世田谷区と川崎市中原区の間を流れる多摩川で事業中の等々力大橋(仮称)では、2021年11月頃より橋梁工事が始まっています。
今回はP3橋脚とA2橋台を建設する2件の工事が並行して行われ、2022年5月下旬にはおおむね完了し片付け作業などを行っていました。
事業概要
目黒通りを延伸し、多摩川に橋を架け、川崎市側も道路を新設する事業が行われています。
東京都側の都市計画道路名は「放射第3号線」、神奈川県側の都市計画道路名は「川崎3・3・10号宮内新横浜線」で、橋の名前は「(仮称)等々力大橋」です。
放射第3号線
放射第3号線は港区芝白金台町一丁目から世田谷区玉堤二丁目神奈川県界に至る延長約10,000mの都市計画道路です。このうち、等々力不動前交差点から多摩堤通りに至る延長約775mで事業を行っています。
事業認可は1990年6月28日で、施行者は東京都です。
幅員25~33mで、片側2車線の道路となる計画です。
施行者 | 東京都 |
延長 | 約775m |
幅員 | 25~32m |
事業施行期間 | 1990年6月28日~? |
2020年7月26日現在 |
川崎3・3・10号宮内新横浜線ほか
川崎3・3・10号宮内新横浜線は川崎市中原区宮内1丁目(東京都界)から川崎市高津区蟹ヶ谷悝槍ヶ崎(横浜市界)に至る延長約4,560mの都市計画道路です。このうち、宮内1丁目、2丁目地内の約720mで事業を行っています。
また、これに関連する街路として、川崎3・4・3号鹿嶋田菅線や、市道幸多摩線などの事業も行っています。
事業認可は2011年1月4日で、施行者は川崎市です。
幅員22~34mで4車線となる計画です。
施行者 | 川崎市 |
延長 | 約720m(宮内新横浜線のみ) |
幅員 | 22~34m |
事業施行期間 | 2011年1月4日~2031年3月31日 |
2021年3月30日現在 |
(仮称)等々力大橋
多摩川を横断し、東京都世田谷区と神奈川県川崎市中原区を結ぶ橋として事業が行われています。
事業主体は東京都・川崎市、施行主体は東京都です。橋長は約390mで、鋼4径間連続鋼床版箱桁橋となります。
事業主体 | 東京都・川崎市 |
施行主体 | 東京都 |
延長 | 約390m |
上部工形式 | 鋼4径間連続鋼床版箱桁橋(ケーブル補剛) |
下部工形式 | 橋台 2基(場所打ち杭) |
橋脚 3基(ニューマチックケーソン) | |
2020年7月26日現在 |
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写真等
等々力大橋(仮称)
等々力大橋(仮称)では、2021年度より、初めての工事が始まりました。
P3橋脚を建設する工事は「等々力大橋(仮称)下部工事(その2)」で日本国土開発株式会社が、A2橋台を建設する工事は「等々力大橋(仮称)下部工事(その3)」で松鶴建設株式会社がそれぞれ施工しました。
※「その1」工事は2020年度に発注され業者も決定していましたが施工はされませんでした。
今回建設されたP3橋脚とA2橋台は、どちらも多摩川の右岸側(川崎市側)となります。
既に工事は最終段階及び片付け作業の段階になっていて、工事中は切回されていた河川管理通路も元に戻されています。
こちらがP3橋脚です。上下線が一つの橋脚となっています。現在はコンバインドローラーなどによって周辺の転圧を行っている様子でした。
A2橋台はほぼ完了しているようで、この時は特段の作業は行っていませんでした。足場が残っているのでまだ何かするのかもしれません。
A2橋台は堤防法線に沿って建設されており、堤防天端の河川管理通路が一部狭くなっています。将来的には多摩沿線道路も嵩上げされる計画のため、この狭さも解消するはずです。
入札情報サービスによると、2022年度も橋脚1基を建設する工事と、低水護岸工事が予定されています。
多摩沿線道路付近
以下、撮影位置はこの通りです。
多摩沿線道路沿いでは、道路に沿って空地が増えていました。
道路に直接関係する工事は行われていなかったものの、多摩沿線道路沿いでは、下水道の枝線工事が行われていました。これが将来的な道路に関係するのかは不明です。
工事件名は「久末地区ほか下水枝線第3号工事」で、2022年7月1日までの予定で、河﨑組建設業株式会社が施工しています。
川崎3・3・10号宮内新横浜線(宮内工区)
多摩沿線道路沿いの取得済み用地では、別工事で使用していると思われる資機材が留置されていました。
その先では、引き続き用地の取得が進められています。ここから見える範囲でも、昨年と比べるといくらか用地取得に進展があるように見えます。
川崎市のサイトによると、2022年3月末現在の用地取得率は54%とのことです。1年前と比べると3ポイント増加しました。
中間地点でも用地取得された土地がありますが、正直あまり変化がないなぁといい感想です。
西下橋交差点から見た様子は変化が全くありません。
ところで、川崎市では、2016年3月に『第2次川崎市道路整備プログラム』を策定し、向こう10年間の都市計画道路の整備の方針を示していました。策定から5年が経過した2021年12月1日には、計画期間を4箇年延伸するとともに、残りの期間(工期)の取り組みについてまとめた『第2次川崎市道路整備プログラムの後期の取組(案)』を公表し、意見を募集していました。
なお、取組(案)によると、等々力大橋(仮称)については2025年度までの完成を目標としているものの、宮内新横浜線(宮内)は2029年度になっても完成しない目標となっています。要するに、世田谷区側から来ると、橋はできてもその先がない状況が最低でも4年程度は続くということです(たぶんもっと続くけど)。
意見募集結果については、2022年2月4日に公表され、それによると、10通13件の意見があったようです。
国道409号府中街道
西下橋交差点で交差する国道409号府中街道についても、交差点周辺を拡幅する計画となっていますが、ぱっと見では変化がありませんでした。
撮影日:2022年5月28日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。(0200)
コメント
川崎側の工場と道路計画の歴史は分かりませんが
ダダ被りの状態ですので、買収は難航するのではないでしょうか?
移転するにしても、移転先の周辺住宅などの同意等もかなり大変だと思いますし・・
立退きの意思があっても、代替地が見つけられずに移転できないケースは多いです。
特にここのような準工業地域だったりする場合は、移転先がなかなか見つけられない(土地が余ってない)ことが多いです。
1ヶ月位前に河川敷を通った時は工事が真っ盛りという感じだったので、
こんなに早く完了するとは思いませんでした。
基礎部分が出来てしまえば早いんですね。
話が少しずれますが、道路予定地に面してドラマ撮影で使用している
廃工場スタジオがあるのですが、道路が完成すると交通量が多くなり
廃墟感が薄れるだろうなあと思いました。
準備に比べて片付けはそこまで時間がかからないので、撤収が始まると早く感じるかもしれないですね。特に河川区域内の工事だと、出水期までに河川内のものを退けないといけないので、段取りよく作業する必要があります。
一般的に架橋工事は高額なため後回しにされるケースが多いように思っていました。
このプロジェクトでは川崎側の用地取得率が低い割に橋梁工事が早いような気がしますがどうなのでしょうか。
高額であろうと、かかる金額は変わりませんし、何なら単価はどんどん上昇していきます。むしろ、先に作ってしまった方が、多くの人に利用してもらえて、経済効果が生まれた方が、そこにある価値は高まっていくと思います。
等々力大橋も十分後回しにされた方だと思います。周辺の橋梁の架け替えや車線増などが一通り完了した(もっと優先度が高いものが完成した)ので、ようやく着手できたと私は見ています。
記事にも記載の通り、橋が完成した段階では川崎側の道路は完成しない予定です。
世田谷側の道路は堤防の上で目黒通りとの接続もすぐ出来そうな状態ですが、川崎側の道路は堤防の下で、先が完成しないと橋は出来ても開通しないなんて可能性もありえますか?それとも道路だけ嵩上げして、T字の形でとりあえず開通ですかね。
二子橋の渋滞緩和の為にも早く作って欲しいです。
流石に橋梁の高さまで多摩沿線道路の嵩上げはするものと考えています。
この記事の投稿後、多摩沿線道路と道路建設予定地右側のピンクの建物の間にコインパーキングが設置されていました
工事関係者用ではなさそうですが、こんな場所に需要があるのか微妙でした
西下橋交差点の多摩川よりにある居酒屋の二階の賃貸に入居者募集看板がずっと掲げられているので、隣のたこ焼き屋含め、立ち退く気は無さそうですね
川崎市では道路予定地を、工事が始まるまでの間暫定的に駐車場用地として貸し出していることがあるのですが、この土地はそのような情報が見つからなかったです。何でしょうかね。
参考( https://www.city.kawasaki.jp/shisei/category/47-6-10-0-0-0-0-0-0-0.html )
近隣のコインパーキングは割と駐車が多いので、意外と需要はあるかあも知れません。
用地についてですが、立ち退く気があっても予算が付かない等で立ち退きができないこともあるので、表面上の状況だけ見て判断するのは良くないです。
高津区子母口の計画道路沿いに住んでます。矢上川〜高田駅間は全く進んでおらず、特に施工期間を要するはずの矢上川橋梁(既設の鷹巣橋こ横に必要と思われる)は、護岸用地買収すら未完了です。
驚くことに現在、道路&護岸用地となるはずの左岸側に住宅メーカーが建売を何棟も建ててます。見た感じではまもなく引き渡し段階と思われ、なぜ建築許可が下りたのかさっぱりわかりません。しかも買い手が付いてるようなので驚きます。
矢上川~高田間は都市計画決定はしているものの、事業化していませんので用地取得もしていません。
都市計画線にかかる土地には木造2階建て(地域によっては3階建て)までしか建てられないなどの建築制限が掛かりますが、土地の売買に関しては制限はかかりません。(土地を売る際に重要事項説明はされるはずです)
したがって、建築許可は当然下ります。