多摩川にかかる関戸橋では橋の架け替え工事が行われています。
2本あった橋のうち、古い多摩市方面車線の橋を架け替えるもので、全体で16年掛かる計画で、現在5年目になります。
架け替え事業の概要は下記をご覧ください。
架け替え事業の概要
多摩川にかかる関戸橋では橋の架け替え工事が行われています。
関戸橋は多摩川中流部に架かる橋です。通称道路名として鎌倉街道が設定されており、東京都が管理する都道です。
橋は多摩市方面に向かう下流側橋(旧橋)と、府中市方面に向かう上流側橋の2橋がセットになっています。
架け替えの経緯
下流側橋(旧橋)は1937年に架けられた初代の橋で、当初は2車線歩道なしで供用されていました。橋が架けられるまではは「関戸の渡し」という渡し船で行き来していました。その後、周辺の市街化などに伴い、1971年に上流側橋が架けられ、上下線が分離したほか歩道も設置されました。
しかし、下流側橋(旧橋)は架橋から80年以上が経過し老朽化していたことや、耐震対策が未了であったこと、設計車両荷重が大正15年の「内務省土木局の道路構造に関する細則」に準拠していて現行基準を満たしていなかったこと、歩行者通行空間が存在しなかったことなどから、架け替えられることになりました。
架け替えの順序
工事では上流側橋の上流側に仮橋を設置し、交通を切り替えながら架け替えます。仮橋を用いた架け替えは多摩川中流部では初めてとなります。また、併せて上流側橋の改築を行います。
橋の設置や解体工事は多摩川の渇水期となる冬季のみ行われ、工事完了までには16年掛かる予定です。
これまでの経過
新下流側橋の緒元
上部工 :鋼7径間連続合成細幅箱桁橋
下部工 :逆T式橋台・小判型張出橋脚
全幅員 :16.000m
有効幅員:15.000m(歩道4.500m、車道10.500m)
支間長 :44.000m+40.000m+4@60.000m+54.400m
道路橋示方書・同解説Ⅰ~Ⅴ平成29年
今期の工事
今期は左岸側と右岸側で2つに分けて工事が行われています。
左岸側はオリエンタル白石株式会社が橋台の一部撤去と、新P1橋脚の新設工事を行っています。
右岸側は株式会社ノバックが橋脚・上部の一部撤去と、新P4橋脚の新設工事を行っています。
このように、左岸側、右岸側で並行して工事が行われています。工事に先立ち、川の澪筋を変える瀬替えも行われました。
左岸側(府中市側)工事
工事はオリエンタル白石株式会社によって行われています。
左岸側(府中市側)ではこのような工事状況になっています。正面に見えるように、「P1橋脚」ができつつあります。
工事が始まる前は、高水敷に令和元年東日本台風による傷跡が残っていましたが、それについても復旧されています。
この橋脚はニューマチックケーソン工法によって建設されています。
ニューマチックケーソン工法はしばしば「コップを水中で逆さまにした状態」を例えられますが、基本的には同じ原理で、作業室を持ったケーソンに空気の圧力を加えながら掘削していくことで、水の侵入を防ぎながら掘削します。
工事ヤードは橋の上流側にも設けられており、ニューマチックケーソンの工事で用いる各種機器が置いてあります。停電時等に備えた設備も見えます。
A1橋台の一部撤去工事も行われています。
現場にはこうした大型モニタを用いた広報も行われていました。(写真では反射が激しいですが、肉眼ではよく見えます)
造花ではありますが、こうした装飾が施されています。小さいことではありますがこういうのいいですよね。
右岸側(多摩市側)工事
右岸側(多摩市側)では株式会社ノバックが工事を行っています。
右岸側の工事では、P9~P12橋脚間の撤去(P9,12橋脚は橋柱部のみ)と、新P4橋脚の新設工事を行っています。
新P4橋脚は左岸側と同じくニューマチックケーソン工法が用いられています。
旧橋の今回分の解体は終わりに近づいていました。
今回の右岸側の工事では、令和元年東日本台風で破損した仮橋の整流板の補修工事も行われています。
ノバックの工事でも大型モニタを用いた広報がされていました。
撮影日:2020年3月6日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
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