稲城市矢野口地区で整備されたスーパー堤防と、それが見直しされ整備できなくなった区域を見に行きました。
稲城市の矢野口地区では平成5年(1993年)より稲城市が「稲城矢野口駅周辺土地区画整理事業」を進めています。
南武線も高架化し(高架化は別事業)、鶴川街道も完成し、とりわけ鶴川街道より西側では完成形となっています。一方で、鶴川街道より東側はいまでも事業が進められている状況です。
土地区画整理事業の北側、多摩川沿いでは、土地区画整理事業に合わせてスーパー堤防(高規格堤防)が整備される予定でした。
スーパー堤防は「土でできた、ゆるやかな勾配を持つ幅の広い堤防」のことで、地震などに強く、越水しても壊滅的な被害を食い止められるとして整備が計画されていました。(越水しないわけではありません)
多摩川では河口~日野橋までを事業範囲として計画されていましたが、民主党政権の事業仕分けにより見直され、事業範囲が河口部と低地のみとなりました。
この見直しにより、矢野口地区で計画されていたスーパー堤防のうち、A工区、B工区は既に完成していたものの、C工区はやっと地権者の同意が得られたかという段階で整備できなくなりました。
スーパー堤防を整備することを前提に土地区画整理事業を進めてきたこともあって、「C 工区内の 25 街区に公園の機能を持った水防拠点を国が整備することに伴い、周辺部分も含めてスーパー堤防と同等の造成を行ってもらう代替案」ということで今後整備される計画となっています。
スーパー堤防は全面的な仮移転が必要なこと、このような土地区画整理事業と合わせて整備をしなければ施行が難しいこと、多額の費用がかかることもあって、これがいいのかどうかは微妙なところだと思います。また、SNSではスーパー堤防の整備が計画されていなかった河川が溢れた際に、「スーパー堤防を見直したから」などという書き込みがあり、間違った情報には注意が必要なのかなと。
この辺りの鶴川街道は土地区画整理事業により大幅に拡幅されました。
道路沿いには比較的高層の建物も立ち始めています。
航空写真や地図を確認する限り、以前は堤防から一段下がった場所に住宅があったようですが、スーパー堤防の整備により堤防上に住宅が立ち並んでいます。平成18年(2006年)に完成したようです。
稲城市では矢野口のA工区B工区のほかに、大丸地区の一部でもスーパー堤防があるそうです。
通常の堤防とは違い、緩やかな傾斜の堤防となっています。この先矢野口駅方面にかけて緩やかな下り坂です。
こちらはスーパー堤防が見直しされたC工区です。
手前の道路は堤防を越え橋に接続するために盛土されていますが、奥のC工区は一段下がった区域となっていることがわかります。
C工区は土地区画整理事業もまだ半ばで、これから造成という地区も多くあります。
正面の空き地は土地区画整理事業区域ではないのでどうするつもりだったのかよくわかりませんが、左側がC工区です。
ちょうど左側あたりが「25街区」で、「公園の機能を持った水防拠点」を国が整備することとなります。
稲城矢野口駅周辺土地区画整理事業は市施行の土地区画整理事業で、既に施行から4半世紀が経っていますがまだかかりそうな感じです。
何年かかるかわかりませんが、C工区施行後、様子を見てみたいものです。
撮影日:2018年8月27日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
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