渋谷区及び新宿区で事業が行われている環状第5の1号線(千駄ヶ谷)が、2022年12月3日14時に交通開放されました。
1991年から事業が行われており、約30年経過しての交通開放となりました。
事業概要
環状第5の1号線は渋谷区広尾五丁目から北区滝野川二丁目に至る延長13,920mの都市計画道路です。このうち、上記図で示す区間では「千駄ヶ谷」区間として事業が行われています。
新宿御苑の西側では新しく道路を新設し、既に完成している区間へと接続します。事業延長は約805m、幅員は14~35m。
施行者は東京都で、千駄ヶ谷区間の南側は1991年1月10日に事業認可(建設省告示第34号)、北側は2006年に事業認可され、現在も工事が行われています。2016年度(平成28年度)末での用地取得率は99%。
新宿御苑の西側では2層構造により通過する計画です。
施行者 | 東京都 |
延長 | 約805m |
幅員 | 14~35m |
事業施行期間 | 1991年1月10日~2026年3月31日 |
2006年?月?日~? | |
交通開放 | 2022年12月3日14時 |
2024年3月26日時点 |
2022年12月3日(土)14時に交通開放されました。
この枠内の情報は随時更新されます。記事本文の情報と枠内の情報に時間的差異が生じる場合があります。
開通時の状況
当日は2時間ほど前から現地で見ていました。
既にカラーコーンなどを撤去すればいいだけの状態になっており、多くの関係者が近くで開通を待っている状況でした。
当日の午前中には、隣接する都立新宿高校において開通記念式典が行われていたようです。
開通記念式典については事前の公表はなく、おそらく関係者のみで執り行われたものと思われます。
開通2分前には、現地で塞いでいたカラーコーンが撤去されました。
そして、14時ちょうどに交通開放されました。北行きについては確認できませんでしたが、南行きについてはパトカー1台と白バイ1台により通常速度で先導されていました。
沿道には開通の瞬間を見る人がいました。新宿御苑側ではゆるキャラも登場して多くの人が見ていたようですが、南側(ドコモタワー側)では都会の割には人が少なかったです。
その後は多くの車両が通行するようになり、新道の認知も比較的早かったのかなと思います。
現場の詳報
今回開通した道路は、上下線で異なる構造をしています。
南行き(渋谷方面)は地平を通っているのに対し、北行き(池袋方面)はトンネル構造になっています。新宿御苑の西側では二重構造になっています。
撮影位置はこの通りです。
事業区間の様子
南側(鳩森小学校西信号)から見ていきます。交通開放前の写真も含まれています。トンネル内は走っていないのでレポートできません、悪しからず。
事業区間の南端である鳩森小学校西信号です。
従前よりこの場所には4車線の道路がありましたが、拡幅がなされています。
池袋方面車線は、鳩森小学校西信号のすぐ先で現道とトンネルが分岐します。今回開通したトンネルが本線で、現道が分岐という構造に改められています。トンネルの名前は「千駄ヶ谷ぎょえんトンネル」と名付けられました。現道は片側1車線での分岐ですが、この先で片側2車線に増えています。
見ていた様子だと、開通後の池袋方面車線の車の半分以上がトンネル方向に流入していました。新道開通が認知されてそちらに進んでいたのか、間違って進んだのかは不明です。
トンネル内は原付及び軽車両の進入が禁止されています。また、歩行者は通行止めになっています。
補助標識「トンネル」とあるのは、トンネル手前の斜路は違うのか……とも読み取れますし、この分岐部からはトンネルが見えにくいので、「本線・ここから」の方がいいんじゃないかなぁと思いました。
本線の路面標示にも、原付はトンネルに進入できない旨が記載されています。
千駄ヶ谷五丁目交差点の南側には、横断歩道橋が建設中です。現在は通行できません。
もともとこの場所には、横断歩道橋と信号機がありましたが、工事に伴いどちらも撤去され横断できなくなりました。
現在行われている横断歩道橋の工事は、「街路築造工事のうち横断歩道橋設置工事(3二-環5の1千駄ヶ谷)」で、2022年12月下旬までの予定で、宇野重工株式会社東京支店が施工しています。
なお、新設される横断歩道橋にはエレベータが設置される予定で、入札情報サービスによると、工事件名「街路築造工事のうちエレベーター設置工事(4二-環5の1千駄ヶ谷)」は株式会社彩光建設が施工する予定です。
地上道路の現道にある千駄ヶ谷五丁目交差点についても変更がありました。道路構造は大きな変更はありませんが、8時~20時の間は転回禁止(内外回りともに)となりました。
これを知らない多くの車が転回(酷いときには1回の信号で5台)していましたが、警察もお手上げなのか変更してすぐのための経過措置なのか、厳重注意で済ませていました。
千駄ヶ谷五丁目交差点の信号現示にも変更がありました。変則的な時差式で、内外回りで青信号の長さに違いがあるのが特徴です。内回りの方が交通量多くなるからですかね。
なお、曜日や時間帯、交通量、車両の位置などにより信号現示の時間は変わっている可能性大です。(むしろこの程度の交差点では変わっていないとおかしい)
現道と新道との分岐部は、内回り(渋谷方面)のみ平面交差していて、外回り(池袋方面)は交差点になっていません。
実質的に合流ではありますが、新道を本線にした場合に現道が右合流になってしまうことや、歩行者横断路を設ける必要があることなどから交差点にしたのかなぁと想像しています。
交差点の信号現示は、私が見ていた時間では、新道・現道ともに同じ秒数でした。ただし、これほど大きい道路なので、時間帯・交通量・車の位置などで現示が変わっている可能性は大きいです。
歩道部は基本的にインターロッキングブロック舗装となっていますが、交差点広場部のみアスファルト舗装になっていました。アスファルトでも、歩道で通常使われる開粒2号アスファルトではなく、再生粗粒度アスファルトです。すなわち、今後恒久的なものではなさそうです。今後整備計画があるのかわかりませんが、交番とか設置できそうなスペースですよね。
分岐部の交差点には、進行できる方向を示すものが標識1枚のみだったので、間違えて曲がって逆走する車とかいそうだなと思いました。私が見ていた最中にはいませんでしたが。
私が計測していた最中では、新道、現道ともに青信号の長さは55秒で同じでした。
なお、曜日や時間帯、交通量、車両の位置などにより信号現示の時間は変わっている可能性大です。
この先が新規開通区間です。地上部は内回り(渋谷方面)のみの一方通行で、外回り(池袋方面)はこの下をトンネルで通っています。
車道は一方通行のため、池袋方面に向かう自転車は歩道部を通行する必要があります。その警告看板も設置されていました。
この右側にある四角い建物は、トンネル用のポンプ設備です。
歩道部はインターロッキングブロック舗装となっており、落ち着いた色合いです。車道舗装は通常の低騒音型舗装(ポリマー改質H型)ですが、表面には遮熱のための塗装がされています。
右側が新宿御苑で、左側が都立新宿高校です。
この区間の都立新宿高校側には、背の高い遮音壁が設置されています。
北側に向かうと、外回り(池袋方面)のトンネル出口に近づくため、内回りについても盛り上がった構造になっています。
周辺地盤よりも高い位置にあるためか、歩車道境界には、横断抑止柵ではなく橋梁で使われるような防護柵が設置されています。
坂の頂上付近で新宿区と渋谷区の境界のようで、歩道部両側にこのような看板が設置してありました。車道に対しての標識類は設置してありません。
新宿御苑新宿門付近で、外回り(池袋方面)のトンネルが顔を出します。
ここが開通区間の北端部になります。
甲州街道の側道との交差で、甲州街道の本線はトンネルに潜っているため平面交差していません。
交差点部分については、前回工事(といっても2015年度発注のものだったと思うが)により、2020年頃に大方の再整備が完了していました。今回、開通に合わせて区画線などが引き直されています。
明治通り(タカシマヤ付近)の様子
今回の開通に合わせ、現道(明治通り)のタカシマヤ周辺でも若干の変更がありました。
リンクスクエア新宿前にあった横断用信号機は廃止され、ギャップジャパンなどが入る南新宿SKビル前に新設されました。
これにより、千駄ヶ谷五丁目バス停の位置も変更されています。
新宿二丁目付近
事業区間から北に続く道路の新宿二丁目交差点付近(1960年代後半開通?)についても車道幅員を広げるなどの改良が行われました。
工事自体は2020年頃には完成していましたが、このタイミングで全面開放となりました。
花園神社近くの交差点
東新宿方面の、花園神社近くの無名交差点についても改良が行われました。
池袋方面から来た場合、これまで直進すると現道だったものが、直進すると新道方面に変更されています。
なお、この交差点を含めて整備を行った「街路築造工事(3二-環5の1千駄ヶ谷)」の広報板は現在も設置されています。
交差点付近に置かれている置きガードレール等は今回工事ではここまでのようで、中央分離帯の施工等は次回以降の工事となりそうです。
また、この交差点変更に合わせて、周辺の案内標識なども更新がされています。
渋谷方面へは新道を通るような表示です。初台は新宿四丁目右折がいいんですね。
撮影日:2022年12月3日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。(0700)
コメント
いつも楽しく拝見しております。
速報版とのことですが、冒頭の交通解放日時が 2022年11月3日14時と記載されておりましたのでご報告です。
修正しました。
テレビのニュースでもやってました。
早速、レポートありがとうございます。
昭和21年の戦災復興院告示第3号の計画から、実に76年かけて、遂に出来ましたね。
何十年も前の学生の頃から、御苑の前の道を見て、「何でここは、こんなに道が広いんだろう?」と思っていた場所が、ようやく開通とは、感慨深いものがあります。
新宿のような大都会のど真ん中であれほどの道路が開通するのはなかなか無いと思います。
>初台は新宿四丁目右折がいいんですね。
なるほど。でも高円寺は直進して新宿五丁目”東”を右折がいいんですね。
逆の高円寺から池袋方面へは新宿五丁目を左折するんでしょうかね。面白いですね。ってそれは先月以前もそうだったってことかな。
細かいことですが、千駄ヶ谷五丁目交差点の信号現示?の読み方に自信は無いものの、
・下段1Φの外回り右折矢印
・下段5Φ
の2点は誤りかなと思いました。勘違いでしたら私が読み方を知らないだけなので申し訳ありません。
新設の内回り合流交差点も1Φ2Φが上下で一致してないような…
私の勘違いでもそうでなくても、お返事は要りませんので確認されましたら私のコメントを削除していただいて結構です。お願いしまーす!
2件修正しました。
新宿五丁目交差点は右折禁止のため、以前からこの方法で行くことになります。
ずっと工事してただけあってやっとですね
新宿あたりの明治通りは都バスとかで行くといつも詰まってるイメージしかないくらいに渋滞が酷かったのでここの開通で無事渋滞も緩和されればいいですね
ここの次は今月中盤に環2が完全開通しますし、環4(都道302号新宿両国線支線)、補26(都道420号鮫洲大山線、別名環6.5)と今年は環状道路の開通が多い1年になりましたね
東京の道路網は放射方向の整備が中心で環状方向は長く貧弱だったので環状道路にも整備が行き届き始めてきたのはいい変化に思います…
新宿四丁目~五丁目あたりでいつも詰まっていましたね。あの交通量と人通りの中を、あの狭い幅員で通り抜けていたんですから、そりゃ詰まるわという気もしますが、開通後現場見ていてもそれなりの効果がありそうに見えました。
東京都は開通1か月後と6か月後(場合によってはどちらか)に、開通後渋滞減少等の効果があった際に報道発表していますので、それを待ちましょう。
今年は区部の骨格幹線街路の開通も含めた開通が目立ちました。環状線系統がこれほど開通する年もそんなにないんじゃないかなと思います。
>初台は新宿四丁目右折がいいんですね。
>なるほど。でも高円寺は直進して新宿五丁目”東”を右折がいいんですね。
甲州街道方面、初台は、ここを直進して、今回できた新宿御苑のバイパス手前のところで右折して立体のところ下って甲州街道に入る、が基本になるとは思いますが、その新宿御苑に沿った道は大型貨物は通行禁止のため、案内標識をどうしようかとした結果、なんとなく中途半端な初台へのあらかじめの右折的推奨表現になったのではないかと推測します…。大きい車にわざわざバイパス避けるように通行させるのはちょっと無理があると思うので、少なくとも新宿御苑のバイパス手前のところの右折は大型車も可能にしてほしいですよね。
あー確かにそういうことっぽいですね。
写真をよく見返してみたら、開通日時点で御苑前~甲州街道合流部もどういうわけか大型貨物等の進入禁止を残していますね。片側2車線にしては狭い以外は大型貨物走れそうなものですが。
新宿4丁目の信号現示の間隔は、開通後に変更されたのでしょうか。
先日交差点を通りましたが、交通量の減った旧明治通りの青がまだ長いように感じました。
さすがに、新宿御苑トンネルの渋滞解消までは難しいとは思いますが、もう少し国道20号を優先してもよいように感じました。
流石に変えているんじゃないですかね。
ただ歩行者通行量も非常に多い交差点なので、車両の交通量だけみて信号現示を変えられるとか簡単な話ではない気がします。