府中市の分倍河原駅周辺で検討が行われているまちづくりの現在を記録するため、分倍河原駅周辺を訪問しました。
2020年7月には『分倍河原駅周辺地区まちづくり基本計画』が策定されたほか、オープンハウスや意見交換会も開催されるなど、検討が進められています。
ただ、この基本計画を読んでも、実際にどうしていきたいのかいまいちパッとしないな……というのが私の感想です。
写真等
『分倍河原駅周辺地区まちづくり基本計画』(以下、一部を除き「基本計画」とします)では、このような方針が示されています。
にぎわい軸や生活軸といったよくある線が書かれています。
再開発事業でも起こしたいのかと思ったのですが、そのようにも読み取れず、よくわかりません。
業務商業エリア内ににぎわい軸が貫通しているのですが、何か理由があるんでしょうか。
『分倍河原駅周辺地区まちづくり基本計画』内で、実施する施策として書かれているものです。
東西・南北自由通路の整備に合わせ駅舎の改良を行い、北東側にアクセス道路を整備し、南側広場も改良するのかなとは読み取れます。
まちづくりのルールは地区計画などを策定するのでしょうか。
新宿へ直通し、南武線も使える好立地な割に、意外とコンパクトな施策な気はします。駅舎の改良がメインなのでしょうか。地域住民主体の協議会による提言・・・という割に地域住民があまり見えてこないというか、もっと「どん」と来るものが裏にあるんじゃないかなと邪推してしまいます。
今後具体化した際に出てくるのかもしれません。
分倍河原駅
現状
分倍河原駅の改札口です。京王線・JR南武線ともにここが日中時間帯唯一の改札口となっています。(※朝ラッシュ時間帯のみ南武線ホーム上に臨時改札口が開設される)駅は京王電鉄の管理となっていて、JR線も京王電鉄が管理しています。
駅構内はバリアフリールートは確保されているものの、階段が多く複雑な構造で、写真左側のような小さな段差もところどころにあり、古い駅という印象を受けます。
かつ、利用客数に対して通路やホームが全体的に狭く、ラッシュ時間帯は非常に混み合っています。
基本計画
基本計画によると、駅舎改良を行うとのことです。
産経新聞の2017年の記事によると、2017年の時点で、府中市、京王電鉄、JR東日本、東京都の4者による「分倍河原駅周辺基盤検討会議」を設置して協議を開始したとしています。
分倍河原駅改札前
現状
改札前は幅の狭い道路があり、建物が密集しています。建物は商業系が多いです。駅から北側へ、旧甲州街道までは商店街が形成されています。
駅の北側には交通広場などはありません。
基本計画
基本計画では、「溜まり空間の整備」を行うとしています。基本計画の図中では、この右側一帯が一として示されています。
「溜まり空間」とは何ぞや・・・といったところですが、
駅前に歩行者が待機する場所や、救援活動を行う空間を確保するため、緊急車両の転回スペース等にも配慮した、安全で快適な歩行者のための空間を整備します。
とされています。
歩行者主体の空間のようで個人的には好感が持てるのですが、それをどのような手法で整備するのかは気になるところです。
南北自由通路
現状
駅改札口からJR南武線・市道を跨ぐ跨線人道橋(南北自由通路)が整備されています。(認定外)
跨線人道橋の南側にはエレベータが整備されていますが、北側のスロープは12%とややきつく、バリアフリー基準を満たしていません。また、通路の幅が狭く、ラッシュ時間帯は非常に混雑しています。
基本計画
基本計画では、南北自由通路を再整備するとしています。
東西自由通路
現状
駅の北側で、京王線を東西に横断する自由通路は現状存在せず、駅のすぐ横にある府中6号踏切が最も近い通路となっています。車両進入禁止(自転車を除く)の踏切道で、踏切道安全通行カルテによると、ピーク時遮断時間は37分で、歩行者交通量は8,629人/日です。また、踏切歩行者等交通遮断量は80,250人・時で、歩行者ボトルネック踏切に指定されています。
基本計画
基本計画では、京王線を横断する東西自由通路を整備するとしています。
具体的な位置等は公表されていませんが、概念図では駅北側踏切そばが書かれています。
駅北側の商店街
現状
駅改札口から旧甲州街道に至るまで、商店街が形成されています。府中市道路台帳によると、道路の幅は5.5mとなっています。道路は全面的に緑色のカラー舗装が施されていますが、車両進入禁止等の交通規制はありません。(緑色のカラー舗装に法的な意味はありませんが、歩行者優先や歩行者通行部分を示すことが多いです)
用途地域図によると、この近辺は建蔽率80%、容積率300%の近隣商業地域となっていますが、2~3階建ての比較的小さな建物が多くなっています。
基本計画
基本計画では、「良好な商店街の形成」として書かれており、
歩行者空間の確保や良好な街並みの誘導等により、快適でにぎわいのある商店街を形成するためのまちづくりのルール等を検討します。
とされています。
商店街としてはそのまま残すようですね。
駅南側の交通広場
現状
駅南口には、タクシープールやバス乗り場を含む交通広場が整備されています。航空写真を見た感じだと、都営住宅か何かの跡地を整備し、1980年代前半に整備されたようです。路線バスの発着はありますが、本数は非常に少ないです。
広場としては、広場内の乱横断などが見られますが、広場の機能的には十分間に合っているように見えます。
広場の中央には、かつて分倍河原の戦いで戦った新田義貞公之像が置かれています。
基本計画
基本計画では、駅南側駅前広場の再整備を行うとしています。
鉄道とバス、タクシーの乗換え利便性等の向上のため、南北自由通路とも整合を図りながら、誰もが快適に利用できる駅前広場に再整備します。
このほか、広場東側の片町公園も改良するとしています。
市道4-159号線
現状
駅から南西側へ至る市道4-159号線はいわゆる1.5車線道路となっています。片側に歩道が整備されているほか、交差点部分は赤色のカラー舗装が施されています。
この道路にほぼ沿って府中都市計画道路3・4・6号府中国立線(1962年都市計画決定)が決定されています。この区間は現在のところ整備されていません。
計画
都市計画道路は、2016年3月に策定された『東京における都市計画道路の整備方針(第四次事業化計画)』において、計画内容再検討路線に選定されています。
計画内容再検討路線とは、必要性が確認された都市計画道路のうち、様々な事由により、計画幅員や構造など都市計画の内容について検討を要する路線のことです。
なお、この路線の「特別な事由」は「地域のまちづくりの中で計画の検討が必要な路線」です。
基本計画においては、「歩行者環境の充実を図るため、路面標示により自動車の速度を抑制するなど安全対策を図る。」としていて、都市計画道路の線形に沿った整備は掲げられていません。また、都市計画道路の在り方については、「歩行者中心のまちづくりを進めることを踏まえ、今後の社会情勢の変化や周辺の交通量・道路整備等を含めた、路線全体での在り方の検討を進めていきます。」としています。
東京電子自治体共同運営入札情報によると、今年度、「府中都市計画道路3・4・6号線計画内容再検討業務委託」が発注されており、株式会社トーニチコンサルタント 本社事業本部が落札しています。
個人的には、都市計画道路のうち分梅駐在所以東は、現在の鎌倉街道に現状追認で付け替える形でいいんじゃないかなぁと思いますけども。
駅北東側
現状
分倍河原駅の北東側は戸建て住宅を中心とした地区となっています。用途地域も道路沿いと一部を除き、第一種低層住居専用地域(建蔽率50%、容積率100%)となっていて、大きな建物は建設できません。
道路も幅4m未満の箇所もところどころ残っているようです。
基本計画
基本計画では、良好な居住環境の保全が掲げられています。具体的には、「駅北西側の良好な居住環境を保全するためのまちづくりのルールを検討する」とされています。地区計画の策定などがよくあるやり方ですね。
また、駅へのアクセス道路の整備が掲げられています。東京電子自治体共同運営入札情報によると、今年度「分倍河原駅北西アクセス道路整備予備設計委託」が発注され、株式会社大輝が落札しています。
その他
その他にもいろいろと書かれていますが、割愛します。
設計委託系は分梅通りなどでも発注されており、今後具体化していくのを注目していきたいと思います。
撮影日:2021年12月19日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。(0140)
コメント
分倍河原駅の南側は昔、東芝の社宅が建っていまして、それが全部撤退して、MINANOと広場になっています。MINANOのオフィス部分には東芝系の企業が入居しています。
駅舎の整備だけでなく、南武のホームの改良とかもした方が良いのでしょうが、なかなか難しそうです。
あれは社宅だったのですね。
航空写真を見た感じ、昔の都営住宅そっくりだったのと、南側にJKKの住宅があるので都営住宅かと思ってしまいました。
南武線のホームは本当に酷いですね。朝ラッシュとか、よく人が落ちないなと思ってしまいます。
JRがそこまでやるかどうかは……これが仮に東急ならやってそうですが、JRはやらないような気がしますね。