府中市及び小金井市で事業が計画されている府中3・4・16号府中東小金井線及び小金井3・4・11号府中東小金井線の様子を見てきました。
なお、この都市計画道路のうち今回取り上げる東八道路~連雀通り間については、2021年2月17日現在、都市計画道路事業の認可等はされていません。この都市計画道路については後半で簡単に記載します。
この路線については4年ほど前から定期的に見に来ていますが、これまで掲載はしてきませんでした。
地質調査
この都市計画道路の周辺のうち都立武蔵野公園内で、地質調査が行われています。
件名は「地質調査(2北南-小金井3・4・11外1路線)」です。
都立武蔵野公園の掲示板に掲示されているお知らせによると、受託者は大建基礎株式会社で、調査時期は2月上旬~3月中旬までの予定です。
また、調査個所は園内の4箇所で、「計画道路周辺における地層や地下水の現状を調査し、地下水位測定のための観測井戸を設置するもの」と記載されています。
また上のお知らせの隣にも同様の掲示物があり、それによると、環境概況調査も別途実施されているとのことです。
同お知らせによると、受託者はユーロフィン日本環境株式会社で、各季節ごとに調査を実施することになっています。
都市計画道路の概況
都市計画道路概況
府中3・4・16号府中東小金井線は府中市白糸台二丁目から府中市多磨町二丁目に至る延長約2,350mの都市計画道路です。都市計画決定は1962年7月26日で、計画代表幅員は16mです(東八道路以北は18m)。この間、名称以外の変更はありません。(出:1)
小金井3・4・11号府中東小金井線は小金井市東町五丁目から小金井市緑町二丁目に至る延長約2,690mの都市計画道路です。都市計画決定は1962年7月26日で、計画幅員は18mです。この間、中央線交差部の幅員と名称以外、ルート等に変更はありません。(出:1)
このうち、南側の甲州街道~人見街道間は1990年代に府中市が事業を行い、1999年度に交通開放しています(出:2)。また、人見街道~東八道路間については、府中市が現在都市計画道路事業を行っており、一部区間で完成・交通開放されています(詳細はこちら)(出:3)。
北側の小金井市内については、連雀通り~JR中央線南側間の約800mは小金井市が1990年に事業に着手し、1998年2月に供用開始しています。また、北大通り~五日市街道間は1985年に東京都が事業認可を受け着手し、2000年前半頃?に完成しています。JR中央線~北大通り間については2006年に東京都が事業認可を受け着手し、現在も拡幅事業中です。(出:4)
既に開通している区間のうち、府中市内は「あんず通り」、小金井市内は「東大通り」という愛称が付けられています。
府中市と小金井市を結ぶ南北の幹線道路は小金井街道と新小金井街道のみとなっています。小金井街道から東側の幹線道路は、三鷹市内の天文台通りまでの約3.6kmの間に存在していません。小金井街道に武蔵小金井駅周辺を中心に渋滞が発生しています。(出:5)
整備効果・目的等は都のHP等を確認のこと。
第四次事業化計画
これまで事業が着手されてこなかった東八道路~連雀通り間については、2016年3月に策定された『東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)』で、優先整備路線(都施行)に選定されました。
この整備方針では、このほか、セブンイレブン小金井連雀通り店付近から新小金井街道のサンドラッグ貫井坂下店付近に至る、小金井3・4・1号三鷹国分寺線の一部区間(都-112)も優先整備路線に選定されています。
整備方針の策定に当たっては、2015年12月に整備方針(案)を策定し、パブリックコメントを募集しました。都内全域で寄せられたパブリックコメント4,126件のうち、小金井市内の2つの優先整備路線に関するものが2,111件。このうち整備推進・要望等が70件、廃止・見直しが2,041件 となっています(出:6)
都市計画マスタープラン
都市計画法第18の2に基づき、市町村の都市計画に関する基本的な方針を、市町村が定めるものとして「都市計画マスタープラン」があります。
2002年3月策定のマスタープラン
小金井市では2002年3月に最初の都市計画マスタープランが策定されました。
2002年3月の都市計画マスタープランでは、小金井3・4・11号府中東小金井線は「今後整備を進める路線」として図に記載されていました。
また、武蔵野公園周辺は「みどりの拠点(保全系)」として書かれているほか、「国分寺崖線(はけ)は、みどり豊かな自然環境を保全し、生態系にも配慮した連続性のある緑地軸として整備します。」とされていました。
なお、小金井3・4・1号三鷹国分寺線については、「国分寺崖線(はけ)のみどりの保全を勘案し、将来的には都市計画道路3・4・1号線及び3・4・12号線に関しては、一定区間での路線変更などの可能性について検討します。」とされていました。
2012年3月改定のマスタープラン(現行)
2012年3月には市計画マスタープラン(現行)が改訂されました。
それには、小金井3・4・11号府中東小金井線は「今後整備を進める路線」として記載されており、特に本文で
(略)3・4・11号(連雀通り以南)及び(略)は、整備済み・着手路線との連続性や駅周辺へのアクセス動線の確保を勘案して、東京都に対して整備推進を要望するなど、道路整備を計画的に進めます。
と、本路線の整備に推進な立場となっています。
小金井3・4・1号三鷹国分寺線のうち、第四次事業化計画で優先整備路線になった区間については
国分寺崖線(はけ)のみどりの保全を勘案し、将来的には都市計画道路3・4・1号線及び(略)に関しては、一定区間での路線変更などの可能性について検討します。
とされています。
また、武蔵野公園については、「みどりの拠点」とされているほか、はけの保全についても記述があります。
現在改定に向けた検討が行われている次期マスタープラン
小金井市では、現在、都市計画マスタープランの改定に向けた検討が行われています。
2021年2月16日には『小金井市都市計画マスタープラン中間報告(案)』を策定し、意見募集を行っています。
『中間報告(案)』は確定した計画ではないため図は掲載しませんが、「分野別方針図(道路・交通)」では、すべての未整備路線を優先順位なく破線で記載しているほか、
都市計画道路の整備方針
・東京都と連携して、地域のまちづくりの特性、整備済み着手路線との連続性、道路ネットワークの形成、自然環境及び景観などの保全を勘案して、道路整備を計画的に進めます。
・整備にあたっては、自転車走行空間を整備し、歩行者と自転車の通行を区分した道路空間の形成を進めます。
・なお、社会経済情勢及び地域のまちづくりの変化などを踏まえ、必要に応じて今後の方針を検討します。
(以下、未整備の都市計画道路をすべて列挙)
と記載されています。
都立武蔵野公園の整備計画(改定)
2017年5月に、東京都公園審議会より答申された『都立武蔵野公園の整備計画(改定)』では、公園計画地の計画テーマ、計画コンセプト、ゾーニングを示しています。
このなかでは、「計画区域の一部には都市計画道路が重複している個所があり、今後、公園と道路の整合性を図っていく必要がある。」と記載されています。
反対運動
前述した『東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)』の案の公表以降、この路線では反対運動が展開されています。また、「都市計画道路を考える小金井市民の会」も結成され、ホームページも作られています。
小金井市議会では、ホームページで請願・陳情の審議結果をホームページで閲覧できる2015年第4回定例会以降、
- 【原案可決】平成28年第1回定例会 議員案第19号 都市計画道路「小金井3・4・1号線」「小金井3・4・11号線外」の計画の見直しを求める意見書
- 【採択】平成28年第1回定例会 28陳情第12号 都市計画道路小金井3・4・1号線及び3・4・11号線外の整備方針(第四次事業化計画)(案)に関する陳情書
- 【採択(全員賛成)】平成28年第1回定例会 28陳情第16号 都市計画道路3.4.1号線及び3.4.11号線外の優先整備路線確定前に、市民を交えた議論の機会の設置を求める陳情書
- 【採択】平成28年第1回定例会 28陳情第17号 はけの保存のために、都市計画道路3.4.1号線及び3.4.11号線外の優先整備計画を見直し・変更を東京都に求める陳情書
- 【原案可決(全員賛成)】平成29年第3回定例会 議員案第38号 都市計画道路「小金井3・4・1号線」「小金井3・4・11号線外」の計画について見直しと誠意ある対応を求める意見書
- 【原案可決(全員賛成)】平成29年第4回定例会 議員案第50号 都市計画道路「小金井3・4・1号線」「小金井3・4・11号線外」の整備計画の見直しと意見交換会の在り方の改善を求める意見書
- 【原案可決(全員賛成)】平成30年第1回定例会 議員案第12号 都市計画道路「小金井3・4・1号線」及び「小金井3・4・11号線外」の計画見直し、並びに「小金井3・4・11号線外」の整備の是非について協議できる場の設定を求める意見書
- 【原案可決】平成31年第1回定例会 議員案第2号 「小金井都市計画道路3・4・11号線」に関する意見交換会の継続を求める意見書
- 【原案可決(全員賛成)】平成31年第1回定例会 議員案第15号 都市計画道路「小金井3・4・11号線」に関し、迅速な対応を求める決議
- 【原案可決】令和元年第2回定例会 議員案第37号 西岡市長に、東京都へ「都市計画道路3・4・11号線に関する意見交換会の継続開催」の働きかけを求める決議
- 【原案可決】令和元年第3回定例会 議員案第49号 西岡市長に、市議会の決議を重く受け止め、東京都へ「都市計画道路3・4・11号線の是非を議論できる場の設定」を求める決議
- 【採択】令和元年第4改定停会 元陳情第32号 都市計画道路小金井3・4・1号線及び3・4・11号線の計画及び概略設計に関する陳情書
- 【原案可決】令和2年第1回定例会 議員案第9号 小金井都市計画道路3・4・11号線外に関するオープンハウスでのアンケート及び意見交換の内容をすべて公開し、道路整備の必要性について話し合う場の設定を求める意見書
- 【原案可決】令和2年第1回定例会 議員案第18号 西岡市長に、東京都へ「都市計画道路3・4・11号線に関する環境現況調査に着手しないこと」「都市整備局との意見交換の場の設定」を文書で伝えることを求める決議
- 【原案可決】令和2年第3回定例会 議員案第49号 小金井都市計画道路3・4・11号線外の環境現況調査の中止を長期的視点で2路線の見直しを求める意見書
- 【原案可決】令和2年第4回定例会 議員案第62号 小金井都市計画道路3・4・11号線外の地質調査の中止と長期的視点で2路線の見直しを求める意見書
- 【原案可決】令和2年第4回定例会 議員案第78号 西岡市長に、東京都へ「小金井都市計画道路3・4・11号線に関する地質調査に着手しないこと」、「都市整備局との意見交換の場の設定」を文書で伝えることを求める決議
などの意見書・陳情が可決・採択されています。(市HPで確認したものであり、見落とし等がある可能性があります)
沿道には都市計画道路に関連したビラが多数掲示されています。(写真は一例です)
なお、こうした動きは市長選挙の論戦の1つにもなりました。
反対理由等については会のサイト等を参照のこと。
意見交換会・オープンハウス
東京都では、こうしたことを踏まえ、『小金井都市計画道路3・4・11号線』に関する意見交換会や小金井都市計画道路3・4・11号線外に関するオープンハウスを開催してきました。
第1回 2017年11月17日(金) 19時00分~20時30分
第2回 2018年1月26日(金) 19時00分~20時30分
第3回 2019年2月8日(金) 19時00分~20時30分
オープンハウス
[1]2020年2月21日(金)18時30分~21時00分
[2]2020年2月22日(土)10時00分~17時00分
[3]2020年2月23日(日)10時00分~17時00分
『小金井都市計画道路3・4・11号線』に関する意見交換会について
『小金井都市計画道路3・4・11号線』に関する意見交換会(第2回)
『小金井都市計画道路3・4・11号線』に関する意見交換会(第3回)
小金井都市計画道路3・4・11号線外に関するオープンハウスについて
意見交換会の議事録は上記リンクに掲載されていますが、まともな議論になっていないように見えます。
現況
計画区間のうち、南端・北端・国分寺崖線(はけ)部分の写真のみ掲載します。
都立武蔵野公園の駐車場付近が計画区間の南端となっています。
この南側については、府中市が別途都市計画道路を行っており、用地取得が進んでいます。
途中で野川を横断し、国分寺崖線を上ります。国分寺崖線は多摩川の河岸段丘で、この地域では「はけ」と言います。
道路ができるのは写真奥の住宅が立ち並んでいる部分で、道路予定地の「はけ」は既に自然地形が崩壊されています。
北端は連雀通りと東大通りがぶつかる丁字路です。
これより北側については一部区間を除いて整備が完了しており、その一部区間も拡幅事業中です。
そのほか
ここまで書いてきましたが、道路の賛否について部外の私がいうのもどうかなと思うのでここでは書きませんが、東小金井駅北口の土地区画整理事業でも揉め、武蔵小金井駅の再開発でも揉め、市役所の建て替えでも揉め、ごみ処理場でも揉めた小金井市ですので、またかという気はしなくもありません。
いずれにせよ、丁寧な対応が必要だと思います。
記事中に参考としてリンクを書かなかった出典
出:1 都市計画基礎調査に関する調査業務委託 調査結果報告書
出:2 府中市議会録
出:3 府中都市計画道路事業3・4・16号 府中東小金井線 東京都府中市ホームページ
出:4 東京都建設局北多摩南部建設事務所 事業概要
出:5 小金井3・4・11号線に関する意見交換会(第3回)スライド資料
出:6 小金井市都市計画マスタープラン策定委員会 第1回 配布資料
撮影日:2020年11月10日、2021年2月12日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
ゴミ問題でも非現実的かつ独善的なを選択をした経緯のあるエリアですから、反対運動と多数の用地買収を伴うこの道路が実現するかは甚だ疑問に思えますね。
ところで、南端の甲州街道との交差点、現状では甲州街道から右折することが出来ません。陸橋が狭く右折レーンがないのでしたかないかと思いますが、この改善の計画はあるのでしょうか?
私もそう思います。
また、記事中で書いた東西方向の連雀通りから分岐する都市計画道路については見直す必要があるように感じます。
甲州街道の交差点「白糸台交番東交差点」ですが、右折レーンの設置等については聞いたことがありません。跨線橋の法面や側道をいじれば設置できなくもなさそうですが、難しいでしょうね。
コメントの掲載について疑義が申し立てられたため非公開としました。
同様に非公開としました。
近隣市の住民(都民)です。いつも楽しく読ませてもらっています。
この道路は、二枚橋の坂の抜け道状況を見ると、周辺を通過交通する一都民としては早く作って欲しいと切に願っています。
反対運動の実態はよくわかりませんが、なぜ抜け道として使われる生活道路の危険性を無視した議論がなされるのかが疑問で仕方ありません。東京都や小金井市にはイニシアティブを発揮してもらいたいと切に願っています。
付近の道路は朝と夕方~夜にかけての時間が車両進入禁止になっていますが、日中などは幅4m程度の道路に相互通行で通り抜ける車が多く、歩いていても危険を感じました。
都市計画道路はけを通過し、道路整備には沿道の権利者の協力が不可欠ですので、総合的な観点から答えを導きだして欲しいと思います。
この道路の南側府中市白糸台に20年程住んでいて今は実家に戻りましたが。
小金井市付近は中央線高架工事前は踏切の無い新小金井街道と三鷹通りに交通が集中。車で北方向への移動する時はこの道路予定線付近を裏道として通り抜けたものです。
道路幅の狭い住宅街で見通しの悪い道はけして通りたいコースでは無く中央線高架後は通らなく成りましたが。交通集中による利便性の低下をを避ける為には必要性の高い路線だと思います。
高架化前にあまり中央線方面に行かなかったのでよく知らないのですが、高架化後は天文台通りや調布保谷線、それに東大通りなども完成し、随分と交通環境が改善されたと聞きました。
一方で武蔵小金井駅周辺はいまでもよく渋滞にはまります。
小金井市の市民ですが、南北の道路の拡充は必要であり、居住者には補償をした上で早期に道路を開通して欲しいと考えています。
反対の意見を否定するものではありませんが、当地の市民が皆反対の立場というわけでもないことは表明したいと思っています。
市議会などを見ると、すべての会派で反対、もしくは反対の姿勢を取らざるを得ないように見えていたもので、市あるいは市民の意見は気になっておりました。
色々な意見があることを理解しました。
今更ですが、コメントさせていただきます。
なんとも言えない問題ですね。自分はどちらかと言うと反対ですが、もちろん賛成意見も十分に分かります。あのあたりは是政線下のトンネルを含めて、めちゃくちゃ通りづらいです。そーゆー意味で少し整備することは必要だと思いますが(これでは根本的な問題の解決にはならないことは分かっています)、あれほど大きな道路を作るとなると簡単に頷くことはできません。自分はあの自然は小金井市の数少ない魅力かなと思います。あの自然を見て小金井に移住した人もそれなりにいるみたいです。現時点であまり賛成意見が表面化していないのでなんとも言えませんが、これだけ反対意見が根強いのが、あのあたりの魅力の裏付けだと思います。なんというか感情でしかないのですが、一周辺民の意見です。
道路整備の施行には、地元への十分な理解と協力が必要不可欠です。
東小金井駅の西改札口設置と構図が同じだと思います。計画時は共産党を始めとする反対運動が起こって市議会全会一致で反対意見が可決されたものの、事業が完成した現在、東小金井駅が良くなったのは間違いなく、反対した人も便利に利用しているのだと思います。一部の特殊な活動家が住民代表のような顔をして世の中の足を引っ張って、サイレントマジョリティーが迷惑を被り、事業完成後は活動家もしれっと利便を享受して、次の反対運動に移る。民主主義のコストなのだといえばそうなのかもしれませんが、歯がゆい気持ちが強いです。
小金井市民です。賛成です。あそこに坂ができたらさぞかし見晴らしの良い道になるでしょうね!テレビの撮影も来るでしょうね。小金井市の魅力アップ必至です。東八から小金井公園への避難道路ならば、北端が現在五日市街道でストップしているのを小金井公園へ直結できるように交渉を始めてください。何せ、反対の小金井ですから