新座市で都市計画変更に向けた手続きが行われている新座3・4・1号保谷朝霞線のうち国道254号~産業道路間の様子を見て来ました。
新座3・4・1号保谷朝霞線は、新座市畑中二丁目(国道254号交差部)から新座市野寺四丁目(都県境)に至る延長約4,400mの都市計画道路で、埼玉県では「広域幹線道路としての道路整備」として事業を推進しています。このうち、国道254号~産業道路間は幅員20mとして決定されていますが、これを幅員27mに拡幅する都市計画変更手続きが行われており、2024年12月には原案に係る説明会が開催されました。
埼玉県の資料によると、都市計画変更まで1年程度かかる見通しです。通常、都市計画変更後に事業着手に向けた手続きを行うと見られますが、都市計画変更原案説明会の埼玉県の資料には事業着手に関する記載がありません(過去の説明会資料ではあり)。また、埼玉県では「埼玉県道路整備プログラム」等の計画において、東京都や川崎市・横浜市などのような事業着手予定路線や優先整備路線を公表していません。
この道路の記事
現在の状況
新座3・4・1号保谷朝霞線
現在の都市計画では、国道254号~産業道路は幅員20mで都市計画決定されています。これを幅員27mに変更する都市計画変更手続きが行われています。
あわせて車線数を4と定め、国道254号(新座3・4・2号東京・小諸バイパス)と立体交差とする変更をする予定です。
かつては都市計画で車線数を定める必要がありませんでしたが、現在は新しく都市計画道路を決定する場合や、変更をする場合には車線数を定めることとなっています。
幅員の変更は、大部分がもともとの道路の線形をなぞる形となっていますが、関越自動車道交差部分は現在の橋脚の間を掘割で通過するため、線形が若干変更されています。
現在 | 変更後 | |
---|---|---|
名称 | 新座3・4・1号保谷朝霞線 | 新座3・3・1号保谷朝霞線 |
延長 | 約4,400m | 約4,400m |
代表幅員 | 20m | 27m |
車線数 | ー | 4 |
交差形状 | 東京・小諸バイパスと平面交差 | 東京小諸バイパスと立体交差 |
また、幅員を27mに拡幅することで、この路線の代表幅員も変わるため、都市計画道路名称は新座3・3・1号保谷朝霞線に変更となる見通しです。これは、2つ目の数字が幅員により分類されているもので、「4」の代表幅員16~22mから「3」の代表幅員22m~30mとなるためのものです。
国道254号と交わる榎木ガードから南側が保谷朝霞線の区間です。
現状国道254号と県道36号は榎木ガードと呼ばれる橋梁で立体交差しています。池袋側には互いの道路を接続する取付道路がありますが、鋭角で曲がる必要があったり、時間帯によって右折禁止であったりと、制約の多い構造となっています。
国道254号に計画されている新座3・4・2号東京・小諸バイパスも都市計画変更する計画で、立体交差は維持しつつ、国道254号に側道を設けてよくある形状の立体交差になる計画です(後述)。
現道にあたる県道36号保谷志木線です。歩道と呼べるか怪しいほど狭い箇所もありますが、一応は歩行空間は確保されています。
新座3・4・1号保谷朝霞線はここからまっすぐに道路ができる計画です。
この付近は第一種住居地域となっていて、戸建て住宅のほかマンションや倉庫などもあり、やや雑多な地域になっています。
都市計画変更で計画幅員を広げるのは、おおむね現在の幅の両側に均等に広げるような計画になっていますが、埼玉県の資料を見る限り、この部分はマンションを避けるようにやや偏って広がるように見えます(図面にどれほどの精度があるかわかりませんが)。
この先の区間は市街化調整区域となっていて、畑が多いものの、宅地化もそこそこ進んでいます。
この先再び住宅地を貫き、やや右カーブをする計画です。
この先2箇所にまとまった墓地があり、都市計画変更後の線形はこれを意図的に避けるようにS字カーブしているように見えなくありません(県は関越道交差の構造のためとしているが)。
さらに住宅地を抜け、この先は関越道と交差するため、掘割構造となっていきます。
関越自動車道(当時は東京川越道路)の建設当初から高架構造になっていて、この下をくぐる計画です。ただし高さが足りないため、保谷朝霞線が掘割構造になる計画で、幅員を広げる関係で橋脚を挟んで上下線で別々の構造になる計画です。
新座市では、この付近にスマートインターチェンジを設置する構想を持っており、2024年度の新座市長の施政方針表明でも言及されています。
また、都営大江戸線の延伸構想において、この付近に駅を設置する構想があり、それらに起因した街づくりの構想もありますが、現時点で延伸は不透明です。
黒目川と交差します。当然ながら橋梁構造となる計画です。
産業道路と交わるここが南端です。
ここから南側は都県境まですでに事業中で、将来的には調布保谷線(伏見通り)まで繋がる計画です。
東京小諸バイパス・黒目川通線
新座3・4・1号保谷朝霞線の都市計画変更にあわせ、交差する新座3・4・2号東京・小諸バイパスと、続く朝霞3・4・8号黒目川通線でも都市計画変更が行われる予定です。
国道254号川越街道(新座バイパス)と県道36号保谷志木線は立体交差し、池袋方で連絡路が設けられているものの、その形状から制約が大きくなっています。特に川越方面からは左折不可であるほか、時間帯によって右折禁止になる時間帯があります。
整備後には国道254号の上下線に側道(ランプ)が設けられ、よくあるようにランプを介して互いの道路が接続される計画です。このため、側道用地として部分的に拡幅される計画です。
なお、「東京・小諸バイパス」は都市計画道路の名称であり、一般的には通じないと思います。
現在 | 変更後 | |
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名称 | 新座3・4・2号東京・小諸バイパス | 新座3・4・2号東京小諸バイパス |
延長 | 約4,060m | 約4,060m |
代表幅員 | 18m | 18m |
車線数 | ー | – |
交差形状 | – | 保谷朝霞線及び黒目川通線と 立体交差 |
変更後は、名称の中黒「・」が削除されるほか、立体交差についても規定される予定です。車線数は定めないようです。
また、当該部分の幅員は広がりますが、代表幅員はその路線の幅員別で見たときに最も延長が長い部分の幅員とするため、今回は書類上は変更がありません。
この道路は東京と川越方面を結ぶ重要な道路で、交通量は非常に多いです。
道路が整備された1960年代は周りは農地ばかりでしたが、70年代以降急速に宅地化が進みました。
通常、都市計画道路の区域内には、2階建て以下の木造等しか建てられないなどの建築制限が掛かりますが、ここは後から計画を広げるため、5階建て相当の鉄筋コンクリート建築物も数軒あり、通常の用地買収よりも手間がかかりそうです。
現在のランプ部は歩道がなく、現在の道路構造令に照らすとかなり怪しい構造です。
また、橋梁部も写真①のように非常に狭く、隅切りもないなど、危ない構造です。
橋梁部は拡幅される計画であり、架け替えが想定されます。現道を切回しながらの施工となり、大掛かりな工事となりそうです。
朝霞台方面に伸びる朝霞3・4・8号黒目川通線は、幅員は変更されないものの、線形を若干変更する都市計画変更が予定されています。また、車線数を2として定める計画です。
現在 | 変更後 | |
---|---|---|
名称 | 朝霞3・4・8号黒目川通線 | 朝霞3・4・8号黒目川通線 |
延長 | 約5,180m | 約5,180m |
代表幅員 | 18m | 18m |
車線数 | ー | 2 |
交差形状 | – | 東京小諸バイパスと立体交差 |
※朝霞3・4・8号黒目川通線は、朝霞都市計画として新座市域に越境して定められているもので、新座市域だけの延長で見ると約250mとなる。
朝霞3・4・8号黒目川通線は秋ヶ瀬橋付近まで計画されていますが、朝霞台駅付近の一部を除いて未完成です。
広域的にみると・・・
広域的に見ると、相模原市まで一部区間を除き4車線の道路となります。
事業中箇所については下記リンクからご覧ください。
①新座3・4・1号保谷朝霞線(国道254号~産業道路間)当記事の区間
②新座3・4・1号保谷朝霞線(産業道路~県道36号間)
③新座3・4・1号保谷朝霞線(県道36号~都県境間)
④多摩3・1・6号南多摩尾根幹線(稲城福祉センター入口~多摩東公園間)
⑤多摩3・1・6号南多摩尾根幹線(多摩東公園~多摩市総合福祉センター入口間)
⑥町田3・3・50号小山宮下線及び相模原3・5・3号宮下横山台線
中央道~旧甲州街道間も早期に4車線化を
将来的に埼玉県新座市から神奈川県相模原市まで4車線の道路が続くことになりますが、調布市内の中央道~旧鶴川街道間は2車線のまま残ることになります。
この区間は幅員18m~22mで決定され、この幅員の道路としては決定していますが、前後の区間が4車線で広幅員であることから、2016年に策定された『東京における都市計画道路の整備方針』では「計画検討路線」に選定されています。前後の区間との車線数の整合を図る必要があるとされ、事実上4車線化を見込んだ書き方になっています。
ただ、都市計画変更に向けた具体的な動きがなかなか見られません。
撮影日:2025年1月13日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
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