日野橋 架替えに伴い仮橋へ切替え 旧橋は99年の歴史に幕 2025.5

立川市日野市を結ぶ多摩川を渡る日野橋では、架替え事業が進められています。

2020年度から旧橋の横に仮橋を造る工事が進められてきましたが、それらの整備が概ね完了したことから2025年5月14日15時に仮橋に交通が切替えられました。同時に旧橋は供用終了となり、99年の歴史に幕を閉じました。

事業概要

多摩川に架かる日野橋では架け替え事業が行われます。

日野橋

日野橋とは

日野橋多摩川に架かる都道256号八王子国立線の橋です。左岸側(北側)は立川市で、右岸側(南側)は日野市です。道路は甲州街道として親しまれています。

橋が架けられたのは1926年のことで、それまでの渡し船(日野の渡し)に代わって架けられたものでした。当時は国道8号で、1952年に国道20号に指定されました。1964年には大規模改修が行われ、幅員などが広げられたそうです。2007年4月1日には、日野バイパスの開通に伴い旧道となったこの区間は都道に移管されました。

架け替え

2020年度より架け替え工事に着手することになりました。

2019年10月には台風19号により橋の一部が損壊する被害が出て、2020年5月に復旧したところですが、架け替えはそれ以前より計画されていたものです。

事業は約12年かかる計画で、2020年11月より1年目の工事が始まりました。

2025年3月1日時点で公式の発表はないと思われますが、当初の計画から工事が遅れていると思われます。(2025年3月1日追記)

2025年4月24日追記
2025年5月14日15時ごろ交通切替えが行われ、現橋の使用が終了する予定です。
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kensetsu/00007999

風洞実験で使用された新しい日野橋の模型

最近の発注状況

工事
発注年度工事名称受注者
2020年度日野橋仮橋設置工事(その1)ロード建設株式会社
2021年度日野橋上部工事(その1)その2三井住友鉄鋼エンジニアリング株式会社
2021年度日野橋仮橋設置工事(その2)巴山建設株式会社
2022年度日野橋仮橋上部工事(その2)株式会社横河ブリッジ
2022年度日野橋仮橋上部工事(その3)その2株式会社駒井ハルテック
2023年度日野橋切廻し道路工事岩田地崎建設株式会社
2023年度日野橋応急復旧工事(緊急施行) 巴山建設株式会社
委託
発注年度委託名称受注者
2014年度日野橋道路基本・架替計画検討株式会社建設技術研究所
2015年度橋梁概略設計(南西-日野橋その2)株式会社建設技術研究所
2016年度橋梁予備設計(南西-日野橋)株式会社建設技術研究所
2017年度橋梁予備設計(南西-日野橋)その2株式会社建設技術研究所
※これ以前はすべてを情報収集していません。重要案件のみ記載しています。
2018年度自然環境調査委託(南西-日野橋その5)株式会社地域開発コンサルタンツ
2018年度切回し道路予備設計(南西-日野橋)株式会社建設技術研究所
2018年度橋梁予備設計(南西-日野橋)その3株式会社建設技術研究所
2018年度自然環境調査委託(南西-日野橋その6)株式会社地域開発コンサルタンツ
2019年度橋梁予備設計(南西-日野橋)その4株式会社建設技術研究所
2019年度仮橋及び仮設道路詳細設計(南西-日野橋)株式会社建設技術研究所
2019年度自然環境調査委託(南西-日野橋その7)株式会社セルコ
2020年度自然環境調査委託(南西-日野橋その8)株式会社セルコ
2020年度日野橋ほか1橋現況測量大和測量設計株式会社
2020年度日野橋管理設計株式会社福山コンサルタント
2020年度日野橋現況測量委託株式会社カワコン
2021年度自然環境調査委託(南西-日野橋その9)株式会社セルコ
2021年度日野橋現況測量委託(4南西建)大和測量設計株式会社
2022年度現地測量(南西-日野橋)株式会社グラフィック
2022年度日野橋草刈委託株式会社四季庭
2022年度自然環境調査委託(南西-日野橋その10)株式会社フィスコ
2022年度日野橋現況測量委託(5南西建)株式会社セリオス
2023年度日野橋現況測量委託(5南西建)その2 東洋技建株式会社
2023年度自然環境調査委託(南西-日野橋その11) 株式会社セルコ
2023年度日野橋草刈委託 株式会社五嶋造園
2023年度自然環境調査委託(南西-日野橋その12)株式会社セルコ
2023年度自然環境調査委託(南西-日野橋その12)株式会社セルコ
2023年度日野橋現況測量委託(6南西建)東洋技建株式会社
2023年度日野橋管理業務委託(6南西建)株式会社福山コンサルタント
2023年度地質調査(5南西-日野橋)株式会社日さく
2023年度日野橋観測所局舎新築工事監理等業務(南西-日野橋)有限会社イーブン・イフ
2024年度旧橋撤去詳細設計(南西-日野橋)株式会社長大
2024年度護岸詳細設計(南西-日野橋)株式会社長大
2024年度日野橋草刈委託株式会社共進造園
2024年度日野橋現況測量委託(7南西建)東洋技建株式会社
2024年度自然環境調査委託(南西-日野橋その13)株式会社セルコ
2025年度日野橋現況測量委託(7南西建)株式会社福山コンサルタント
この表の注意事項
データ収集期間:工事すべて、委託2018年度~(それ以前は収集していません)
最終更新日:2025年5月14日

自治体等が運営する入札情報サービスなどをもとに情報を収集しています。見落とし等をする可能性があり、すべての契約を網羅しているとは限りません。特に普段とは異なる名称法則で発注されている場合は見落としが発生しがちです。また、入札後随時更新することは労力がかかりすぎて不可能であるため、データ収集開始日以前及び最終更新日以降の情報は掲載できていません
発注年度は入札日を基準としています。工事や業務は複数年にまたがる場合があります。
次の委託・工事は原則掲載しません。
・入札情報サービスに掲載されない契約(特命随契、少額随契、見積合わせ、オープンカウンター方式による契約など)
・用地の管理工事
・維持・修繕等の単価契約価契約
・入札不調や取り下げられた案件(公表する一部自治体除く)
・占用企業者による工事(下水道・水道・ガス等)
・物件補償や土地鑑定
・積算照査や発注者支援業務
など


この枠内の情報は随時更新されます。記事本文の情報と枠内の情報に時間的差異が生じる場合があります。

これまでの経緯

日野橋について

日野橋立川市日野市を結び多摩川を渡る甲州街道の橋で、1926年8月25日に供用開始されました。それまでは日野の渡しにより渡船がされていたものを置き換えました。
当時は旧道路法に基づく国道8号として指定されており、現道路法となった1952年からは国道20号として指定され、国の直轄管理がされていました。日野バイパスが全通したことに伴い2007年に国道の指定が外され、都道256号八王子国立線として認定され、現在は東京都が管理をしています。

仮橋工事が始まる前の旧橋(2020年撮影)

都の資料によると、1964年に拡幅工事や1974年の補強工事などの工事が行われていますが、当時の構造を色濃く残しています。

2014年度から架け替えの検討

都議会録等によると、2014年度から架け替えに向けた調査等を進めてきました。
2018年8月には、架け替え後の橋梁形式を「3径間連続合成斜張橋」とする旨の決定がなされています。

そんな矢先の台風被害

2019年10月に襲来した台風19号により、多摩川では各地で被害をもたらしました。

日野橋では、P5橋脚が洗堀により沈下したため橋桁に大きく段差ができ、即日通行止めとなりました。復旧工事はすぐに進められ、約7か月後の2020年5月に供用が再開されました。

仮橋を建設へ

日野橋の架け替えにあたっては、もともとあった橋の横に仮橋を建設し、交通を切替えたあと、旧橋を撤去。旧橋の位置に新しい橋建設し再度交通切替えという手順で進められる予定です。

仮橋は旧橋の上流側に、2020年度から建設が進められました。
構造はトラス形式を採用し、橋脚の数を減らし、合わせて施工性も確保しています。

仮橋の工事状況(クリックして拡大表示)

仮橋の工事は3ヶ年かけて行われました。河川区域内の工事は台風などの大雨が少ない渇水期(秋~冬)のみに限定されます。

2023年度からは仮橋に接続する区間の切回し道路工事が始まり、現在も続けられています。(岩田地先建設株式会社施工)


当初は2022年度の年間発注予定に記載されていた工事でしたが、当該年度中の発注はされず、約1年後からの工事となりました。入札情報サービス等を見る限り、何らかの修正設計が挟まったことで延期されたのではないかと思われます。

また、工事も当初は2024年11月下旬までの予定でしたが、工期延伸がされ、現在は2025年10月下旬までの予定となっています。

切替え時の状況

14時30分頃

当日は朝から現道との擦り付け部分で切替えに向けた工事が進められていて、車道部に関しては片側交互通行が実施されていました。

14:45に仮橋の歩道部分が開放され、歩行者等が先に仮橋を通行できるようになりました。

14:55には付近の車道交通をすべて通行止めにし、切替えに向けた最終の作業が行われました。

日野市方面へ渡り初め

そして15:00、橋の両側から白バイとパトカーの先導で交通開放がされ、それに一般車が続きました。

沿道には切替えを見に来たり、渡り初めをしに来たりした人がカメラを向けていました。

立川市方面へ渡り初め

交通開放後、車の流れは比較的すぐにいつも通りとなり、見ていた限りでは大きな混乱は生じていませんでした。

交通開放後の作業

交通開放後も切替え作業が進められていました。

仮橋の詳細

橋の区間

仮橋全景

仮橋の上部工はトラス桁で、左右の橋台に近い1径間ずつは既製品トラス桁となっています。

中央5径間は白色に塗装されています。

車道の有効幅員は8m歩道の有効幅員は2m×2で、旧橋と同様に両側に歩道が設けられています。

歩道部

旧橋は車道と歩道を隔てるものが縁石の段差だけでしたが、今回は構造が分かれていて、完全に分離されています。

道路照明も車道と歩道それぞれにつけられています。

車道

車道の両脇にはガードレールと低いポストコーンが設置されています。

旧橋と同様に、追い越しのための右部分はみ出し通行禁止となっています。

日野橋を含む前後の区間では、制限速度が50km/hから40km/hに引き下げられています。橋梁及び道路の設計速度が40km/hであることに伴うものとみられます。
なお、この区間は警視庁の速度見直しに伴い2020年頃に40km/hから引き上げられていた経緯があり、元に戻った形となります。

立川市側擦り付け部

立川市英野球場前横断路

立川市側は、川を渡ってすぐの立川市営球場前横断路でS字カーブを描くように現道にすりつけられています。横断路の押しボタン式信号は継続して設置されていて、野球場(コトブキヤスタジアム)への出入りもこれまで通りできます。

移設された水位観測所

仮道の部分には、もともと国土交通省の水位観測所があり、今回の工事に伴って隣接地に移設されています。

これによりカメラアングルが少し変わっています。

日野市側擦り付け部

日野市側擦り付け部

日野市側は、南側の横断歩道橋にかけて現道にすりつく形となり、日野橋南詰交差点は西へ約30m移設されています。(この写真では旧信号が点灯しているが、すぐにカバーが掛けられ使用廃止となった)

工事中、大型マンション(ニューロシティ)北側道路が通行止めになっていましたが、仮橋の供用開始と同時に通行止めが解除されています。

日野橋南詰バス停も切回し道路に移設され、バスベイも設置されました。このバス停を経由するバスは土曜の1往復(運行経路が特殊なので2回停車する)のみで、ほぼ使われることはありません。

日野橋から大型マンション北側へは、引き続き右折禁止となっているので注意が必要です。

旧橋は解体へ

使用終了した旧橋

旧橋は仮橋の供用開始をもって使用終了となり、Aバリなどで締め切られました。

件名履行場所概要公表予定時期履行期間
【財】【週休2日工事】日野橋旧橋撤去工事日野市日野~立川市錦町六丁目地内旧橋撤去一式 工事発注規模:A03 7億円以上~9億円未満7月上旬契約確定の日の翌日から240日間
【財】【週休2日工事】日野橋旧橋撤去工事その2日野市日野~立川市錦町六丁目地内旧橋撤去一式 工事発注規模:A02 5億円以上~7億円未満7月上旬契約確定の日の翌日から240日間

年間発注予定によると、今年度の発注予定に2件の旧橋撤去工事が掲載されています。どの部分を撤去するのかまではわかりませんが、順当にいけば桁の撤去から行うのではないかと思われます。

左岸側

なお、切回し工事関連の工事は現在も続けられていて、河川区域内で重機が複数動いています。

旧橋、長い間お疲れ様でした。

撮影日:2025年5月14日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。

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