川崎市高津区で事業が行われてきた川崎3・3・10号宮内新横浜線(子母口工区)が、2023年8月26日から供用開始されたため見てきました。
事業概要
この事業は完了しています。
川崎3・3・10号宮内新横浜線は川崎市中原区宮内一丁目から川崎市高津区蟹ヶ谷字鎗ヶ崎 に至る延長約4,560mの都市計画道路です。このうち、上記で示した区間では子母口工区として事業を行っていました。なお、事業区間の一部に川崎3・4・9号尻手黒川線を含みます。
施行者は川崎市で、事業認可は1996年9月3日です。事業延長は約245mで、幅員22mの4車線となる計画(供用開始時は暫定2~3車線)です。既に用地の取得は完了しています。
施行者 | 川崎市 |
延長 | 約245m |
幅員 | 22m |
車線数 | 4(供用開始時は2~3) |
事業施行期間 | 1996年9月3日~2023年3月31日 |
2020年12月4日現在 |
この枠内の情報は随時更新されます。記事本文の情報と枠内の情報に時間的差異が生じる場合があります。
写真等
撮影位置はこの通りです。
ライフ子母口店屋上駐車場から見た供用開始区間の全体です。
この道路は、1996年9月3日に事業認可を得て川崎市が事業を行ってきたものです。延長は約245mで、幅員は22m。都市計画上は4車線の計画ですが、高田方面が未整備のため、暫定2車線での供用となっています。
事前の報道発表では、2023年8月26日から供用開始で、路線バスを始発から移設するとのことたっだので、おそらく夜間のうちに切替えが行われたものと思われます。
現在も工事は続けられています。
工事件名は「高津区内都市計画道路宮内新横浜線(子母口工区)道路築造工事」で、2023年9月29日までの予定で、重田・重田造園共同企業体が施工しています。
事業区間の北端で尻手黒川道路と交わり、丁字路から十字路に変わっています。交差点名称が新たに設定され、「子母口旭田」という名称になりました。旭田は小字です。
この道路の整備にあわせ、交わる尻手黒川道路を含め周辺で車線の引き直しや、横断歩道の移設などの改良が加えられています。
写真左側、交差点の巻き込み部にガードレールが設置されていますが、通常、巻き込み部を含めた歩車道境界用には、子供などの視認性確保の観点からガードパイプを設置するのがお決まりになっています。なぜガードレールとしたのか、特段の理由がなければ取り換えるべきだと思います。(古い道路などではガードレールが残っているところもあります)
この交差点の歩道部分で勾配がバリアフリー等の基準を満たしていない箇所が散見されましたが、現在続行中の工事で改善されることと期待しています。
ガードパイプについての補足(8月31日追記)
一般に「防護柵」と呼ばれるものにもいろいろ種類があります。そのなかでも、一般道ではこの4種類が使われることが多いです。
デザイン形状については、各メーカー特注品を出していますし、自治体によっては性能を満たしたうえで個別の標準仕様を設けている場合があります。
このなかでも、ガードパイプとガードレールは、車両を対象とするため「車両用防護柵」に分類され、主として進行方向を誤った車両が路外、対向車線または歩道等に逸脱するのを防ぐとともに、車両乗員の障害及び車両の破損を最小限にとどめて、車両を正常な進行方向に復元させることを目的とします。このため、設計速度などに応じ種類があり、たとえば路側用では一般道で使われるようなC種から高速道路などで使われるようなSS種まで7種類の規格が存在しています。
対して、横断抑止柵や転落防止柵は歩行者を対象とするため「歩行者自転車用柵」に分類され、歩行者及び自転車の転落もしくはみだりな横断を抑制するなどを目的とします。このため車両に対しての強度はあまり考えられておらず、人が腰かけたり寄りかかる程度の強度が保たれるよう設計されています。
車両用防護柵も路側用、分離帯用、歩車道境界用では種類が異なり、歩車道境界用ではガードパイプが基本となっています。ガードレールに比べて展望性が良いこと、歩道側にボルトなどの突起物や板面端部が少ないことが理由とされています。
交差点に何を設置するかについては、各自治体の設計基準などにより異なり、一概には言えません。地方などでは特に巻き込み部に何も設置しない県も多くあります。2019年に大津市で発生した事故を契機に交差点周辺の安全対策が叫ばれ、この辺の強化を図った自治体も多くあります。
川崎市ではどのような設計基準を設けているのか知りません。大きな自治体を中心に、道路附属物や構造物の標準を定めていることが多く、川崎市でも「川崎市土木工事標準構造図集」を定めています。これを見ると、ガードレールや横断抑止柵の規定はあるものの、ガードパイプの規定が存在しません。神奈川県の標準図集にもなく、神奈川県内では横浜市や相模原市ではありました。標準構造図はよく使うものだけ記載しているため、省略した可能性もありますが、ガードパイプくらいならあっても良さそうなものです。
これで少し気になって神奈川県内の交差点をストリートビューで見て見ましたが、神奈川県内は東京都内と比べてガードパイプの設置する数が圧倒的に少なく、川崎市内ではほぼない状態でした。(ボラードを多用する傾向有。)横浜市内では、昨年開通した高田の宮下新横浜線でガードパイプの設置があります。
こういったことから、この場所にガードレールをこの場所に設置したのだと拝察しますが、歩行者安全の観点から、ガードパイプに取り換えるべきではないかなと思います。
尻手黒川道路のレーンも一部改良され、黒川側は右折レーンが新設されています。
この付近の尻手黒川道路は右折レーンがなかったり路駐が多かったりで走りにくい区間ですが、一応の確保がされました。
この先尻手方面の東橘中学校前交差点は左側が左折専用レーンとなるため、この交差点も左折専用レーンとしてもよかったのでは…と思わなくもないですが。
子母口工区は4車線用として築造されているものの、横浜市高田方面が未整備のため、暫定2車線での供用となっています。車道の両側を単管柵で狭めている状況です。置きガードレールなどもう少し頑丈なものに置き換えるんですよね・・・?
子母口旭田交差点の子母口工区側は、右折レーンと左直レールの構造となり、停止線から30m程度?は半たわみ性舗装となっています。
県営住宅の北側付近には、無信号横断歩道が1箇所設置されました。
交差点等以外の場所の舗装は排水性舗装と見られます。道路両端にはスリット型の側溝が設置されています。歩道部はセミフラット型で、植栽などは設けられなかったほか、無電柱化もされていません(県営住宅区間は電力供給施設がないためもともと無電柱)。
案内標識など一部標識は未設置で、現場に仮置きされていました。数日中に設置するものと思われます。
この近さで見られるのは珍しいかもですね。
子母口住宅前バス停は、8月26日始発から旧道からこちらに移設されました。バスベイが設置され、半たわみ性舗装となっています。歩道部はこの部分のみマウントアップ式となっています。
事業区間南端では、新設道路側がメインの道路となり、旧道がそれに取り付ける形に改良されました。
交差点には信号機はなく、また、新設道路を横断する横断歩道も設置されていません。
子母口旭田から旧道に右折することは禁止する規制が行われています。
この先高田方面については、横浜市側は優先整備路線に位置づけられていますが、川崎市側は優先整備路線に選定されていません。また、どちらも事業化はされていません。道幅が非常に狭く歩道がない箇所があるうえに路線バスの運行本数も非常に多い区間で、極めて危険な道路であるため、早期の整備着手を望みます。
なお、この交差点ですが、旧道側に一時停止の規制はされておらず、ノンストップで飛び出す車が多かったため危なく感じました。切替え直後ということもあるかと思いますが。
こんな感じの道路です。
高田方面については、矢上川付近までが改良が行われています。
縦断勾配の変更等の関係で県営住宅側の擁壁築造やそれに伴う補償代行工事なども行われたようです。
撮影日:2023年8月26日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
いつも楽しみに拝見しています。
ここはいつ開通するか気になっていたので、タイムリーなアップデートありがとうございます。
高田側から尻手黒川に出る直前のバス停で混むことが多かったのと、市民プラザ通りで溝の口方面に出る際の遠回りが気になっていたので嬉しいですね。
他の工事区間の情報更新も楽しみにしております。
ありがとうございます。
この区間の尻手黒川は渋滞するので自分なら綱島街道 北綱島交差点経由しての県道102号線使ってます(往復4車線で快適)。
自分がこの計画を立てる立場なら、この県道102号線を新・尻手黒川線として北綱島から江川付近を4車線化すれば旧道への流入は大幅に減る。
尻手黒川線はあくまで川崎市の都市計画道路名称、また尻手黒川道路はその開通区間の道路通称名であり、県道102号に付け替えたとしても単なる名前の変更に過ぎず意味はないと思います。
江川が南加瀬の江川町バス停付近を指すのか、江川せせらぎ緑道付近のことを指すのか、小島新田の江川を指すのか、また、旧道は何の旧道でどの道のことなのか、「この区間の尻手黒川」はどこを指しているのか、読み取れませんでした。
なお、北綱島交差点から南加瀬方面に向かう4車線計画だった道路については、10年ほど前に計画が廃止され、矢上川橋付近については計画幅員を狭める都市計画変更がされています。
また、尻手黒川線のうち、東横線交差付近~子母口付近は計画幅員18mに対して現況幅員は14m程度で、いわゆる「概成」という状態です。ただし、仮に幅員18mに拡幅したとしても、今の道路構造令的に4車線はかなり厳しいと思われます。また、既に道路沿いにかなりのマンション等の堅牢な建物が建っていることから、計画幅員を広げることも容易ではないと思われます。
近隣住民です。矢上川側交差点に一時停止が無い点は私も気になりました。切り替え以前から、蟹ヶ谷側からの車が交互通行しかできない住宅街を抜け道に使っているため、ここの飛び出しは住民としても怖いです。登下校する小中学生の往来も多いので、ちょっと町会へ相談してみようと思いました。
一方で、子母口旭田交差点のガードレールは気がつきませんでした。これまでも近隣住民は子供の頃安全に対して様々な要望をしてくれているので、対処してくれることと期待しております。
神奈川県警は東京都と比べると、優先道路が自明な丁字路などで一時停止の規制を省略しがちな傾向はなくはないのですが、交差する道路の規模や交差点形状から考えても一時停止の標識は必要だと思います。
個人からではなく町会から通して市と神奈川県警(できれば所轄に加えて本部も)に連絡するとすぐ動いてくれるかもしれません。
ガードパイプについては補足で追記しましたが、改めて調べてみると川崎市内ではほとんど設置実績がないようなので、すぐに交換してくれるかは謎です。
追記ありがとうございます。情報量が多く非常に勉強になりました。子母口は武蔵小杉ブームの影響と同じくして人口も子供も増えた地域のため、些細なことでも知恵や工夫が活きる場所だと思っています。自分も地域活動に参画する機会が多いため、大いに拝借させていただきます。
追伸報告
うっかり失念しておりましたが、その後にいくつか変化がありました。
まず問題の高田方面側交差点。歩車分離式の信号機と横断歩道が整備されました。これに伴い、子母口住宅前の無信号横断歩道と、矢上川鷹巣橋右岸の歩行者信号付き横断歩道が廃止されました。子母口小学校の通学路として、町会やPTAから様々な安全措置要望がなされた帰結としての、改善措置と思われます。
また今後の動きとして、子母口住宅前バス停に屋根設置が決まりました。町会長が頑張って県と市へ陳情した成果だとのことでした。この付近では尻手黒川街道の明津と井田営業所前くらいの前例しか無く、屋根付きバス停は珍しいかも知れません。確かに乗降客数が突出して多い印象はありますが。
近くに立ち寄られた際はぜひお越しください。
タウンニュースで記事になっていたのを見ていました。
開通から1年経たずで信号位置や横断歩道を変更するのは、計画がお粗末だった感は若干否めませんが、臨機応変に対応してくれているのはいいことかなと思います。
今年度の年間発注予定に、この工区の防護柵等設置工事が掲載されています。今回の横断歩道変更に伴うものなのか、ガードレールの取り換えなのか、工事内容がよくわからず、工事が始まったくらいのタイミングで見に行こうかと思っていました。
第2四半期発注予定となっていたはずですが、それを過ぎた現時点でも発注されていないように思います。(指名競争なので見落としているかも)
バス停屋根は、自治体によって対応はまちまちですが、駅前広場や起終点に設置のものを除けば、バス運営会社が道路占用許可を取って設置するパターンが多いように思います。(要するに税金では設置しない)
市への陳情ということは道路付属物とするんでしょうかね。または市バスのお金で設置するのか、その辺は少し気になります。
ご教示ありがとうございます。ご承知のとおり片側2車線を1車線規制した状態で共用開始したために、交差点形状がやや変形しています。歩行者が信号待ちする区域が交差点内の車道にはみ出す形で広く区画されているのは良いのですが、その歩車区分けをH鋼ガードレールで区画している状態なので、そこにガードパイプか何かを設置するのではと想像します。
バス停屋根については、そういう扱いだと初めて知りました。誰の費用か気になるので今度、町会長に聞いてみます。
自治体がお金を出して管理もするバス停屋根ももちろんありますし、例えばバス会社が設置する際に補助金を出している場合もあります。
その辺は自治体によって考え方はかなりまちまちです。
一応補足です。
ここ1週間で少し工事が進んでいました。
・案内標識は全て設置されていました。
・歩道側の使用しない車線はガードレールが設置されるようです。
ガードレールの白いポールが設置済でガードレールが
横に置かれていたので数日で完成すると思われます。
・ライフ側の歩道の側溝の高さを低くする工事をしていました。
場所によっては車道側に下がる角度になっているので歩道が
緩やかな傾斜になりそうです。
>停止線から30m程度?は半たわみ性舗装となっています。
車が停止する部分は車重がかかって痛みやすいからバスベイと同様に半たわみ性舗装で寿命を延ばす、という理屈は理解できるのですが、ブレーキをかける箇所で急に排水性舗装が無くなってしまうというのは微妙な感じもしますね。
2桁国道やR246のような大型車が特に多い道路ならともかく、この工法がスタンダードになるとちょっと嫌だな・・・と二輪車乗りとしては思ってしまいますね・・・。