西武多摩川線の多磨駅で行われていた自由通路新設・橋上駅舎が完成し、12月23日初電車より開放されたので見てきました。
22日には記念式典と見学会が開催されていました。
工事が始まる前の多磨駅は西側に駅舎があり、2面2線の交換ができる駅で、2つのホームは構内踏切で結ばれていました。
今回、駅舎が橋上化され、同時に駅の東西を結ぶ自由通路が整備されました。自由通路は終日利用でき、同時にこれまでの地下通路「多磨墓地前駅地下通学路」は廃止されました。
当初、駅周辺で一部競技が行われる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会までの供用開始を目指していましたが、完成はやや遅れることになりました。ただ、大会も延期されたので結果的に間に合ってしまいましたね。
新しい駅舎
近未来的な外観
駅舎は旧駅舎のやや南側に建設されました。
白色を基調としガラス張りの近未来的な駅舎で、壁面の一部は緑化されています。
バリアフリー化も
東西両側にエレベータが設置されたほか、エスカレータ(上りのみ)も設置されました。
従来の地下通路は階段のみでしたから、バリアフリーが整った駅舎となっています。
エレベータには歩行者専用の道路標識が設置されています。こういった自由通路は市道として認定されていることが多く、ここも市道1-467号として認定されていますが、このような道路標識が設置されていることはあまりない気がします。
自由通路部分のようす
自由通路はこのような構造で、ガラス窓からの明かりが明るい印象を受けました。
南側の窓は曲線を描いた形で、すっきりとした印象です。
通路には階段やエスカレータから続いて手すりが設置されていました。
西側には民家が多いためか、西側の窓は曇り加工がされていて、外の様子が分かりにくくなっています。
東側は駅前ロータリーがあるためか、外の様子がよくわかるようになっていました。
自由通路には防犯用非常ボタンが設置され、SECOMに繋がるようです。
多磨駅は駅員がいますが、終電後にも安心です。
階段部分には「桜」をモチーフにしたメモリアルアートが壁面に設置されています。
これは11月13日~15日に行われた「多磨駅に桜を描こう!」で、参加者が「多磨駅周辺で見られる生き物」を桜の花びらに見立てた紙に描いたもので、階段部分以外にもこうしたアートが見られました。
橋上駅舎部分のようす
橋上駅舎化された多磨駅には改札機が4機設置されています。
橋上化前の改札はIC簡易改札機でしたから、随分と進化しました。
券売機は2機の設置ですが、1機分の余裕があります。後述する商業施設開業時の乗降客数増加を見越しているのかもしれません。
改札内は広めの構造で、旅客用トイレもこの階に設置されています。
照明の一部に暖色系のものが採用され、温かみのある空間となっていました。
改札階とホームは、階段・エスカレータ(上りのみ)・エレベータで結ばれています。
エスカレータは人感式で、人が来ないときは停止します。
プラットホームは1線のままで、2019年5月25日をもって廃止された対面のホームはそのまま廃止されています。
ホームの武蔵境側は旧駅舎や旧ホームの解体が続けられています。
旧駅舎や地下通路は廃止
これまで使われていた駅西側の旧駅舎は囲いがされ廃止されました。
駅舎の隣にはコンビニエンスストアがあるほか、駅舎前には古くからの商店がありますが、今後府中市が整備する西口駅前広場などの建設に伴い、駅西口のまちの重心はやや南寄りに移動していきそうです。
これまで駅の東西を結んでいた地下通路「多磨墓地前駅地下通学路」は廃止されました。
この通路は階段のみで、それも比較的急な階段でしたから、エレベータを完備した自由通路が完成したことでバリアフリーは向上したことでしょう。
ビフォーアフター
駅周辺には商業施設建設計画も
多磨駅東側ではイトーヨーカドーが大型商業施設の建設を計画しています。
環境影響評価調査計画書の提出などはされていますが、その後なかなか事業は始まらず、開業予定も延びていて、本当に開業するつもりがあるのか正直疑問です。
撮影日:2020年12月23日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
新駅舎開業日、私も車で14時頃に行き、40分ほど見て回ってtwitter用の写真撮りました。そのあと東口駐車場に停めた車の中で別作業と仮眠をし、夕方再び駅に戻って、日没後の富士山を撮ってから帰りました。(twitterご参照) もっと鉄道好きが集まるものかと勘違いしてましたが、やはり鉄道好きのうち多くは「鉄道車両好き」であって「駅施設好き」は意外と居ないのかなと実感しました。まあ乗降客の多い都心のターミナル駅の刷新とは違いますけどね。
エレベーター経由の東西自由通路に設置された「歩行者専用」標識ですが、殺風景な西口地上部では、東口よりインパクトがありました。面白いですね。エレベーターは公道で、階段&エスカレーターは鉄道会社の私有施設というわけでしょうか。設置費用分担とかもあるのでしょうけど。
エスカレーターが東口・西口・ホーム~改札階ともすべて「上りのみ」なことに対して高齢者のご婦人たちが文句を言ってるのが聞こえました。確かに「重力に逆らう上り」だけでなく「膝に負荷がかかって辛い下り」にこそエスカが欲しいのは医学的に理解できます。まあ、設置予算とエレベーターの混雑予測との兼ね合いで、日中ならエレベーターで満足してもらうしかないですね。
鉄道ファンにもいろいろあって、王道なのが「編成をいかに綺麗に写真に収めるか」という撮り鉄なのかなと思いますが、鉄道車両だけが写った写真を見ると、「周辺の施設も写したら後々見て変化が面白いのにな」と思わなくもないですね。
多摩川線自体存在を忘れられるくらいのローカル線ですし、新駅でもないのでそこまで話題にはなりませんでしたね。
自由通路ですが、たしか自由通路の階段やエスカレータも市管理なはずです。
あの標識が公安委員会設置のものなのかよく見なかったんですが、エレベータに自転車を載せるなよという意味で掲出し、階段は自転車が来るはずはないので省略しているのかもしれないですね。
エスカレータの上りだけというのは市議会でも指摘されていました。スペースの都合で下りは設置できないという答弁だったように記憶していますが、まぁ……これまでエレベータすらなかったのですから、エレベータで満足してほしいですね。