造令及びそれを参酌して定める都の条例では、4車線どうしが交差する交差点では原則立体交差となっていますが、この交差点は若葉台側が2車線であるためです。