藤沢市のJR東海道本線の大船駅~藤沢駅間に設置が計画されている村岡新駅及び村岡新駅周辺地区のまちづくり、並びに鎌倉市の深沢地区のまちづくりの進捗状況を見てきました。
報道等にもあったように、2021年2月月8日には、神奈川県、藤沢市、鎌倉市とJR東日本が新駅を設置することに合意し、覚書を締結しました。藤沢市や鎌倉市ではかねてより新駅設置を見据えたまちづくりの検討が行われていましたが、覚書の締結により新駅設置が現実的となっています。
村岡新駅は武田薬品工業や神戸製鋼所の付近に計画されています。ここにはかつて湘南貨物駅が存在していた場所で、貨物駅は1985年に廃止されています。
この村岡新駅を含んだ村岡新駅周辺地区では、藤沢市がまちづくりの計画を行っています。
また、JR大船工場(鎌倉総合車両センター)跡地を含んだ深沢地区では、鎌倉市がまちづくりの計画を行っています。
また、この2つの地区を結ぶシンボルロードの検討が行われています。
2021年3月30日には、神奈川県、藤沢市、鎌倉市及びUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)が、藤沢市村岡地区・鎌倉市深沢地区のまちづくりに関する基本協定等を締結したことが公表されました。村岡地区及び深沢地区の土地区画整理事業はUR都市機構が施行する方針です。
詳しい計画については今後変わっていく可能性があり、まだ決まっていないことについて個人ブログで書くことではない気がするので、割愛します。以下に藤沢市役所及び鎌倉市役所の担当ウェブサイトのリンクを掲載しますので、ご確認ください。
このブログでは現状について掲載します。
なお、本文に記載の情報等は、特記が無い限り『深沢地域の整備事業の土地利用計画(案)』または『村岡新駅周辺地区街づくり方針案(中間報告)』に基づきます。計画は今後変更される可能性があります。
写真等
撮影位置はこの通りです。
村岡新駅周辺地区
TSUTAYA村岡店がある付近が村岡新駅が予定されている場所です。
かつては正面一帯に湘南貨物駅がありましたが、1985年に廃止されています。現在はTSUTAYAのほか、テニスコートやフットサルコートなどがありますが、あまり活用されていません。
この駅前には武田薬品工業湘南ヘルスイノベーションパークという研究所があります。
かつてはここに武田薬品工業湘南工場がありましたが、いったん閉鎖されました。その後研究所の再誘致がなされ、現在ここにあります。
詳しいことはよく知りませんが、この研究所の存在が新駅と関係しているという話を聞いたことがあります。
この右側一帯にまちづくりが計画されています。土地区画整理事業による整備を検討しているようですね。
このような未利用地も存在していました。
なお、この写真④の後ろ側には十二天公園という公園があります。この公園はとうの昔に完成していますが、どういうわけか、この公園も土地区画整理事業の予定区域に含まれています。
土地区画整理法施行規則には、公園は施行区域面積の3%以上となるよう定めなければならないという決まりがあるので、既にある公園も区域に含めることでこの地区の開発面積を広げる思惑があるんじゃないかなぁって勘ぐってしまいます(知らんけど)。
新駅が計画されている西側には山崎跨線橋という、JR線を跨ぐ橋がかけられています。
幅員が非常に狭く、橋の両側に信号機が設置され、片側交互通行が実施されています。さらに、2t以上の車両は通行できません。
藤沢市が2016年に策定した『村岡新駅周辺地区まちづくりガイドライン』には、この跨線橋付近も土地区画整理事業の予定区域に含まれ、この橋も架替える計画が示されていました。しかし、直近の『村岡新駅周辺地区まちづくり方針(中間報告)』では、土地区画整理事業の予定区域から除外され、橋は架替えないようです。
正面付近に駅ができる計画です。
線路は5本ありますが、左から2本目は使われていません。右側2本が東海道本線、左から1本目と3本目は東海道貨物線です。藤沢駅や茅ヶ崎駅には貨物線にもホームがありますが、村岡新駅はどうなんでしょうかね。
前述の通り、村岡新駅は大船駅~藤沢駅間にできます。JR時刻表によると、大船駅~藤沢駅間の距離は約4.6kmで、所要時間は約5分です。
私鉄沿線の私としては、この距離や時間は都市部としては非常に長いと感じるのですが、地元の人の中には「たった5分」という方もいるようです。また、この距離を理由の1つとして新駅に反対している政党もあるようです。
村岡新駅の南側には、幅数メートルの狭い道路もありました。
なかには、このような狭い道に面してミニ開発が行われ、スプロール化している住宅街も見られました。
村岡新駅周辺地区の南側には、農地が広がっています。藤沢市「ふじさわキュンマップ」都市計画情報を3月30日に閲覧したところによると、農地の大部分は生産緑地地区として都市計画決定されているようです。
現在の都市計画上も市街化調整区域ではなく、第一種低層住居専用地域ですが開発を逃れています。
このような農地です。
写真向こう側は湘南深沢駅方面で、シンボル道路の計画がされています。
駅の南北両側には交通広場が計画されています。駅舎は橋上駅舎で南北自由通路の整備が計画されているようです。
写真正面付近が南口交通広場が予定されている区域と思われます。『村岡新駅周辺地区まちづくり方針(中間報告)』には、交通広場について「次世代の交通に柔軟に対応」などと書かれています。最近の駅周辺開発ではこれに似た言葉がよく使われていますが、どういったものを考えているのか詳しく知りたいですね。
シンボル道路
先述の通り、村岡新駅周辺地区と深沢地区を結ぶシンボル道路の建設が計画されています。
道路事業地の大部分が、写真左側にある神戸製鋼所藤沢事業所の敷地になるようです。
航空写真を見る限りでは、道路が検討されている区域には、工場の重要施設は少ないように見えます。
神戸製鋼所の敷地内には「兜松」というものが植わっています。金網越しにしか見ることはできません。
設置された看板によると、鎌倉権五郎景政が戦勝記念に松の木の根元に兜を埋めたといういわれがあるらしいです。
遠くからだと良く見えなかったのですが、かなり大きいものに見えます。
シンボル道路はこの兜松付近を通ることになっています。兜松の扱いをどうするのかよくわまりませんが、2016年の『村岡新駅周辺地区まちづくりガイドライン』内の図面には車道と歩道の間に挟んで残すように書かれています。残せるものなら残して欲しいですね。
柏尾川を渡ります。
現在は神鋼橋という歩道のない橋が架かっていますが、シンボル道路はこの写真の左側(東側)に新しい橋を架ける計画のようです。
橋を渡った先は深沢地区になり、信号機から先は土地区画整理事業が計画されています。
深沢地区
この一帯が大船工場等の跡地です。現在は大部分が更地になっています。
ただただ広い土地でした。
『深沢地域整備事業の土地利用計画(案)』によると、業務施設、商業施設、行政施設、住宅、公園、調整池等を計画しているようです。まぁ、てんこ盛りです。
まちづくりのテーマは「ウェルネス」とのことで色々計画が書かれていますが、まぁなんというか、「普通」です。
一角には「スポーツレクリエーション施設(スポーツグラウンド)」の計画概要が貼られて今した。開発が始まるまでの暫定利用ということでしょうか。
地区の南側に湘南モノレールが通っていて、湘南深沢駅があります。
ただただ広い土地で、写真に写っている範囲は全体の1/3ほどです。
撮影日:2021年3月18日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
>>また、この距離を理由の1つとして新駅に反対している政党もあるようです。
これ本当ですか?金額が高いとか、予想の乗降客数が楽観的過ぎるのではとか、ありがちかつちゃんと説明が必要と思われるような反対理由は見かけましたが
この文章を書く上で参考としたサイトの一部を下記に示します。
============
藤沢市議団 市議会報告 村岡新駅問題での市民の反対の声を無視しての「決定」は許されません | 日本共産党神奈川県委員会
http://www.jcp-kanagawa.jp/archives/78496
県議会報告 村岡新駅設置と周辺開発に共産党県議団が反対討論 日本共産党 県議会議員 加藤なを子 | 藤沢 | タウンニュース
https://www.townnews.co.jp/0601/2019/03/22/474551.html
財政が厳しいといいながら「村岡新駅計画」と周辺の大規模開発に鎌倉市の総事業費は500億円以上も投入か? | 見解・主張・資料 | 日本共産党鎌倉市議団
http://www.jcp-kamakura.jp/archives/5264
============
また、本文においては「理由の1つとして」と書いているように、これが反対理由のすべてであるとは書いておりません。
新駅の駅間についての話題を取り上げる中で、この駅間を反対の理由の1つとしている政党もあると書いているだけであり、反対や賛成に焦点をあてている文章でもなく、反対理由を列挙するような文脈でもありません。また、本記事はまちづくりの方向性や現況に焦点を当てたものであり、反対賛成に焦点を当てたものではありません。
したがって、乗降客数や事業費を理由に反対する人や政党があることは十分理解していますが、本記事内でそれらを紹介する必要もないと考えています。
ご丁寧に大変ありがとうございます。
こちらは非常に丁寧なブログで一流と思い拝見しております。ブログ主様に不偏不党を求めるのは身勝手ですが、今回は少々印象操作ではないかと疑ってしまいました。失礼ですみません。
しかし、ごく一部分の説明ですとそのような場合はあると思います。丁寧にご説明いただいたことでそれがなくなったことを感謝します。
鎌倉はガタガタで狭い道路に象徴されるように古い物だらけ。大船にいたっては商店街も含めて不潔感漂よう町になっています。数年前に千葉県から移住してきて、町の汚さにびっくりしました。モノレールの駅も高齢者無視の危険な駅です。市の大半が昭和の遺物そのものでもう少し快適に暮らせたら良いなと思っています。なので今回の深沢開発はとても楽しみで早く新しい町が出来るのを願っています。千葉県のディズニーランド隣接の新浦安に居住していた事がありますが、とても綺麗で素敵な街です。URが開発した所です。是非参考になさって下さいね。
深沢駅前のスポーツグラウンド施設は「鳩スタ」という名前で鳩サブレの豊島屋がネーム権を取得したサッカー場となるべく利用会員を募集しています。鎌倉のタウンニュースというミニコミ誌には2023年3月までの契約と載っていましたが、会員募集している文面には、暫定契約の内容はありませんでした。またサッカー場から柏尾川方向には流鏑馬の馬場がもうけてあり、ここも大日本弓馬会という団体がクラウドファンディングで施設を作っています。この敷地は、当初の土地利用計画案では住宅地になることになっていましたが、当初の計画が具体化したときは、スムーズに計画通りに話が進むのでしょうか
詳しいことは知りませんが、そもそも鎌倉市が事業着手までの暫定利用として募集していたはずですので大丈夫じゃないですかね。
このことを知らない人からは、のちのち不満が出そうですけど。
鎌倉市役所が老朽化のため深沢地区に新築移転する計画になっていますが、いままでの深沢地区開発計画の中では、新駅建設と市庁舎建設が実現性がありそうなもので、その後、周囲の住宅地開発が行われるということでしょうか