横浜市の情報公開請求手数料は高すぎる!知る権利を阻害している

いつもとは趣向が違います。主張記事です。

当ブログの記事を書くにあたり、正確性を期すため、情報公開請求制度などを活用し、工事設計書等を入手するなどして記事を書いております。そんな中、横浜市の情報公開請求手数料が高すぎる!というお話です。

情報公開制度

2001年施行の「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」や、各自治体の条例などに基づき、現在は請求のあった公文書は原則公開されることとなっています。黒塗りとなって出てくるのは、例えば個人情報や公にすると事務や事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあるものなどとなっています。

情報公開請求の方法や手数料は、各自治体の条例や規則によって定められていて、その方法はまちまちです。最近では、システムやメールを使った電子方法による開示を行うところも出てきています。

手数料は、開示請求自体は0円のところが多く(国は300円するけど)、写しや閲覧の際にはその実費相当額(コピー10円など)を請求されるところが多くなっています。

横浜市の手数料

横浜市は2023年4月に開示請求制度を改正し、以下のような手数料に変更されました。

横浜市のウェブサイトから抜粋

開示請求の手数料自体は0円なのですが、問題なのは3,4行目。

電子データでの交付の場合、1ページ当たり10円または1ファイルあたり210円を取るようになったのです。

これが高すぎる!のです。

横浜市周辺の各自治体の開示手数料はこんな感じです。(横須賀市はこれも問題のある自治体なので置いといて)

電子データをCD等に焼いて交付する場合、そのCD等の媒体の実費相当額(概ね100円前後)が手数料となっている自治体がほとんどです。ここに載せた以外の東京近郊の多くの自治体がこのような費用感のところが多いです。

横浜市のように、電子データにもかかわらず1ページ10円取るのはかなり稀な例です。そもそも写しの費用はその実費相当額が手数料として定められているところが多く、電子データで1ページ当たりの費用を取るのは、なんの相当額なのか意味不明です。

また、横浜市はもともと他自治体と同様に媒体の実費相当額だったものを改正してまでいるのです。横浜市のウェブサイトには、「電子データによる写しの交付については、紙による交付の場合との均衡を考慮し、手数料に従量制を導入します」などと、電子化の流れと逆行する文言が掲出されています。均衡ってなんだよ!?

それともう一つの問題児、横須賀市はかつて「100キロバイトまでごとに200円」などという手数料を定めており、市民団体「かながわ市民オンブズマン」が「知る権利の実質的な侵害にあたる」として訴訟を起こし、市は慌てて条例を改正しました。それでもなお問題児ですが。

横浜市のこの手数料も知る権利を阻害していると私は思います。

なお、横須賀市で訴訟を起こした市民団体は、横浜市のこの手数料についても問題提起しています

工事設計書等の公表

工事の契約にあたっては①工事設計書②図面③特記仕様書をもって契約されることが通例です。

金入り設計書の例(工種・数字・金額は適当です)

①の工事設計書には、「金抜きんぬき設計書」と「金入きんいり設計書」があります。

文字通り、金抜き設計書は金額が空白にされた設計書で、入札時には金抜き設計書が公表され、入札参加者はその金額を見積して競争します。

金入り設計書は金額が入った設計書です。入札前には当然公表されません。

③の特記仕様書は、例えば「○○は△△に処分すること」や、「○○をする際には承諾を得ること」、「いつまでに○○を施工すること」などの仕様が書かれています。

各業者は入札後、これら(特に金入り設計書)を情報公開請求し、次の入札のための勉強(単価や傾向をつかむ)を行っているようです。東京都の報道発表によると、東京都の2023年度の開示決定等の件数7,600件のうち全体の28.2%にあたる2,142件が工事設計書の開示請求となっているように、しょっちゅう請求を受けるものとなっているようです。(東京都は公文書情報公開システムを運用し、当初設計図書については請求せずともダウンロード可能で、その件数は100万件を超えている模様

このため、工事設計書等については、情報公開請求制度によらず、より簡便な方法で提供している自治体も多いです。(入札時に公表しているので基本的に非開示となる部分が基本的に存在しない)
たとえば、東京都では公文書情報公開システムにより、会員登録すれば誰でも当初金入り設計書・図面等をダウンロードができます。いつもお世話になっております。
また、神奈川県や関東地方整備局は入札システムで金入り設計書を公表しているほか、メールのやり取りで情報提供する自治体も多くあります。

関東地方整備局管内の事務所では、各事務所HPにこんなページができていて、2025年度からネット上での公表はじめるのかな?と期待してますよ。

(これまでは誰かが情報公開請求した案件に限り空のCDを送ると情報提供してくれた)

横浜市の場合

横浜市の場合、局によって若干異なるものの、金入り設計書については入札システム(公表期間が終了したものはメール)で公表しています。

ただ、図面はその対象となっておらず、情報公開請求が必要となります。

ブログを書くにあたって、金入り設計書を見てだいたいの工事内容の想像は付くものの、欲しいのはやっぱり図面です。

工事の図面は、単純な工事であれば10ページ程度ですが、並の道路整備工事となると数十ページ、場合によっては100ページを超えて来ます。要するに1つの工事の図面を見るのに数百円から数千円かかるのです。東京都は0円なのに。

高すぎるんじゃい!

このほか、開示まで遅すぎる件とか、オンライン手続きができるといいつつ納付書もって銀行窓口行かなきゃいけずその領収書を郵送で送り返さなきゃいけない件とか、いろいろ面倒なことはあるのですが、そこはまぁ請求して対応してもらっている立場なので我慢しましょう。

ここまでかなり利己的な意見もあると自分でも理解はしていますし、中には濫用的請求をする人もいて苦労しているようですが。コピー10円、CD100円とかは実費相当額として納得できるものの、さすがに電子データ1ページ10円は意味が分からないので元に戻していただきたい。

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