まちづくりの計画・検討が進む京王多摩川駅周辺の現況

まちづくりの検討が行われている調布市の京王多摩川駅周辺を散策しました。

京王多摩川駅周辺では、2019年度より京王電鉄が主導して「京王多摩川駅周辺地区まちづくり懇談会」および「勉強会」を開催しています。2019年11月11日には京王電鉄が「京王多摩川駅周辺地区まちづくり計画」を策定し、調布市長に提出しました。

現在、調布市役所のHP等で公表されている資料は上記URLの通りで、現状まだふわふわとした検討の段階ですが、市議会等によると徐々に検討が進みつつあるようです。

まだ計画が具体化したことが公表されていないため計画については言及しませんが、上記の赤枠で囲んだ区域を「京王多摩川駅周辺地区」とし、そのうちの京王多摩川駅西側を「駅前複合拠点ゾーン」として位置付けています。

今回は、今後まちづくりが行われるであろう京王多摩川駅周辺地区を軽~く散策しました。今後何らかの再開発等が行われたときのために、工事前の状況を記録しておくことも目的の一つです。

京王多摩川駅改札口前

京王多摩川駅は京王相模原線の調布駅から1駅目の駅で、区間急行、快速、各駅停車が停車します(いずれも相模原線内各駅に停車)京王電鉄のサイトによると、2019年度の1日の乗降者数は17,021人で、相模原線内では京王よみうりランド駅に次いで少ない数となっています。

駅は相模原線の延伸の際に嵩上式(高架式)となっていて、改札口は都道に面した北側の端にあります。このほか、京王閣競輪場の開催時等には南側の臨時改札も営業されることがあります。

写真は通常の改札口です。駅前の交通広場などはなく、人もそれほど多くはありません。駅前広場については都市計画決定もされていません。

調布市用途地域図より抜粋

駅周辺の用途地域図を見ると、京王閣競輪場と駅東側は商業地域(建蔽率80%、容積率400%)となっている一方で、駅の西側については第一種低層住居専用地域(建蔽率40%、容積率80%)となっています。

商業地域にはさまざまな建物を建設できる一方で、第一種低層住居専用地域には基本的に住宅などしか建設できないなど大きな制限がかかった状態となっています。

駅東側

現在の駅の東側には住宅や商店が立ち並び、ところどころの区画でマンションが乱立しています。

1970年代の航空写真を見ると戸建て住宅や商店が並んでいてマンションなどの大きな建築は見られず、そういった建物が何らかの理由で無くなった跡地にマンション等がモザイク状に建ち始めているような状況かなと想像します。

コンビニや信用金庫、郵便局などはありますが、駅前にしてはスーパーマーケットなどの立地は見られません。

駅西側

駅の西側は馬車道が立地していて、その裏側には京王が運営する「京王フローラルガーデンアンジェ」があります。(※都道端から20mは第一種中高層住居専用地域)

まちづくり計画において「駅前複合拠点ゾーン」として位置付けられているのはこの京王フローラルガーデンアンジェ周辺となります。

京王フローラルガーデンアンジェの案内板

京王フローラルガーデンアンジェは京王が運営する植物園で、一部区画は手ぶらでできるバーベキュー場「BBQ VILLAGE」としてもつかわれています。

今回のまちづくり計画と関係あるのかわかりませんが、2020年9月30日をもって年間フリーパスの発売が終了されています。

2021年1月28日追記
京王フローラルガーデンアンジェは2021年5月31日をもって営業を終了します。また、同敷地内の「BBQ VILLAGE」が2021年10月31日をもって営業を終了します。

まちづくりについてどのような整備手法を用いて行っていくのかについては現段階では市のサイト等では公表されていませんが、調布市議会第4回定例会の一般質問で「市としては駅前複合拠点地区以外の地区については面的整備手法は想定していない」と答弁がありました。

裏を返すと、「駅前複合拠点地区では面的整備手法を行う」という意味かなと思いますが、どうなんでしょうか。面的整備の代表的な手法として、土地区画整理事業や市街地再開発事業があります。

なお、上記の答弁の続きは

市としては駅前複合拠点地区以外の地区については面的整備手法は想定していないため、基本的にはまちづくりのルールなどを定める地区計画制度を活用したまちづくりを進めていきたいと考えております。

注意:現段階で議会録が公表されていないため録画からの書き起こしです。

となっていて、地区計画を定めていく方針のようです。また、一連の答弁の中で、当初2020年度を予定していた都市計画決定スケジュールは、地権者との調整に時間を要していることから2021年度に見直したとのことです。

まちづくり計画では具体的なことは言及されていませんが、用途地域の変更も視野に入れていることは確実でしょう。

駅西側に広がる駐車場

駅の西側には駐車場などの低利用地が広がっています。京王閣競輪場への来客を目的としたものだと思われます。

写真左側には府中用水が流れていますが、フェンスで囲まれ、その後京王フローラルガーデンアンジェの中を横断しています。

コインパーキングがあちこちにある

コインパーキングはあちこちに広がっていて、駐車場に囲まれるようにある戸建て住宅もあります。まぁ、京王が長年かけて買収していったんですかね。登記を見れば所有者がわかりますが、さすがにそこまでしません。

京王閣競輪場

駅南西側には京王閣競輪場京王オーヴァル京王閣)があります。

読売新聞1927年7月15日の広告

京王がこの地に施設を持ったのは1927年のこと。京王閣というレジャー施設をオープンしました。

戦後には京王閣競輪場と変わっています。

京王閣開園当初の新聞広告には「明るい大理石の大浴場を初めトルコ風フロ貸切風呂、美容室、大食堂、喫茶室、玉突、ピンポン、碁基室、客室、児童遊戯室、音樂室、賣店、納涼臺、メリーゴーラウンド、迷園、徒渉池、各種體操具等悉く完備して餘蘊なし」などと書かれています。

まぁ確かに余蘊ないけど、今からすると何でもありって気がしなくもない・・・。

京王閣競輪場前の道路

競輪開催日ではなかったせいか、人は全くいませんでした。

臨時口

競輪開催日ではなかったので、臨時口も営業はしておらず真っ暗でした。

格子から中を覗いていたら、この後ろにある交番の警察官に睨まれていました。

競輪場出入口と臨時口との間にコンビニなどの商店は一切ありません。

駅の高架下

駅の高架下は、改札付近を除くとこのようにガラガラです。

府中用水と交差する部分だけ柱の間隔が広くなっています。

改札内

改札(通常の改札)の中は、正面の階段を上った先に中2階があって、そこで上下線ホームに向かう階段が分かれる構造になっています。

エレベータはありますが、エスカレータはありません。

この駅の階段って妙に急だし、エレベータも古いんですよね。

ということで、何らかのまちづくりが行われる前の京王多摩川駅周辺でした。

調布市議会によると、現在調布駅南口にある総合福祉センターの移転・更新先の最有力候補としてこの京王多摩川駅周辺地区をあげています。また、2020年第4回定例会である議員がスクリーンで示した資料では、上リンクのまちづくり計画の図より詳細な図が提示されていて(画質が荒くて詳細は不明)、より具体的な検討が進められているものと思われます。今後の動向に注視したいところです。

撮影日:2020年12月21日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。

コメント

  1. 匿名 より:

    京王フローラルガーデンは2021年5月末、併設のBBQ-VILLAGEは同10月末で営業を終了するようです。

  2. 匿名 より:

    しばらく動きのなかった京王多摩川駅周辺ですが3月末に旧京王フローラルガーデンアンジェの裏手に広がる三井リパーク駐車場が閉鎖され工事が始まりました。旧馬車道の店舗周辺も工事用の壁が立てられてこれから店舗の解体が行われるようです。真ん中の一軒家はまだ動きがないようですが…

    • 匿名 より:

      ちなみにガーデン直ぐ裏の月極?らしき駐車場も閉鎖されていました。
      あの一帯に手を入れるようです。

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