横浜市旭区及び瀬谷区で事業が行われている横浜国際港都建設計画道路3・3・9号国道16号線(上川井・北地区)の進捗状況を見てきました。
2024年4月2日に事業認可された区間で、横浜市が事業を行っています。八王子街道を4車線化するものです。
米軍旧上瀬谷通信施設跡地で事業が行われている旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業の関連事業として行われています。
事業概要
横浜国際港都建設計画道路3・3・9号国道16号線は、横浜市金沢区六浦東一丁目から横浜市瀬谷区五貫目町に至る延長約27,170mの都市計画道路です。このうち上記で示した区間では、道路を拡幅する事業を行っています。
施行者は横浜市で、都市計画法の事業認可は2024年4月2日です(神奈川県告示第257号)。幅員22mで4車線の道路となる計画です。事業認可区間には、上川井インター付近で交差する関連外郭部を含みます。
この事業にあたっては、上川井インター付近から卸センター南側交差点付近までの約640mの区間について、計画幅員を18mから22mに広げ、上川井インター付近から西側の区間で車線数を4と定める都市計画変更を行っています(2023年8月25日市告示第508号)
なお、この道路の拡幅は、旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業と関連しており、横浜市脱炭素・GREEN×EXPO推進局が担当しています。
施行者 | 横浜市 |
延長 | 約1900m |
幅員 | 22m |
車線数 | 4 |
事業施行期間 | 2024年4月2日~2029年3月31日 |
2024年4月2日時点 |
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写真等
撮影位置はこの通りです。
国道16号保土ヶ谷バイパス16と交わる上川井インター付近から西側が事業区間です。
関連外郭部として、
・横浜国際港都建設道路事業1・3・2号国道16号バイパス線
・横浜国際港都建設道路事業3・3・20号国道16号バイパス線
もそれぞれ事業認可されています。(この交差点で交わる部分です)
この先、大和市のつきみ野入口交差点付近までの区間は、国道16号大和バイパスに対する旧道で、目黒交差点から東側は市道五貫目第33号線として認定されています。都市計画道路名に「国道16号線」とありますが、昔の名残で、今は市道です。
上川井出入口のうち、横浜方面車線の出口部分では、既に道路改良工事が始まっています。
工事件名がわかるものが見当たらなかったですが、「市道五貫目第33号線(上川井・上瀬谷地区)道路整備工事(その1)」と見られます。
看板によると、2024年3月15日までの予定で、金子工業株式会社が施工しています。(4月7日撮影)
横浜市の入札情報によると、2023年度に関連する工事が複数件発注されており、旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業の工事もあわせると、「上瀬谷」で引っかかる工事だけでも26件あります。
土地区画整理事業の基盤整備工事(80億円級)も3件発注されていて、こんな発注方法できるのは日本でも横浜市だけだろうなと思ってしまうところです。
横浜市って選択と集中のような予算配分が他の自治体と比べると凄くて、配分されたところは一気に進むけど、されなかったところはほったらかし……みたいなイメージありますね。
4車線化に合わせた交差点改良が行われるのではないかと思われます。
現道幅員は場所にもよりますが11m程度で、両側に1~2m程度のボコボコな歩道と、2車線の車道がある道路となっています。
都市計画図や、横浜市に開示請求をした資料によると、概ね現道の両側に拡幅する計画です。計画後の幅員は22mとなる計画です。
なお、この付近から西側へ卸センター南側交差点付近までは、かつては計画幅員18mでしたが、2023年8月に都市計画変更を行い計画幅員を22mに広げ、前後の区間も含めて車線数を4と定めました。(※かつては都市計画道路で車線数を定める必要がなかったため、古いものは定めがないものを、何かの変更を期に定めることとされています。)
都市計画変更時の資料によると、幅員構成は上記図の通りとする計画のようです。この先のマークスプリングスやマルハン前と同じくらいの広さですが、歩道幅員は狭まっています。
近年は第4種の道路で22m4車線というのはかなり狭く、近隣自治体では都市計画変更をしてまで計画幅員を広げることが多くあります。が、横浜市は4車線は22mってのが結構デフォルトだったりします。
なお、環境影響評価条例で見ても横浜市はかなりゆるゆる規定となっています。条例の規定が異なるため単純比較はできませんが、一般道路を例とすると、
・東京都では4車線以上道路は1km以上の新設・改築で対象
・川崎市では4車線以上道路はすべて対象(ただし延長により第1種~第3種行為に分類し手続きが異なる)
・横浜市では4車線以上道路は2.5km以上が対象(ただし延長により第1種~第2種行為に分類)
と、なっています。
なお、横浜市のウェブサイトを見ても、審査終了案件で環境アセスメント対象となった道路はすべて自動車専用道路となっています。
(相模原市もゆるゆるなんだけどね)
この付近は、旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業の施行区域と隣接しています。
この付近から土地区画整理事業で整備される横浜国際港都建設計画道路3・3・53号上川井瀬谷1号線が分岐する計画です。
なお、この付近では既に工事が始まっていました。
工事件名は、「市道五貫目第33号線(上川井・上瀬谷地区)道路整備工事(その2)」で、2024年3月27日までの予定で、宮内建設株式会社が施工しています。(4月7日撮影)
事業認可告示では「(上川井・北地区)」って書かれてるんですが、発注される工事は「(上川井・上瀬谷地区)」と書かれているんですよね。
2車線の道路であるため、渋滞が激しい区間でもあります。
この近辺(大和・南町田・瀬谷周辺)はただでさえ混雑の激しい区間ですが、大丈夫なんですかね。その対策の1つだと思いますが。
主要地方道である環状4号と交差します。
環状4号はオーバーパスで立体交差する計画で、横浜市のウェブサイトによると、2024年度から工事を行う計画です。
なお、立体交差は2車線の計画です。たしかに環状4号は瀬谷駅方面は2車線に減るものの、そんな中途半端な計画ではなく、4車線で立体交差すればいいのに。
なお、環状4号のうち瀬谷方面(海軍道路と呼ばれている区間)についても、土地区画整理事業で幅員31m、4車線に拡幅される計画です。
目黒交番前交差点~海軍道路入口交差点間は、かつてより用地の買収が行われていた区間です。
このうち、南側については、更地化が進み、工事が始まっています。
工事件名は「西部処理区北町地区下水道整備工事(その2)」で、2024年5月31日までの予定で、日舗建設株式会社が施工しています。
詳しい内容はわかりませんが、「GREEN×EXPO2027」のステッカーがありますし、上瀬谷地区の処理能力を満たすための下水道工事なのかなと想像しています。
事業認可区間は、東名高速道路と交わる橋梁の東側までです。
東名高速道路といえば、この南側付近に、旧上瀬谷通信施設地区とをアクセスする新しいインターチェンジを新設する計画が持ち上がっています。横浜町田ICだけでは耐えうる気がしないので、新設についてはいいのですが、横浜市ってぽっと出の計画が破綻したり、突っ走ったりするので、どこまで信用していいんだろう。
横浜市って上位計画と下位計画との整合性が取れてなかったり、思い付きみたいな事業が出てきたりして、東京都などはその辺を結構詰めて計画しているのに対し、「そんなんでいいの」と思うようなことが多いんですよね。その分動きは早い気がするのですが。
撮影日:2024年4月7日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
22m 4車線というと大抵は歩道が3.5mほどになると思いますが、歩道3.5mの2車線道路(大体総幅員16m?)と違って4車線道路では窮屈に感じますよね。車道と同様に、主要な幹線街路では歩行者自転車の通行数も多くなるからでしょうかね。
おそらく、その3.5mの歩道または自転車歩行者道以外の部分、すなわち車道の構成による影響が大きいのかなと思います。
16m道路の場合、第4種第2級の道路が多いと思いますので車線幅員3m×2で、残り3m(9-3×2)が自転車通行帯や停車帯になります。
22m4車線道路の場合、仮に第4種第1級の道路とすると車線幅員3.25m×4で、残りは0です。
この違いだと思います。
歩行者や自転車の量と、自動車の量(すなわち車線数)には相関関係はないと思います。
2027年3月19日に開幕する横浜園芸博のアクセスルートの確保ということで一気に事業が進んだようですね。
園芸博の会場アクセスとしては、瀬谷駅から北にまっすぐ伸び、沿道には会場バスターミナルが設けられる海軍道路に目がいっていましたが、園芸博の基本計画では南町田グランベリーパークからも会場へのシャトルバスを走らせるとしているので、確かにこういう道も必要ですね。
歩道側走行車線が3.25とありますが、
普通は路側帯を各0.5〜1.0m取ると思うのですが。
自転車走行帯と車道を縁石で区切った場合、
3.25あってもタイトに感じると思うのですが。
各路側帯1.0mとして24mが最低線だと思うのですが。
横浜市がどのような設計をしているのか詳細がわからないので不明ですが、以下のような設計をしているのではないかと想像します。
まず、自転車道ではなく自転車通行帯なので、自動車が通行する部分と自転車通行帯の間には普通、縁石は設けません。自転車通行帯の幅員は1.5m以上とすることとされていますが、1mまで縮小できることとされています。都市部の自転車通行帯は1mで設置されていることがほとんどだと思います。
道路構造令では車道(自転車通行帯を含む)と歩道の間に路肩を設けることとされています。第4種の道路では0.50mを最低幅員とされていて、支障がない場合には省略できることとされています。また、街渠等の排水施設は路肩内に設けることとされています。
10年ほど前までは現場打街渠も含めて幅員0.50mの街渠を設けることがほとんどで、これが路肩と同等のような構造でしたが、最近では自転車に配慮した都市型側溝の利用も増え、幅員が数十センチ程度で溝の小さい構造の物も増えています。これにともない、表面上のアスファルト部分の構造も増えています。
市の資料で、市民向けに簡略化するために路肩の記載を省いたのか、路肩は設けないのかわかりませんが、構造令的には22m4車線は可能だと思います。
道路構造令と道路交通法で路肩や路側帯の意味合いが若干違いますので注意が必要です。道路構造令には「路側帯」という言葉は出てきません。
詳しいご解説有難うございます。