千歳烏山の行き止まりと苦労しているバスの折り返し

世田谷区の千歳烏山駅周の地図を見ていて見つけた「行き止まり」。

駅の南側徒歩すぐの場所に、他の道路区画と違って斜めに貫通するやや太い道路があります。

西側は不自然なほどの「行き止まり」。東側は行き止まりではないもののカギ状の不整合が生じています。

何でこんな道ができたのだろうか。興奮してきたぞ・・・!?

地図をよく観察するとヒントが浮き上がってきました。

行き止まりの方には、行き止まりを境に直線的な区画の分断が生じています。
道路のある方には、直角に交差した「明らかに面的整備した区画」となっています。

古い航空写真を調べてみると、1941年には道路が完成、駅南側の区画もできあがっています。

はーん。区画整理か耕地整理でもして都市計画道路を区域内だけ造ったいつものパターンだな?

だいたい正解。

調べてみると、この地では1938年認可で千歳土地区画整理事業が行われていました。旧都市計画法に基づく土地区画整理事業で、組合の解散または完了日は不明だとのこと。旧法のものはしばしば不明が見られます。

では、なぜこの道路が斜めに造られたのか。これがわかりません。

現状の都市計画ではこの道路に重なる都市計画道路は存在しません。また、世田谷区が進めている主要生活道路の拡幅を含む「せたがや道づくりプラン」には位置付けられていませんでした。

では、古い道の名残で残っているのか……これも微妙。古い地形図を見る限りでは、これと重なる道路は確認できませんでした(地図に載らない程度の細い道は不明)。

古い都市計画では計画が存在したのか・・・?前後も造る計画があったのか・・・?実は今も計画はあるのか・・・?学園の敷地へ至る・・・?推測しましたが、どのような位置づけでこの道路ができたのかはわからず。誰か教えてください。

11月16日追記

道路の計画は「細道路網計画」に由来することがわかりました。

東京では関東大震災後の震災復興計画や、その後の決定により、幹線・補助線網が計画されました。しかし、補助線より下のランクの道路が必要となったことから、1930年から細道路網計画が決定されました。

左(スマホでは上)の画像は旧千歳村域の細道路網計画図です。(東京都公文書館より)

黒色の線で示しているのが細道路です。細道路は車道6m、歩道2.5mを両側に計画されていたそうです。

千歳烏山駅周辺を見てみると、「行き止まり」の部分にも細道路が計画されていたことがわかります。

赤色矢印で示した部分が行き止まり箇所です。

その後道路の建設は進まず、1941年には一部が補助線に格上げされた以外は廃止されました。

このようにして、現在の道路計画には一切ない中途半端な立派な道路ができあがったそうです。

近隣住民さん、ありがとうございました。

行き止まりの現地

現地へ行って見ると、行き止まり道路のど真ん中に、ペットボトルで固定した「この先行き止まり」看板が立っていました。

なんか・・・その・・・いい道じゃないか!

行き止まりの奥

行き止まりの奥は斜めの区画がはっきりとわかります。

私がタモリか鶴瓶くらいの有名人だったらインターホン押して聞き込みしたかもしれないんですけどねぇ(笑)

行き止まり側から

幅11mくらいあるのでしょうか。やはり道が比較的広いので不自然ではありますね。

話は変わります

千歳烏山駅周辺には現在、交通広場が存在しません。京王線の連続立体交差事業に合わせて駅前広場建設は事業中で、その完成は何年後になる事やら。「THE 世田谷」といった駅です。

とはいっても準特急も停まる大きな駅で、路線バスが複数乗り入れています。

旧甲州街道

北口のバス停は旧甲州街道に存在します。循環バスのように通り抜けていくバス路線もありますが、ここで折り返すバス路線もあります。

では、交通広場もないのにどうやって折り返すのか・・・

バス停

こうなのさ。

ビルの1階にバックで駐車して折り返します。数年前、初めて来たときにはビビりました。

このために警備員・誘導員が常駐しているみたいですね。町田駅の北口・国分寺駅北口など、いまでも誘導員を配置している駅前バス停は都内にありますね。

反対側の南口。これまで気にしたことがなかったのですが、上の行き止まりを調べていると「はて・・・南口はどうやって折り返しているんだろうか。」と。

地図や航空写真を見ると近くに折返場が見つかりません。でも近くに「南水無」というバス停がありました。

右側に「歳23 千歳烏山駅」と書いた路線バスが到着。

乗客全員を降ろし、そのまま南水無方向に発車して行きました。

バス停

バス停をよく見ると、ここは本当の終点ではなく、南水無が本当の終点でした。(※丘22は本数かなり少)

どういうことかというと、千歳烏山駅南口では折り返すことができないため、1本先の南水無まで路線を延伸。そこで道路をぐるっとまわって方向転換していました。

バスの前面の方向幕には「南水無」とは書かれていませんが、「南水無」と書いたところで「それどこだよ」となるでしょうし、ほとんどが千歳烏山駅で降りるようです。

南水無 到着側バス停

住宅地のなかにポツンと終点のバス停がありました。

南水無 出発側バス停

こちらも住宅地の中。バスが時間調整をしていました。

暫く見ていましたが、ここで乗る人は誰一人いませんでした。

到着側・出発側の間の道

でも到着側の出発側のバス停間の道路はこの細い道路だけ。いや、まさかこんな道を・・・

来ました。

距離は短いけど、絶対に前から来てほしくない道幅ですね。

この無意味そうな1つだけ伸びているバス停。バスが折返し、路線を維持するためには重要なところなんですね。

ちなみにほかの系統はというと、「丘22」はこんな感じ。本数がかなり少ない路線で、千歳烏山駅で折り返す路線ではないようです。(東京都内乗合バス・ルート案内を参考)

小田急バスが運行する「成06」は駅に到着する前に脇道にそれて、駅周辺のみ循環する形で運行しているようです。比較的細い道なので大変そうですね。

他の細かい系統は省略します。

コメント

  1. sho より:

    古い記事ですが「行き止まり解明」は知りませんでした.
    調査,お疲れさまでした..
    かつては,時々利用したことのある場所です.
    なぞが解けてスッキリしました.
    ありがとうございました.

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