東京都多摩地区南部を東西に横切る都市計画道路「南多摩尾根幹線」の整備方針『南多摩尾根幹線の整備方針』が2015年(平成27年)2月に策定され18日に公表されました。
その後、2月から3月にかけて説明会やオープンハウスが開かれていました。
南多摩尾根幹線とは
多摩都市計画道路3・1・6号南多摩尾根幹線は多摩地域の骨格幹線道路です。東京都では本路線を「多摩地区の骨格を成す重要な幹線道路であるとともに、調布保谷線と接続して埼玉県から神奈川県に至る広域的な道路ネットワークを形成する重要な路線」と位置付けています。
都市計画上の起点は稲城市と調布市の市境で、終点は町田市の町田街道との交点です。
2014年4月1日付で通称道路名が設定され、稲城市百村の稲城福祉センター入口交差点~町田市小山町の区間で「南多摩尾根幹線道路」と名付けられました。地元では専ら「尾根幹」と呼ばれることが多いです。
都市計画道路としての延長は16.6kmで、平均的な幅員は43mです。
一部の区間では4車線で整備されていますが、多くの区間で暫定2車線の整備となっており、しばし渋滞が発生しています。
東京都は2014年12月に、「東京都長期ビジョン」を策定し、広域的な道路ネットワークの強化や防災性の向上、多摩ニュータウンの再生と合わせた地域の魅力向上などを目的として、本路線の整備を推進し、早期に広域的な道路ネットワークを形成することとしています。
基本的な考え方
- 渋滞の緩和、広域的な幹線道路機能確保のため、全線4車線とする。
- 沿道へのアクセスやまちづくりとの一体性などから平面構造とする。
- 現在の道路用地を有効活用し、沿道環境に配慮した道路形態とする。
- 多摩市及び稲城市の市境付近はトンネル構造とし、保全地域に配慮したルート の検討を行う。
まず第一に、全線を4車線とすることとなりました。この場合の4車線とは上下線を含めた車線数を言います。南多摩尾根幹線は多摩ニュータウン開発の初期に8車線の道路として構想されたことがあり、その用地分の幅が確保されている区間があります。
その次には平面構造とすることとなりました。これは稲城市百村~多摩市鶴牧間で掘割式となっている現在の計画を平面構造に都市計画変更するということです。東京都では 業務商業用地の誘致で賑わいを創出したり、地域の方も利用しやすいこと、整備維持費の低減を理由にあげています。
その次、 沿道環境に配慮した道路形態とは、具体的には広幅員の歩道整備や植樹帯の整備があるとしています。 三鷹市付近の調布保谷線などを例に挙げています。
多摩市及び稲城市市境付近はトンネル構造にするとは若葉台駅の北側の区間です。
多摩大学の東側が「連光寺・若葉台里山保全区域」に2014年11月14日に指定されていることから、これに配慮した構造とするとしています。
今後の予定
現在「掘割式」として都市計画決定されている唐木田駅より東側区間は、平面構造に都市計画変更を行う必要があります。
一方、現在「平面式」として都市計画決定されている唐木田区間は準備ができ次第工事を行うこととしています。
東側区間
東京都環境影響評価条例に基づいて環境アセスメントの手続きをする必要があります。
唐木田区間
都市計画の変更がないため、アセスメントは必要ありません。
こちらの区間は早ければ、春より巨大中央分離帯の土のすき取りを開始するそうです。さらには唐木田駅付近の「多摩総合福祉センター前」交差点の改良工事を始めるそうです。
質疑応答
説明会での質疑応答です。約1時間ありましたが、出席者約50人からの希望者による質疑応答は時間内に終わりませんでした。
JR東海のリニア中央新幹線のアセスメント説明会にも行ったことがあるのですが、それと比べるとかなり丁寧に答えていたように感じました。
東京オリンピックも控えるなかで、尾根幹を走る自転車も増えると思うが、自転車対策はどう考えているか。
→自転車専用レーンの整備も含めて道路設計を検討していく。道路設計はこれからである。
尾根幹の広大な土地に多摩モノレールを八王子や是政まで伸ばす構想があるが、どうなっているか。
→交通審議会の中間発表で多摩モノレールについては、上北台から箱根ヶ崎、多摩センターから町田については整備を促進していくことが確認された。ただし、八王子や是政ルートはまだ構想段階で計画にはなっていない。
沿線の商業地が寂しいが、今後どうするのか。
→多摩市:「駅を中心としたコンパクトシティ」として、駅の中心に商業や医療施設、駅から歩いて暮らせる中高層住宅、その外側にはゆとりある戸建住宅と沿道型土地利用といった、整備計画をたてている。
→稲城市:稲城市内の沿道には2箇所の未整備地があるので、整備を検討する。
武蔵野南線の陸橋は現時点では4車線化は不可能に見えるが、どうするのか。
→現在は上下の橋の間に空間がある。車道をあらたに空間の場所に橋を作るのか、それともどちらかに寄せるのか、なども含めて複数案つくって検討したい。設計はこれからである。
以前の説明会では側道を片側2車線以上にはしないといっていたが、今回の変更は片側2車線にするものではないか。環境への影響は。
→今回は本道を片側2車線で整備する。現在の側道部分は広大な歩道や植樹帯にする。環境への影響は少なくなる。掘割式でなくても、技術の進歩により以前より影響が少なくなっている。また、舗装についても地理が発生しにくい方法が開発されている。4車線化によって渋滞が減ることで、有害物質が減ることも確認されてる。
平面構造とするとあるが、八王子市内のように立体交差の交差点は作らないのか。
→幹線道路との接続は立体交差にする予定ではある。道路設計はこれから行う。
町田街道から先は行き止まりになっているが、どうなるのか。
→相模原市と協議して整備に向けた議論を行っている。
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