登戸土地区画整理事業 登戸駅南側で解体始まる向ヶ丘遊園駅北口前は消滅 進捗状況2022.2

川崎市多摩区で事業が行われている登戸土地区画整理事業の進捗状況を見てきました。

登戸駅の南側(中央口、生田緑地口)で解体工事が始まっていたほか、向ヶ丘遊園駅北口前の商店等が消滅していました。

事業概要

登戸土地区画整理事業川崎市多摩区で事業が行われている土地区画整理事業です。周辺には南武線・小田急小田原線の登戸駅や向ヶ丘遊園駅があります。

施行者は川崎市、1988年3月に都市計画決定、1988年9月に事業計画決定を行い、現在も事業が続けられています。

施行者川崎市
施工面積約37.2ha
事業施行期間1988年9月16日~2026年3月31日
2020年9月17日現在

この枠内の情報は随時更新されます。記事本文の情報と枠内の情報に時間的差異が生じる場合があります。

写真等

撮影位置はこの通りです。

登戸駅南側

①登戸駅前(JRと小田急の乗換ペデより撮影)(地図

登戸駅南側駅前の商店が集積している地区です。ここも土地区画整理事業の範囲に入っています。2005年頃に、小田急線の複々線化やJR登戸駅の橋上駅舎化などで、周辺では大きな変化がありましたが、この一角だけはずっとこのままの状態です。

2021年4月24日には、この一角を範囲とする登戸駅前地区市街地再開発組合が設立されました。事業協力者として、東急株式会社、東急不動産株式会社、小田急電鉄株式会社、小田急不動産株式会社が参画しています。

2022年2月7日には、市条例に基づく、(仮称)登戸駅前地区市街地再開発事業に係る環境影響評価方法書の写しの縦覧が始まり、2022年3月23日まで縦覧を行っています。

上記条例環境影響評価方法書によると、共同住宅・商業施設を主要用途とする地上35階、地下1階、高さ約136m(搭屋等含む最高高さ146m)の高層ビルを建設する予定としています。

また、川崎市が2022年1月27日発表した報道発表によると、この市街地再開発事業が予定されている区域で計画されている区画道路計画を廃止し、大街区化を行う事業計画変更を行う予定であり、2022年12月にも変更認可がされる予定とのことです。

②登戸駅交通広場予定地内に建てられている商業施設(地図)

登戸駅南側(中央口・生田緑地口)前の駅前広場予定地には2階建ての店舗が建っています。

川崎市議会録を読む限り、小田急線の複々線化やペデストリアンデッキの建設が盛んとなった2005年前後に仮設店舗として建設されたもののようです。

この店舗の今後について具体的にアナウンスされているのを見たことはありませんが、今後の土地区画整理事業が進展し、仮換地が指定されると、更地になり駅前広場が建設されるものと思われます。

③登戸駅南側の街区(地図

登戸駅南側では、既に一部建築物の解体が始まっています。

駅前の建物群が解体されるのも時間の問題かもしれません。

この写真③の正面の区画道路を建設する工事が入札に掛けられています。

④市街地再開発事業予定地と、都市計画道路「登戸野川線」予定地

2022年2月26日現在、店舗等に閉店のお知らせは見当たりませんでした(感染症拡大に伴う臨時休業は見られた)。

なお、この街区の一部は川崎3・5・8号登戸野川線の建設が予定されています。写真正面から小田急線をくぐり抜ける計画です。

⑤登戸野川線と小田急線との交差地(地図

川崎3・5・8号登戸野川線と小田急線と交差する地点です。

小田急線の複々線化当時から道路予定地の空間は確保されており、現在はその一部が駐輪場として利用されています。

この高架下空間のうち北側の約半分(写真反対側)について、道路を建設する工事が入札に掛けられており、来年度以降工事を行うものと思われます。

登戸1号踏切付近

⑥登戸1号踏切(地図

登戸土地区画整理事業の区域内ではありませんが、小田急小田原線の登戸駅~向ヶ丘遊園駅間に唯一存在する登戸1号踏切です。

2022年1月27日の川崎市の報道発表によると、当初の計画では小田急小田原線を複々線化した上で嵩上げし、線路の下を通り抜ける道路に付け替える予定でしたが、2025年度までに複々線化が実現する可能性は極めて低いため、付け替える予定の道路計画を廃止する事業計画変更を行う予定とのことです。
この登戸1号踏切は付替えによって廃止予定でしたが、付替えもせず予定通り廃止予定とのことで、暫定の代替歩行者動線の確保を検討するとしています。

⑦小田急線北側道路(地図

登戸1号踏切付近の小田急小田原線北側では、土地区画整理事業に伴い建物の解体が進んでいます。

線路沿いの道路は、線路とは反対側に若干移設する計画で、登戸駅側から付替えが進んでいます。

小田急小田原線と道路との間の敷地は複々線化の用地ですが、現在のところ、小田急線の登戸駅~向ヶ丘遊園駅間の複々線化(4線化)に関する事業計画は公表されていません。登戸駅1番線も堅牢な構造で造ってますし、感染症拡大の影響もあっていまの小田急にやる気はあるのかなぁ・・・?

登戸2号線

⑧アトラスタワー北側の登戸2号線(地図

アトラスタワーの北側で電線共同溝設置・道路築造工事が行われていた川崎3・4・17号登戸2号線は、工事がおおむね完了していました。2022年2月26日現在、車道部の開放はされていませんが、歩道部は開放されています。この道路北側にあった道路は廃止になっています。

道路の排水施設などは整備されていますが、縁石などは設置されておらず、どのようにして整備していくのか気になるところです。また、電線類の地中化はまだ行われていません。

⑨登戸駅方面(地図

登戸駅との間の唯一支障となっている建物についても解体工事が始まっていました。

向ヶ丘遊園駅北口

⑩向ヶ丘遊園駅北口で計画されている高層マンション予定地(地図

向ヶ丘遊園駅北口広場北側で計画されている高層マンション((仮称)神奈川県川崎市多摩区登戸51街区計画)予定地では、建物の解体がほとんど完了していました。敷地内では地質調査のようなことをしていました。

この正面の道路については将来的に廃止予定ですが、今のところ今まで通り通行でき、廃止の予告等も掲示されていませんでした。

⑪向ヶ丘遊園駅北口広場予定地(地図

向ヶ丘遊園駅北口広場が予定されている区画でも、建物の解体が始まっています。

⑫登戸2号線(地図

多摩区役所方面に至る川崎3・4・16号登戸2号線は、表面上は大きな変化は見られませんが、沿道では建物の建設が盛んになっています。

電線類を地中化するための電線共同溝設置工事が入札に掛けられています。

2022年3月18日追記

2022年4月1日より、路線バスのルートが変更となり、登戸2号線を経由するようになります。

⑬向ヶ丘遊園駅北口(地図

向ヶ丘遊園駅北口では、駅前の商店群の解体が一斉に始まっています。

⑭向ヶ丘遊園駅北口(地図

あの店も解体されていました。

2021年12月の記事には2021年2月との比較画像があります。

⑮向ヶ丘遊園駅北口(地図

⑯向ヶ丘遊園駅北口(地図

どんどん変化しています。

⑰向ヶ丘遊園駅北口北西側街路(地図

向ヶ丘遊園駅北口の北西側街路の整備も始まっていて、徐々に事業の完了も近づいています。

川崎市のサイトによると、2022年1月1日現在の仮換地指定面積率は94.8%(91.9%)、宅地使用開始面積が79.2%(72.0%)、道路築造延長が進捗75.1%(68.7%)となっています。
※カッコ内は2021年1月1日現在(参考)

撮影日:2022年2月26日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。(0690)

コメント

  1. 田中田中 より:

    向ヶ丘遊園駅北口の某パチンコ屋も解体したらいいのに。

  2. 菫ママ より:

    街をつくるということは人をつくることでもあるので

    未来を担う子どもたちにふさわしい美しい街並みが欲しいですね。

    いつものことですが,これだけの編集にかける熱意に頭が下がります。

    お身体大切になさってくださいね。

  3. 麻生人 より:

    テレワークになって、この辺りも全く通らなくなってしまったのですが、南側も開発が進んでいたとは。
    仰る通り、完全複々線化は無理そうですね。

    • yunomi-chawan yunomi-chawan より:

      南側、特に駅前についてはいよいよ始まったというところですね。目に見える形でさらに進展すると思います。

      複々線化は土地区画整理事業によって用地は捻出していて、小田急登戸駅も複々線化を見越した線形を準備してはいます。5年で完成は当然できるわけもないですが、コロナという鉄道会社にとっては危機的な状況で、旅客数も減っているなかで、今後も新たな大規模投資はしそうにないですね。

  4. 匿名 より:

    遅れに遅れた進行からして何と言うか迷走している感は否めない状況なんだよね。
    現状駅周りの飲み屋街を潰すためだけにやった再開発という印象しかない。
    JRからも小田急からも見放されているような立地だから下手に手を入れない方が良かったんじゃないだろうか

    • 伝統を守る より:

      古きを残すことも大切です。古きを知りませんが、どこでも同じような駅になりとてもつまらないです。
      大きい建物や大型マンションはもうやめてください

    • yunomi-chawan yunomi-chawan より:

      市の資料を読んでも、事業の遅れは市としても認識しているようで、集団移転方式を採用するなどの方法を取っています。

      事業前は幅の狭い道路に木造住宅が密集していて、防災上、衛生上もふさわしくなく、災害にも弱いなどの問題を抱えていました。土地区画整理事業によってインフラを整備し、土地の形状を整えることで、土地自体の価値は高まることを見込んで行っています。
      事業施行前にあった飲み屋街をどのように存続させるか、またよりよい街並みにしていくかは、結局は地権者の意向ではあるものの、行政の腕の見せどころでもあります。ただ、事業の終盤に差し掛かった段階で「まちづくり方針」や「まちづくりビジョン」を策定しているところは、うーん……と思わざるを得ません。

      JRや小田急から見放されているといっても、自分で土地を持っていなきゃ何もできません。JRの商業施設が充実しているところは、貨物線の跡地などが多く、登戸駅もかつて貨物を扱っていたとはいえ、元私鉄の南武線にはそんな土地はほとんどありません。
      小田急についても自前の土地はほとんどなく、高架下の限られたスペースに出店してはいます。

      これから土地区画整理事業地内に予定されている再開発事業には、小田急電鉄や小田急不動産が加わってますし、快速急行も停車させるなど、見放されているのはちょっと違うと思います。

  5. 横浜小市民 より:

    川崎市は、津久井道や横浜生田線など、幹線道路の拡幅が進まず、道路が非常に貧弱で都市機能がアップデートされていない感が強いです。横浜生田線などは、横浜市区間などは随分前に拡幅が終わり、スイスイ走れますが、川崎に入った途端、工事はしているものの、進捗が極めて遅く、いつできることやら、そうこうしている間に、高齢化が進んで車の量も減ってしまいます。
    一方で、登戸の区画整理に、どれだけ市の職員のリソースを割いているのか?(しかもかなり遅れていたり、小田急が複々線化できずにいる)。なんか、力を入れる場所を間違えている感がしています。

    • yunomi-chawan yunomi-chawan より:

      川崎市は、東京都や横浜市から境を越えると急に貧弱になることが多いですね。
      財政的にも東京都や横浜市と比べると格差がありますので、そうなってしまうのも仕方ない点はあるとは思います。

  6. たま区民 より:

    はじめて訪問しましたが情報量と粒度が素晴らしいです。
    定期的に見させていただきます。
    ありがとうございます。

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