多摩川住宅ホ号棟建替え始まる

調布市にある多摩川住宅ホ号棟では、2022年1月より建替えのための解体工事が始まりました。

多摩川住宅ホ号棟

多摩川住宅調布市及び狛江市にある大規模団地で、東京都住宅供給公社(JKK)が手掛け、1966年(ホ号棟は1968年)に入居が始まりました。イ号棟・ロ号棟・ハ号棟・ニ号棟・ホ号棟・ト号棟の街区からなり、イ・ロが賃貸、その他が分譲となっています。

今回建替え工事が始まったのはホ号棟で、11の住棟から構成されています。

ホ号棟の住棟案内

都市計画上は、1964年1月27日に、多摩川住宅と隣接するソシア多摩川を含む区域で、「多摩川一団地の住宅施設」が決定され、それに基づき整備がされました。

補足

一団地の住宅施設」というのは、都市計画法第11条に定められた都市施設の1つで、区域や面積のほか、建蔽率・容積率の限度、住宅の予定戸数、公共施設・公益的施設及び住宅の配置の方針などを定めることになっています。※1969年の現行都市計画法施行以前は「一団地の住宅経営」と言った。

この「一団地の住宅施設」はかなり細かく計画を定めるため、建替えの足かせともなっており、2000年には国土交通省が「地区計画の活用等により引続き良好な居住環境を確保した上で、一団地の住宅施設を廃止する事が望ましい。(抜粋)」との方針を示しています。こうしたことから、調布市内でも仙川一団地の住宅施設や、金子一団地の住宅施設が既に廃止され、地区計画に移行しています。全国的に、こうした地区計画への移行が進められています。

2007年には、多摩川住宅街づくり協議会が発足し、まちづくりの方向性の検討が行われてきました。こうしたことを踏まえ、2017年9月29日には、一団地の住宅施設を廃止し、地区計画の決定が行われています。

地区計画への移行によりホ号棟のある区域では、建蔽率の限度が26%→40%(条件に適合し、市長が認めた場合は41%)に、容積率の限度が60%→160%(条件に適合し、市長が認めた場合は170%)と、大幅に緩和されています。

現地に設置された看板

ホ号棟では、2015年に事業協力者として住友不動産・長谷工コーポレーションを選定。2020年に団地一括建替え決議が成立しました。

ホ号棟北側

2022年1月10日現在、樹木の伐採が一部区域で行われていました。SNS等の書き込みによると、1月下旬には仮囲いがされ、建物の解体も進められているとのことです。

多摩川住宅ホ号棟マンション建替組合等による報道発表によると、ホ号棟は建替え後、7棟910戸(現在は11棟380戸)となり、2025年に竣工する予定です。

多摩川住宅では、ホ号棟以外でも建替えに向けた検討が進められており、今後こうした動きが活発化していきそうです。

多摩地域では他の団地でも建替え検討進む

国立富士見台団地(分譲)

多摩地域では、このほかにも建替えに向けた検討が行われている半世紀ほど前の団地が複数あります。全部をここに書くつもりはありませんが、国立市の国立富士見台団地もその1つです。

国立富士見台団地の入口には、開発事業標識が設置されています。

外部の人がごちゃごちゃ言うものではないかもしれませんが、先行したこうした団地の建替えで、容積率を緩和して建物をギチギチに詰め込んだような場所もないとは言えず、団地の環境の良さなどいいところを活かしながら進めていってほしいなというのが、私の感想です。

撮影日:2021年11月10日、2022年1月10日ほか 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。(0500)

コメント

タイトルとURLをコピーしました