品川区で事業が行われている補助第26号線(豊町)が、2021年10月22日11時に交通開放されました。都道の名称は「都道420号鮫洲大山線420」。
1992年1月9日に都市計画法に基づく事業認可を受けて東京都が事業を行っていたもので、約30年かけて開通までこぎつけました。なお、交通開放後も周辺の諸整備が行われる予定です。
事業概要
補助第26号線は品川区東大井一丁目から板橋区氷川町に至る延長約22,350mの都市計画道路です。このうち上記で示した区間では、「豊町区間」として道路を新設する事業を行っています。
事業認可は1992年1月9日で、施行者は東京都です。事業延長は約665mで、計画幅員は18~28mで2車線となる計画です。また、JR横須賀線(品鶴線)、東急大井町線、都立大崎高校とは立体交差します。
10月7日追記
2021年10月22日(金曜日)午前11時00分に交通開放されます。
施行者 | 東京都 |
延長 | 約665m |
幅員 | 18~28m |
事業施行期間 | 1992年1月9日~2028年3月31日 |
交通開放 | 2021年10月22日11時 |
2023年9月28日現在 |
この枠内の情報は随時更新されます。記事本文の情報と枠内の情報に時間的差異が生じる場合があります。
補助第26号線
補助第26号線では上記図の通り事業を行っています。他の区間の記事については下記よりご覧ください(未掲載箇所あります)。
大山中央
千早
南長崎
江原町
江古田
東北沢
代沢
三宿
目黒中央町
平塚橋
豊町
開通時の様子
当日は、9時半ごろに到着し現場を見ていました。この時点では置きガードレールの撤去や、信号機の微調整を行っている程度で、大きな作業はしていませんでした。
そして11時ちょうど、大井町側、戸越側の両方から、白バイを先頭に先導を行ったのち交通開放されました。先導は減速ではなく、通常の速度での通過となりました。
また、交通開放に伴う式典等は開催されませんでした。
平日や雨天での交通開放ということもあってか、沿道の見物者はかなり少なかった印象です。
また、道路の整備を担当した建設局第二建設事務所はここから徒歩圏にあり、建設局の車両もほかの現場と比べるとかなり少なかったです。
開通した道路の構造
今回交通開放された区間には、品鶴線(※)、東海道新幹線、東急大井町線が交差する非常に複雑な構造となっています。(※横須賀線・湘南新宿ラインなどが運行される品川~武蔵小杉~鶴見間の通称)
大井町方面から来ると、下神明駅南側でアンダーパスに入り、現道、品鶴線、東海道新幹線などをくぐったあと地上に出てきて、都道鮫洲大山線の現道と平面交差します。この間のアンダーパスは「ふたばトンネル」と名付けられました。
その後再びアンダーパスに入り、東急大井町線をくぐったのち、都立大崎高校の校庭下を抜けて戸越方面に繋がります。この間のアンダーパスは「豊トンネル」と名付けられました。
どちらのトンネルも、自転車を含む軽車両は車道を通行できません。
大井町側付近の様子
大井町側から来ると、すぐにアンダーパスに入ります。道路標識では、7%の下り坂であると注意が促されています。
ここから先は車道には軽車両は進入禁止で、自転車等は迂回する必要があります。実際に、アンダーパスを走っていた自転車が、警戒に来ていた警察に叱られているのを、私がいた時間だけで2回見ました。
また、制限速度は40km/hで、路線バスを除き駐停車禁止です。ただし、現在のところ路線バスの運行はありません。
トンネル右側の歩行者用通路は今回同時に開放となっています。
この起点側交差点には信号機が新設されています。信号現示は至って普通でした。
写真のように、トンネル内の情報を示す電光掲示板は、本線以外にも接続道路側にも向いて設置されていて、設置数はかなり多くなっています。
東海道新幹線西側の様子
品鶴線、東海道新幹線をくぐると、一旦地上に出てきます。
ふたばトンネルの西側には、両側にバスベイが設置されました。
現在のところ路線バスの運行はありません。
なお、このふたばトンネル間には、現在のところ歩行者用通路は整備されておらず、歩行者と自転車はこれまで通り住宅地内の生活道路を通過する必要があるほか、後述する跨線人道橋が完成するまでの間は、品鶴線を踏切で横断する必要があります。
ふたばトンネル~豊トンネル間には信号機を設置
ふたばトンネルと豊トンネルの間では、都道鮫洲大山線の現道と平面交差し、信号機が設置されました。
豊トンネル
再び7%の坂を下って豊トンネルに入っていきます。
写真奥に見えているコンクリート構造物が東急大井町線で、その先の防球ネットが都立大崎高校です。
東急大井町線をくぐった後、わずかな明かり区間を経て、再びトンネルとなります。
こちら側のトンネルは都立大崎高校の真下を通過しており、トンネル上部はグラウンドやテニスコートとして使われているようです。
都立大崎高校をくぐる区間には、歩行者用トンネルが車道トンネルと隣接して設置されています。歩行者用トンネルは5年ほど前に供用開始されていました。
豊トンネル西側(終点側)はこれまで丁字路だった交差点が十字路となりました。信号機はもともと設置されていましたが、開通に合わせセパレート方式に変更されています。上下線ともに右折レーンが設置されています。
この豊トンネルは完成から10年以上が経過しての供用開始となり、昨年時点で一部にコンクリートの剥離が見られるなど劣化が進行していました。ちょうどこの写真の左側でも大きく剥離していましたが、今回の開通にあわせ補修されたようです。
その他の変更点
大井町側横断歩道廃止
なお、今回の開通に合わせ、大井町側(KBCほいくえん前)にあった横断歩道は2021年10月22日11時に廃止となりました。
住吉踏切は車両通行止めを予定
今回開通した道路の直上付近にある品鶴線の住吉踏切は、10月26日9時より車両通行止め(自転車は除く)となります。
今後も整備が続く
今回、本線部分が交通開放されましたが、側道や歩道などの整備はまだ行われていない箇所もあり、今後も整備が進められると見られます。
住吉踏切付近に跨線人道橋を整備
品鶴線と交差する住吉踏切付近には、跨線人道橋が設置予定です。
跨線人道橋の工事はJR東日本に委託して行われているようで、施工はJR東日本が筆頭株主の鉄建建設と、JR東海の完全子会社のジェイアール東海建設がJVを組んで施工しています。
このほか、入札情報サービスによると、今年度、「製作架設工事」と「下部工事」が発注予定となっています。
この跨線人道橋ができると、住吉踏切は廃止となる予定です。
撮影日:2021年10月22日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
幼いころから工事を見ていました。
とうとう開通ですね…待っていました。
第一京浜方面に抜けられる道ができて便利になります。
やっとの開通です。
情報がまだ広がっていないのか、当日は交通量はあまり多くはありませんでしたが、ドライバーに認識され始めると、意味を成してくるのかなと思います。
レポートありがとうございます。
今日、車で通りました。
その時もアンダーパスを自転車で通る方がいました。
標識を理解していない人もいると思いますので、「自転車進入禁止」と書いた看板なども
併せて設置する必要があると思います。
SNSに投稿された画像を見る限り、当日午後にはラミネートで即席で作った看板が掲示されていたようですね。
施工はすでに完了していたのに、なぜ開通までこんな時間がかかったのか? その辺の情報はないのでしょうか?
施工が完了していなかったから開通していなかったのです。
珍問答か?
トンネル自体はずいぶん前から出来ていたよね?
構造物はできてたけど、直前まで工事やってたよね?
特に鉄道直下の工事は時間がかかるものだよ。
レポートありがとうございます。
20年近くずっと注目してきた工事でとても感慨深いです。
上京して初めて住んだ街で、ここらへんは通りにくいな、と思っていました。
用事はないけど今度通りに行きたいです!
通りに行ってみてください。
長年開通を待ち望んでましたが歩行者、自転車は通れないと言うクソみたいな設計の道路でしたね。
地元住民からすると開かずの踏切問題は一切解消されないのに交通量が増えて排ガスによる空気の汚れを肌で感じる上に、邪魔な信号まで増えていい事は何もない印象です。
正直現在設計をしたらこんな道路にならないんじゃないかなと思っています。戦後復興の際に計画された道路で、その後何度か変更はあったものの(変更の詳細は知りません)、大筋としては当時の計画が引き継がれたんじゃないかなと思います。
それと、側道がここまで未整備な段階で交通開放するのも、都の道路ではほとんどない気がします。だいたい側道等を暫定形でも整備し終わってから開放しています。
開かずの踏切については現在建設中の横断歩道橋が完成すると解消予定です。
開通したんですね。おめでとうございます。
私が生きているうちに開通するとは思いませんでした。「開通よりもリニア新幹線の実用化が先」だと思えるほど、工事がストップ時期がありましたからね。
認可を受けたのは1992年でしょうが、計画はすでに戦後間もなくからあったのではないでしょうか?
戦後に建った多くの家々の方に立ち退きをご協力頂いて、よく戸越から一直線に大井町まで開通させたものだと本当に感心させられます。
いろいろと賛否両論ある道路の様ですが、まずは今晩仕事帰りに一往復してきます。
現在の補助第26号線が都市計画決定したのは1946年4月25日で、戦災復興に伴い決定されたものでした。それ以前にももしかすると道路計画はあったかもしれませんが、このときリセットされているので、別の道路計画扱いになっています。
また、1946年以降、15回程度都市計画変更が行われているので、ルートや構造等が変更されている可能性があります。
今更ですが、調べた辺りこの区間は元を辿ると関東大震災復興時の道路計画の一環として戦前の1928年?に(補助)1号線として都市計画決定されたものです
旧計画もその後当時の旧19号線(現在の補助50号線)が1940年東京五輪のために今とほぼ同じ形に改訂されたりしてるので、仙台坂以東とハッピーロード大山のところはいつから設定されてるのかは不明ですが、戦後復興の時に決定された補助26は戦前の旧計画で連続的に設定されていた1号(仙台坂(補28)~放2)、10号(放2~放3)、14号(放3~放4)、20号(放4~放5)、29号(放5~放6)、36号(放6~放7)、47号(放7~放8)の7本の補助幹線道路を1本にまとめたものだそう
昨日車で走って来ました。
トンネルマニアの私にとっては
東大井にある仙台坂のトンネルが開通した時
首都高に板橋本町から大井まで日本一長いトンネルが開通した時
オリンピック道路(虎ノ門から汐留)のトンネルが開通した時
それらを思い出しても、大崎高校にあるトンネルには感慨深いものを感じました。
ブログ主様、レポートありがとうございました。
ありがとうございました。
土地提供で市民運動家がゴネてたのは違うのか
トラックドライバーをしています。高さ制限等の画像が無いので、情報不足で利用をためらっています。どなたかご存じの方、高さ制限はいくつなのか教えてください!
高さ指定道路や重要物流道路でもなく、かつ、高さ制限の道路標識も設置されていないことから、通常の車両制限令と同じ3.8mだと思います。
特大車両等で通行する際には、事前に道路管理者へ問い合わせることをおすすめいたします。この道路に限らず、特殊車両で通行する際には、道路管理者の許可が必要です。
やっと開通しましたね、そして途中にあるバスストップ用の待避場所、これが活躍するのは同じ26号通りの目黒郵便局から五本木交差点間が開通してからかな?
開通から1年半近くが経過した豊町区間ですが、今年3月から品川区がかねてから要望していた鮫洲大山線経由のバス路線(井50・井51)が開業して例のバスベイが下神明駅入口バス停として供用開始され、歩道橋は完成目前の状態で工事が止まっているらしいです。
なお、本記事写真4の交差点より西の旧道は2012年頃から品川区に管理委託?(移管?)されてる様ですが、この区間の正式な都道廃止・区道移管はまだなされてないのか気になります
こ線人道橋の工事については、下部工事が4回入札不調を起こし、5回目でようやく決まった経緯があります。そうしたことから遅れているのではないかと思います。落札比率も99.9%で、業者のご厚意ってところが強い気がします。
狭くて鉄道に囲まれているあんなやりにくい場所、誰もやりたくないのだと思います。