調布市で事業が行われていた調布3・4・7号喜多見国領線が、2022年8月4日11時に交通開放されました。
当日は見に行けなかったので、後日見に行った様子をお知らせします。
事業概要
調布3・4・7号喜多見国領線は調布市岩戸北二丁目から調布市国領町三丁目に至る全長約2,500mの都市計画道路です。
このうち、品川通りから甲州街道までの約580mについて事業を行っていました。2007年7月12日に事業認可を得て、東京都が施行者です。計画幅員は18~24mで、京王線とはアンダーパスにより立体交差します。都道としては都道11号に編入されています。
この事業は老朽化した都営住宅などの建替えにより、土地の高度利用を図る「国領駅東地区住宅市街地総合整備事業」の一環で整備されているため、建設局ではなく都市整備局が担当していました。
施行者 | 東京都 |
延長 | 約580m |
幅員 | 18~24m |
事業施行期間 | 2007年7月12日~2021年3月31日 |
交通開放 | 2022年8月4日11時 |
2022年8月4日現在 |
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写真等
撮影位置はこの通りです。
概要
今回交通開放されたのは、調布3・4・7号喜多見国領線のうち、甲州街道~品川通り間の約580mの区間です。京王線の南側にあった都営金子町アパート(都営住宅)の建替えを契機として、「国領駅東地区住宅市街地総合整備事業」の整備計画を定め、それに基づき本都市計画道路も整備されました。このような経緯から、建設局ではなく都市整備局が整備した道路になります。
道路は2車線で、区間の途中で京王線とアンダーパスにより立体交差します。交差施設は「国領立体」と名付けられました。
それでは、北側から様子を見ていきます。
旧甲州街道入口交差点
喜多見国領線の北側は、旧甲州街道入口交差点で甲州街道及び旧甲州街道に接続しています。従来は甲州街道から旧甲州街道が分岐する三差路の交差点でしたが、喜多見国領線の接続により変則的な四差路の交差点となりました。主道路は甲州街道のままです。
喜多見国領線の接続に合わせ、甲州街道も含めた交差点の改良工事も実施されました。
甲州街道の上り線は、従来は右折ポケット程度の膨らみしかありませんでしたが、右折レーンが設置されました。喜多見国領線と旧甲州街道の右折が兼用となっています。
なお、右折レーン自体は、喜多見国領線が開通する前(交差点改良工事が終了した2021年頃)に使用を開始していました。
右折レーンの完成により、従来はあった日曜祝日を除く7時~9時及び17時~19時の右折禁止は解除されています。また、右折レーンができ3レーンに増えたものの原付の二段階右折は禁止となっています。
甲州街道の下り線と喜多見国領線は鋭角交差となるため、左折路が新設されました。
左折路は信号に関わらず左折が可能です。
旧甲州街道入口交差点の信号現示は、喜多見国領線が加わったことで若干複雑になったものの、以前のものをベースとしたものとなっていました。
なお、曜日や時間帯、交通量、車両の位置などにより信号現示の時間は変わっている可能性大です。(むしろこの程度の交差点では変わっていないとおかしい)
1サイクルは2分程度で、喜多見国領線の青信号は12秒ほどでした。台数で言えば3,4台しか通過できませんが、特に問題なさそうでした。
国領立体
旧甲州街道入口交差点を過ぎるとすぐに国領立体への流入部となります。流入部には、冠水表示板が設置されています。通常時は何も表示をしないようです。
アンダーパス部は自転車を含む軽車両の進入が禁止されています。側道部に迂回の上、歩道を経由して京王線を横断するよう促す看板が設置されています。ただ、私がいた1時間程度の間に少なくとも3台の自転車進入を見ました。
アンダーパス出口部より旧甲州街道交差点を見るとこのような景色で、出口には大型の案内標識が設置されています。
信号機は3台こちらに向けられていて、走っていて見通しが悪いとかは感じなかったですね。
車道の両側に歩道のアンダーパスも併設され、京王線をくぐることができます。
なお、この写真の横断歩道の先~京王線までの区間は、相互通行だったものが一方通行に変更されています。
歩道部アンダーパスは、階段の中央にスロープが併設された形です。車椅子は利用できず、500m程度の迂回が必要となっています。
アンダーパスの車道部には、冠水水位を知らせるマーキングなどがしてありました。
道路照明もあるものの、晴れているときには点灯しないようです。
柴崎4号踏切は廃止
アンダーパスの直上で京王線と平面交差していた柴崎4号踏切は、喜多見国領線開通とほぼ同時刻に廃止されました。現在は単管柵等で開口部が塞がれたほか、踏切警標は撤去され、警報機などは稼働していませんでした。
踏切の南側の道路は、アンダーパスの側道に接続されました。
なお、側道の一部は現在も工事が続けられています。
京王線以南
京王線南側には、国領排水機場が設置されています。アンダーパスの水を抜くポンプ設備等があるものと思われます。
アンダーパスの両側には側道が整備されています。歩道部アンダーパスはこの交差点付近で地上部に出て、ここからは地上を行くことになります。
アンダーパスの南側分岐部はこのような形になっています。側道から本線への合流は一旦停止する必要があります。
北側と同様に冠水表示板が設置されています。
ポストコーンが連続的に設置されているため、Uターンなどは不可能な構造です。無理やりUターンしている車を見ましたが・・・
一部区間で野川と並走します。東側歩道は車道から一段下がり、野川の河川管理通路(遊歩道)と共用する形となっています。また、この区間では、道路区域と河川区域が重なっている箇所があるようです。
ガードレールやガードパイプはグレーベージュ系色が採用されています。国土交通省ではよく採用されている色ですが、都道では珍しい気がします。(都の設計基準や国のガイドラインを逸脱しているわけではありません)
品川通りと交差する地点が南端となります。
交差点には信号機が設置されました。既設の大町橋交差点と国領小学校東交差点と近接しており、3つの交差点の信号機の制御器は統合され、連動した動きとなっていました。
品川通りも改良
大町橋交差点は、上下線ともに右折レーンが廃止されました。また、喜多見国領側の横断歩道も廃止されています。
国領小学校東交差点も同様に右折レーンが廃止され、喜多見国領線側の横断歩道が廃止されました。
このほか、品川通りの一部に横断抑止柵が追加設置されていました。
動画
撮影日:2022年8月6日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。(1070)
コメント
開通道路横の団地に在住してますが、夜中暴走族の車やバイクでとても騒がしくなった。迷惑。
都市計画道路の都市計画決定は1962年、都営国領三丁目アパートの完成は1994年、第二アパートは2004年~2010年、アトラス国領の完成は2008年。いずれかにお住まいだと思いますが、都市計画道路の存在は調べることが可能であり、幹線道路ができることは住む前から予見可能です。
違法な改造車に対する対策はまた別の話ですが、一般車両の音に関しては、本線車道舗装に低騒音舗装(ポーラスアスファルト混合物)を採用し、走行時に発生する音が密粒度アスファルト混合物に比べて低減されています。
開通したばかりで知名度が低いためか、ガラガラですよね!京王線の地下化前に開通していれば、効果があったと思います。やっと開通したのか、という思いと共に地下化されてから国領駅の通りは車の流れがスムーズになったので、あぁ今頃開通したのか…という気持ちもあります(笑)
まあ便利には違いないでしょうけど、京王線が地下化された今では、甲州街道から品川通りを行き来する選択肢の一つくらいの感じでしょうかね。
開通したての道路は基本的に交通量が少なく、こんなものかなと思いました。個人的に懸念だった旧甲州街道入口交差点も特に支障もなく流れていたのは安心しました。
京王線地下化前の狛江通りを考えると、当時京王線を立体交差で越える道路があったらよかったのにとは思うものの、都営住宅の建て替えを契機とした国領駅東地区住宅市街地総合整備事業に伴う整備であったことを踏まえると、自動車交通の旅行時間短縮以外の効果の方が大きかったのではないかと思います。
この都営住宅の建て替えが該当しているかはわかりませんが、一定規模以上の開発行為では幅員の広い道路が適切な配置されることが求められますし、近隣住区論等を踏まえても決して意味のない事業ではなかったと思います。また、道路ネットワークや都市計画は長い視線をもって考える必要があります。
国領駅がなんで地下に入ってすぐなのか、このアンダーパスが手前に作る予定だったんですね。国領のホームからトンネル入口が見えて「変じゃね?」と思ってたんですが、10年越しで謎が解けました。
野川が無ければ、京王線をもっと新宿側で地上に出てくるようにして、この都市計画道路は平面構造にしていたんだと思いますが、勾配や地形を考えるとこうなったのではなかろうかと思います。
扁額がカッコいい感じですね!
もしかしたら「筆の先生」とかで書いているかも知れませんが、「隧道」を思わせる「立体」の文字がまた素敵です。
比較的規模の大きな施設だと、所長などの偉い人が実際に書いていることが割とあるそうですよ。
品川街道の近くに住んでいますが、甲州街道に出るのが便利になり嬉しいです。
しかし夜間に大きな騒音で迷惑をかける車が出没しているとは悲しいです。