川崎市で事業が行われている川崎3・5・4号丸子中山茅ヶ崎線(小杉御殿工区)の進捗状況を見てきました。中原街道のうち西明寺交差点付近を直線的に結ぶ道路を新設する事業です。
引き続き用地の取得が進められていますが、残り9%の土地の取得に長年を費やしている状況で、土地収用制度の活用を見据えるという発言が市議会等でなされています。
現地には、土地収用法に関係する看板類が新設されています。

事業概要
川崎3・5・4号丸子中山茅ヶ線は、川崎市中原区丸子通一丁目から川崎市高津区久末に至る延長約5710mの都市計画道路です。
このうち、上記図で示した区間では、現道を拡幅及び道路を新設する事業が行われています。
延長は約654mで、幅員15mの道路となる計画です。施行者は川崎市で、都市計画法の事業認可は2002年3月12日です。
現道には歩道がなく、クランクがありますが、これらを迂回し車道の両側に歩道が整備される計画です。
| 施行者 | 川崎市 |
| 延長 | 約654m |
| 幅員 | 15m |
| 事業期間 | 2002年3月12日~2026年3月31日 |
| 2023年3月3日現在 | |
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進捗状況

撮影位置はこの通りです。(周辺のGoogleマップ)
現在、工事は行われていません。

中原街道が直角に折れる小杉御殿跡前が未整備区間の東端です。
ここから東側(丸子橋側)は拡幅が完了しています。

写真①から約170mほどの区間は用地の取得が完了しており、既に縁石や舗装などの整備が行われています。
現在は車道部分を締め切り、歩道のみ暫定的に開放されています。
ここのところ目立った工事は発注されておらず、現在も工事は行われていません。

取得済み用地の一部は資材の仮置き場として活用されていました。

川崎市のウェブサイトによると、2025年3月末時点の事業用地取得進捗率は91%とのことです。これは少なくとも2022年3月末時点から変化していません。
写真④~⑤の間には、公図や登記簿で確認した限り少なくとも3筆ほどの未取得の土地があると見られます。(公図では事業用地境界を知ることはできないため、あくまで付近の筆の割れ方などから推測したもの)
川崎市が2016年に策定(計画期間2016年度~2025年度)し、2022年2月に計画期間を4年延伸(計画期間2016年度~2029年度)したうえで策定した『第2次川崎市道路整備プログラム~後期の取組【R4~R11】~』によると、この路線は、土地収用制度を適用する「土地収用制度等活用路線」に選定されています。
また、この道路整備プログラムの延伸分(2026年度~2029年度)の取組を『第2次川崎市道路整備プログラム~後期②の取組~』として取りまとめる方針が、2025年11月14日川崎市議会まちづくり委員会で報告されました。それによると、この区間は、2022年度(R4)~2025年度(R7)の間で完成する計画でいたものを、2029年度(R11)でも継続して整備を続ける方針に、完成時期を延伸するとともに、引き続き「土地収用制度等活用路線」に選定されています。
なお、『後期②の取組』パブリックコメントを経て策定される計画で、現時点で正式決定されたものではありません。市議会への報告によると、パブリックコメントは2025年12月中旬~翌年1月中旬ごろに行われる模様です。
この都市計画道路は、都市計画法の事業認可を得て行っている都市計画事業であり、現時点では、2002年3月12日~2026年3月31日の予定で事業を行っています。
都市計画事業は、都市計画法第69条の規定により、土地収用法に規定する事業に該当するものとみなされ、土地収用法の規定が適用されます。また、都市計画法第70条の規定により、都市計画事業の認可をもって土地収用法の事業認定と代えることとされています。
ここから先は法解釈の話にもなると思うので、誤ったことを書くとマズいので詳細は省きますが、都市計画法、土地収用法どちらにも周知や公告、掲示の方法について定めがあります。私が多く見てきた都市計画事業では、都市計画事業の認可があった時点で、その認可について・概要・用地取得について・売買の制限についてなどを示した看板(こんなの)を掲示し、土地収用法個別の看板を掲示しているところは見たことがありません。
たぶん、これまでこの路線に掲示されていた看板は、土地に関係する内容がなかった看板だったため、その内容補足のためにも掲示したんじゃないかなと思うのですが、そもそも2002年に事業認可された時点で土地収用法の規定が適用されていたはず(実際の交渉は任意交渉だったにせよ)なので、なんか不思議な感じがします。
川崎市のHPにも、土地収用法からみのページが新設されています。
なおこの路線は、川崎市議会録を検索した限り、2015年7月の第3回定例会でも「土地収用法も視野に入れながら」と建設緑政局長答弁があり(この時点での取得率は約84%)、それから10年にわたって土地収用制度活用がされていません。
まぁ何が言いたいかって、早く土地収用法活用してくだされ、ということです。
※補足:用地の取得は原則話し合いによる任意交渉で行われます。しかし、十分協議を尽くしても合意を得られない場合や、土地に関して争いがある場合などは土地収用法による手続きが活用されることがあります。

小杉十字路交差点側から見た様子。ほとんど変化なしです。
撮影日:2025年11月15日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。





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