豊島区で事業が行われている環状第5の1号線(雑司ヶ谷)の進捗状況を見てきました。
池袋駅周辺の明治通りをバイパスするルートを新設する計画です。
事業概要
環状第5の1号線は渋谷区広尾五丁目から北区滝野川二丁目に至る延長13,920mの都市計画道路です。このうち、上記で示した区間で道路の新設事業が行われています。
事業延長は約1,400m、幅員30~40mで、東京都が事業を行っています。
道路は地下式(トンネル構造)・立体交差の往復2車線と、地表式・平面交差の往復2車線が建設される予定で、地表式の道路の中央には東京さくらトラム(都電荒川線)が配置される計画です。
1998年7月10日に当初事業認可を受けて用地の取得を開始し、暫定道路の整備に係る用地については2010年度に取得が完了しています。
その後、2011年4月4日に該当区間のうち約995mの区間が従来の平面4車線・幅30~35mの計画から、現在の計画に都市計画変更されました(東京都告示第656号)。同年10月には事業計画の変更認可を受け、2012年度から地下道路整備に必要な用地取得を進めています。2016年度末時点での用地取得率は66%です。
工事については2002年度から埋蔵文化財調査に着手しています。その後、2006年度から沿道の利便性を図るため順次暫定整備を開始し、2012年9月に完了しています。
東京都交通局に委託したトンネル工事(2工区)は2012年度(平成24年度)から着手、学習院側の擁壁工事は2013年度(平成25年度)から実施、3工区のトンネル工事は2015年度(平成25年度)から着手しています。
地下部の道路は開削方式により建設が行われていますが、地下には東京メトロ副都心線、地上には東京さくらトラム(都電荒川線)が走っており、また下水道もあるなど大規模な工事が行われています。
施行者 | 東京都 |
延長 | 約1,400m |
幅員 | 30~40m |
事業施行期間 | 1998年7月10日~2028年3月31日 |
2020年5月26日現在 |
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写真等
撮影位置はこの通りです。
北側の端となる東池袋交差点付近です。奥の柵の向こう側に交差点があります。
この付近は大きな変化はありません。まぁ、開通する直前くらいにならないと変化はないのかなという気がします。
豊島区役所前は用地は確保されていて暫定道路が整備された状態が続いています。
道路の建設とは関係がありませんが、その向こう側一帯では、市街地再開発事業が始まり、建物の解体が進んでいます。(南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発事業)
ここから千登世橋付近まで続くアンダーパスの北側の出入口です。こちらも大きな変化はありません。
この部分、アンダーパスのL型擁壁を延長する工事が予定されています。
工事件名は「工事用道路及び擁壁築造工事(3四-補81南池袋外1路線)」で、2022年3月下旬までの予定で、株式会社吉田工商が施工する予定です。(※4月2日撮影ですが工期が3月下旬までとなっていました)
隣接する補助第81号線の工事と抱き合わせの工事で、同一工事によって擁壁を築造する計画となっています。いまのところ擁壁の方は着工していなさそうです。
都電荒川線(東京さくらトラム)と並走する区間では、引き続きアンダーパスと荒川線の工事が行われていました。
施工者は大成・戸田・東武谷内田建設共同企業体と、清水・東鉄・西武建設共同企業体で、それぞれの工区を受け持っています。
都電荒川線の仮設軌道も引き続き使用されています。
雑司が谷大鳥神社前では、車両通行止めにしながら工事が行われていました。
現在は右下に示しているような作業帯の状況で、線路の反対側の道路は車両が通行できます。
歩行者は引き続き通行可能でした。
通行止め箇所では、地上道路の復旧工事が行われているようで、都電荒川線との境界部分の擁壁工事や、路盤の工事が行われているようでした。これまで覆工板で覆われていた場所ですので、この部分はようやく地下工事も終わりに近づいているようです。
通行止め区間を反対側から見るとこのようになっています。
通行止めになっている道路とは反対側(東側)では、相互通行により車両も通行できます。
鬼子母神前停留場~千登世橋間でも、車両を通行止めにしながら工事が行われています。
鬼子母神前停留場~千登世橋間は、歩行者は通り抜けができます。
見える範囲全体で工事が行われていますね。
千登世橋の前後では、目白通りをくぐる区間のトンネルを建設するための発進・到達立坑を建設する工事が予定されています。工事件名は、「環状第5の1号線トンネル(仮称)(2)立坑築造工事その2」で、大成建設が施工する予定です。
工事自体は2020年度に業者が決定していたはずですが、着工している様子は見られませんでした。
明治通りは大きな変化はありません。
左側、都電荒川線との境付近でボーリング調査を行っていました。何の工事に伴う調査か書かれていませんでしたが、先述の立坑建設予定地とほぼ同じですので、関係しているのかなと想像しています。
都電荒川線には覆工板が敷かれていました。
撮影日:2022年4月2日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。(0520)
コメント
第一工区(雑司ヶ谷側)では2021年現在で用地買収が3分の2しか完了していないため工事が始まっていないそうです。見た限りどの用地の買収が終わっていないのかは判らないのですが。
ですので第二、第三工区(南池袋側)の工事が先に進められているとのことです。
当初の予定ではとっくに開通している時期ですが2027年まで工期が延びる予定です。
それにより記事内で触れられている「南池袋二丁目C地区第一種市街地再開発」の東池袋駅からの導入道路の位置が変更になったりしています。
環5の1は池袋駅東口再開発ともリンクしているので早く進んで欲しいと思っています。
事業期間が終了間際に令和9年度と、突如8年も延期されたのは衝撃でしたね。
ぜんぜんトンネル工事が始まる気配がないので、延びるだろうなとは思ってましたが、そこまでとは。
事業化されたのが平成10年頃だったか、都合30年に亘る長期事業となってしまいました。
当時は開通したら、池袋駅南側の通過交通を補171に集約して、駅前街路は歩行者天国にする構想など色々な夢がありました。
用地買収を拒否している人達は膵臓が○でもなってしまえばいいのにとか不謹慎なことを思ってしまいます。
当初は○○党が通過交通の地下化を主張して工期を滅茶苦茶にしたのを恨めしく思っていましたが、これほど用地買収が長引いた今となってはそれも良かったかなと思います。当時20代だった私もそろそろ五十路が見えてきました。
この路線の暫定道路整備に必要な用地については、2010年度で取得を完了しています。用地取得率66%とあるのは、地下道路整備に必要な用地のことです。詳しいことはわかりませんが、分母が非常に小さいか、都電用地かのどちらかではないかと思います。
用地については必ずしも地権者の意向とは限らず、例えば予算が付かず取得できないこともあります。
この路線は地下に副都心線、下水道幹線、地上には都電の営業線が通っているなど、非常に難易度の高い工事となっており、営業線を活かしながらの工事となると時間がかかります。
必ずしも用地のせいではないと言い添えておきます。
果たして1車線で足りるのか、というのが大きな懸念ですが、環状第5の1号線(千駄ヶ谷)も15,000台/日と意外と少ないので案外さばけるのかもしれません。というかさばけるといいですね。