川崎市で事業が行われている南武線連続立体交差事業の進捗状況を見て来ました。
矢向駅~武蔵小杉駅間の約4.5kmの区間で、高架化により連続立体交差を行うものです。9の踏切が除却され、鹿島田駅・平間駅・向河原駅が高架化される予定です。2025年1月17日に事業認可を受け、事業が進められています。

事業概要
東日本旅客鉄道南武線(矢向駅~武蔵小杉駅間)では、連続立体交差事業が行われています。
事業主体は川崎市で、事業予定区間 約4,560mで、鹿島田駅・平間駅・向河原駅が高架化し、9の踏切が除却される予定です。別線方式で高架化する予定です。また、関連して都市計画道路が整備される予定です。
基本データ
都市高速鉄道
| 路線名 | 東日本旅客鉄道南武線(JR南武線) |
| 事業主体 | 川崎市 |
| 事業延長 | 約4,560m |
| 立体化方式 | 高架方式(別線方式で整備) |
| 踏切除却数 | 9 |
| 都市計画名称 | 川崎都市計画都市高速鉄道東日本旅客鉄道南武線 |
| 都市計画決定 | 2024年8月30日 |
| 事業認可 | 2025年1月17日 |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2040年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
各駅間の区域
矢向駅~鹿島田駅間
鹿島田駅~平間駅間
平間駅~向河原駅間
向河原駅~武蔵小杉駅間
南武線沿道・区画街路
| 川崎8・7・7号南武線沿道1号線 | |
|---|---|
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約440m |
| 幅員 | 5m |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2041年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
| 川崎8・7・8号南武線沿道2号線 | |
|---|---|
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約340m |
| 幅員 | 5m |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2041年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
| 川崎8・7・9号南武線沿道3号線 | |
|---|---|
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約370m |
| 幅員 | 5m |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2042年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
| 川崎8・7・10号南武線沿道4号線 | |
|---|---|
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約360m |
| 幅員 | 5m |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2041年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
| 川崎8・7・11号南武線沿道5号線 | |
|---|---|
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約460m |
| 幅員 | 5m |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2042年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
| 川崎8・7・12号南武線沿道6号線 | |
|---|---|
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約1,360m |
| 幅員 | 5m |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2043年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
| 川崎7・7・8号区画街路13号線 | |
|---|---|
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約250m |
| 幅員 | 6m |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2042年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
| 川崎7・7・9号区画街路14号線 | |
|---|---|
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約1,230m |
| 幅員 | 6m |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2043年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
関連する都市計画道路
| 川崎3・5・2号矢向鹿島田線 | |
|---|---|
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約2,620m |
| 幅員 | 12~15m |
| 事業施行期間 | 2025年1月17日~2043年3月31日 |
| 2025年1月17日時点 | |
川崎3・5・10号塚越南加瀬線
川崎3・5・3号大田神奈川線
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写真
先に書いておきますが、訪問時点で新たに用地取得したような土地は見つかりませんでした。
矢向駅~鹿島田駅間


矢向駅から立川方面が事業区間です。
矢向駅は横浜市鶴見区にある駅で、駅自体は高架化の対象とはなっておらず、駅の立川側から高架化する計画です。
横浜市域(矢向駅周辺)の状況
JR南武線は、尻手駅~矢向駅間付近のみ横浜市域となっています。かつては川崎市の連続立体交差事業の調査区間になっていましたが、結局のところ横浜市は連続立体交差事業を行わず、矢向駅から北側の川崎市内のみが事業化対象となりました。
横浜市が2015年4月に策定し公表した『踏切整備計画』において、「総合的な対策(連続立体交差候補区間)」に位置付けられています。その後、2016年3月に策定した『踏切安全対策実施計画』においては、相模鉄道本線「鶴ヶ峰駅周辺」を最も優先的に事業化の検討を進める区間として選定し、2022年から事業を進めています。
JR南武線矢向駅周辺は現時点で事業化しておらず、2025年5月に公表した『横浜市「市民の声」』の回答によると、「南武線(尻手駅~矢向駅間)の連続立体交差事業は「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」において構想区間に位置付けられていますが、現在、相模鉄道本線の鶴ヶ峰駅付近で連続立体交差事業に工事着手しており、南武線(尻手駅~矢向駅間)の連続立体交差事業については現時点で未定です。」としています。


矢向駅の北側から徐々に高架に登っていく計画です。

この事業の高架化は、いわゆる別線方式で高架化する計画です。これは、現在の営業線の横に高架を構築し、順次線路を切替える方法で、近隣では京王線などで実績があります。
高架化の方式として、営業線の真上に高架を構築する直上方式、営業線を仮線に切替えた上で現位置に高架を構築する仮線方式などもありますが、事業費や事業期間などの検討の結果、別線方式となったと、過去の説明会等で説明されています。
この事業では、下り線(立川方面)の隣、西側に高架を構築していく計画です。

1つ目の踏切は、塚越踏切です。踏切の中で十字路になっている危険な踏切です。
カルテ踏切に指定されていて、ピーク時遮断時間は31分/時です。
塚越踏切から西側、小倉跨線橋方面は、道路を12mに拡幅する川崎3・5・10号塚越南加瀬線が事業中です。


矢向駅付近~平間駅付近にかけては、高架の西側に幅員12~15mの川崎3・5・2号矢向鹿島田線が整備される計画です。
矢向駅~塚越踏切が幅員15m、塚越踏切~朱印橋入口交差点付近までが12mで整備される計画です。
なお、塚越踏切~朱印橋入口交差点の幅員は、当初計画では15mでしたが、事業化にあたり12mに縮小しています。
また、塚越踏切から向河原駅付近にかけては、高架の東側に幅員5mの南武線沿道1号線~6号線が整備される計画です。東京都内でいうところの鉄道付属街路のような道路です。
これら都市計画道路も同時に事業化済みです。

大型マンションパークシティ新川崎の東側は、川崎3・5・2号矢向鹿島田線は既に整備され供用済みです。
ただし高架用地が必要であるほか、計画幅員が12mに縮小されているため、幅員構成の変更程度の工事は行われるんじゃないかなという気がします。

鹿島田駅のすぐ隣にある鹿島田踏切です。
駅前のため人通りは多く、新川崎駅とその西側に抜けられる道路のため、交通量もそこそこあります。
鹿島田踏切は法指定踏切となっていて、ピーク時遮断時間は42分/時と、開かずの踏切となっています。(40分以上が開かずの踏切)
鹿島田駅
鹿島田駅~平間駅間


鹿島田駅の西側も川崎3・5・2号矢向鹿島田線が整備される計画で、現在は駐輪場などとして供されています。
川崎市のウェブサイトによると、連続立体交差事業及び関連道路の整備に向け、『円滑な用地取得に向けた対応方針』を作成しています。
その方針によると、短期間に集中した効率的かつ円滑な用地取得を行う必要があることから、
・時限的に民間事業者への業務委託を活用すること
・委託による相談窓口を設置すること
を方針の目的としています。
その上で、公募型プロポーザル方式により、委託先を東電用地株式会社に選定し、2029年3月31日までの履行期間で委託しています。
川崎市のパンフレット等によると、2029年度から下り線高架化工事を始める予定のため、2028年度までに高架化工事に必要な用地を取得することとしています。
延長・方式・予算が違うので単純比較はできないものの、
京王線:着手2014、工事2018、高架化未了
東村山:着手2013、工事2015、下り高架化2025
といった状況です。一部箇所で工事開始はできたとしても、完成はちょっと無理なような気がします。

鹿島田駅北側も、一部区間で矢向鹿島田線が仮整備されています。ただし一般車両には開放されていません。

国道409号府中街道409と交わる川崎堀踏切です。高架化により解消する予定です。

矢向駅からJR南武線西側に沿って整備予定の川崎3・5・2号矢向鹿島田線は、ここでJR南武線から逸れ、府中街道に沿って拡幅整備される計画です。この先は幅員15mとして整備予定です。
JR南武線の西側には、川崎7・7・8号区画街路13号線、川崎7・7・9号区画街路14号線が整備される計画です。幅員は6mの計画です。

解消予定の平間踏切です。
平間駅

平間駅も直線的な相対式ホームとなっています。駅舎の位置や構造は、昔の南武線らしい面影を残していますね。
高架化後には島式ホームとなるようです。
平間駅~向河原駅間


平間駅の隣にあるガス橋通りの平間駅前踏切です。
法指定踏切で、ピーク時遮断時間は48分/時と、開かずの踏切になっています。
交差するガス橋通りも狭く、道路を拡幅・バイパス整備する川崎3・5・3号大田神奈川線の整備事業が行われています。


中丸子第一踏切です。車両進入禁止になっています。
カルテ踏切で、ピーク時遮断時間は46分/時と、開かずの踏切になっています。

中丸子第二踏切です。
かつてはこの踏切の横に武蔵中丸子駅があったようですが、1945年に空襲で被災しそのまま廃止になったそうです。

踏切の横にJRの向河原変電所があり、ここで饋電線に電力を供給しているようです。
また、この変電所までは、東京電力パワーグリッドの高圧線「中原線」で供給されています。中原線は、NEC中原事業所からJR南武線の上空を架線柱といっしょになって送電されています。
かつては武蔵小杉駅横にあった東京電力の中原変電所からJR南武線上空を結んでいたようですが、再開発等に伴い武蔵小杉駅付近は架空送電はなくなっています。中原変電所自体は地下化しているようなので、いまも地中送電線などで結んでいるんでしょうか。また、古い航空写真を見ると、尻手駅方面にもJR南武線上空を送電線が通っていたようです。
かつては鉄道上空を送電線が通っていたのも減少傾向のようです。

市立橘高校横の道路はそのまま区画道路になるような計画です。

中丸子第三踏切です。
カルテ踏切で、ピーク時遮断時間は44分/時です。

この場所に川崎市の施設「中丸子老人いこいの家」がありましたが、連続立体交差事業に伴い解体されました。(施設は指定管理)
施設は近接地に「中丸子いこいの家」として移転しています。
この場所には写真⑮の向河原変電所を移転させる予定のようです。

向河原駅の南側は、かつて横須賀線方面とを結んでいた「市ノ坪短絡線」や、駅構内跡地を活用して、自転車歩行者通路が整備されています。
高架化及び区画道路の用地となっています。
向河原駅
向河原駅~武蔵小杉駅間


駅の横にある向河原駅前踏切です。
法指定踏切で、ピーク時遮断時間は44分/時の開かずの踏切です。
歩行者が多く、歩道幅を広げる暫定対策は取られています。

向河原駅前踏切を高架で越えたあとは、徐々に高度を下げ、横須賀線をくぐる手前あたりで地上に着地する計画です。
この先はNEC玉川事業所に隣接していて、日照権等の配慮に必要な十分な用地が確保されるためなのか、付属街路の類は決定されていません。
全体的に見て、事業着手から1年となり、用地取得したような土地はほとんど見られませんでした。市議会録(2025年9月25日)によると、発言時点で7件の権利者と契約しているとのことです。また、2024年度に10件の建物調査、2025年度も発言時点までに64件の建物調査の承諾を得ていると答弁があります。(市議会決算特別委員会2025年9月25日)
撮影日:2026年1月12日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。














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