ブログタイトルの変更を検討しています

川崎市の道路整備プログラム「後期②の取組(案)」がパブコメ中 世田谷町田線の整備方針の検討を記載

川崎市が『第2次川崎市道路整備プログラム後期②の取組(案)』をとりまとめ、2025年12月15日~2026年1月19日までの予定でパブリックコメントを行っています。

川崎市では、道路整備の予定箇所などを予め公表し、道路整備を効率的・効果的に推進することを目指し『川崎市道路整備プログラム』を策定しています。
2009年度~2015年度を計画期間とする第1次にあたる『川崎市の道路整備プログラム』ののち、2016年に2016年度~2025年度を計画期間とした『第2次川崎市道路整備プログラム』を策定していました。その後、2021年度に計画期間を4年延長し2029年度までとして『第2次川崎市道路整備プログラム ~後期の取組【R4~R11】~』を取りまとめていました。

今回パブリックコメントを行っているのは、この後期の取組のうち、2026年度~2029年度の4年間を「後期②」として、取組案をまとめているものです。

詳細はリンク先の公式資料をご覧ください。
間違いがあってはいけないので、本サイトでは割愛します。

世田谷町田線(生田~百合ヶ丘間)の整備検討を明記

世田谷町田線の取組み

このサイトでは各路線については逐一取り上げませんが、今回注目したいのは世田谷町田線です。

世田谷町田線は、川崎市北部を東西に貫く道路で、主要地方道(県道)にもなっている幹線道路です。これまで、新百合ヶ丘駅付近で整備が完了しているほか、登戸工区片平工区上麻生Ⅰ期工区上麻生Ⅰ期工区で事業中です。

このうち、片平工区上麻生Ⅰ期工区は、2026年3月頃までに完成する見込みです。(上麻生Ⅰ期は、上麻生Ⅱ期が事業中のため一部暫定形となる)

第2次川崎市道路整備プログラム後期②の取組(案)から引用

また、現在は未着手となっている東生田小学校付近~生田交番前付近については、生田工区として、後期②(2026年度~2029年度)の着手を目標とする整備推進路線に選定されています。

これは「第2次計画」当初には2022年度~2025年度の間に着手する予定とされていたものが、2021年度に「後期の取組」として取りまとめた際に、2026年度~2029年度の着手に先送りしていたもので、今回「後期②の取組」では変更がありません。

未整備区間の現況

世田谷町田線は、東京都心から放射状に延びる道路で、地形の都合もあり南北両側の交通が一旦世田谷町田線に集結する交通量が多い道路です。それにも関わらず、幅員は9m程度で狭く、一部区間には歩道がなく、あったとしても人同士のすれ違いすら気を遣うほど狭く、右折レーンがない信号交差点が連発するなど、流れが悪い道路です。

全線に渡って小田急線と並行し、一部区間では隣り合っています。
小田急線の踏切は、一般的に開かずの踏切とされる、ピーク時遮断時間が40分を超える踏切道が連続しています。

また、谷筋を通る道路で、道路両側の高低差が激しい箇所があります。

生田駅前。歩道が非常に狭く、建物が張り付いている。荷捌き車両等が路上駐車することも多く、流れを阻害する様子がたびたび見られることがある。
小田急線の駅と隣接する読売ランド前駅。駅側には歩道が存在しない。
右折レーンが存在しない生田交番前交差点。右折車両がいると流れが止まる。

生田~百合ヶ丘間の整備の検討を明記

私が注目しているのは、これまで整備がされず、整備予定についても記載がなかった生田~百合ヶ丘間です。この区間は、今回パブコメ中の『後期②の取組(案)』でも整備推進路線には選定されていませんが、以下のような文言が書かれています。

令和3年7月に国が、平常時・災害時及び物流の観点を踏まえ、広域道路ネットワークを構築するため、「新広域道路交通計画」を策定しました。同計画において、主要な都市間を連絡する重要な路線である「一般広域道路」として国道409号、世田谷町田線、尻手黒川線が位置づけられたことから、対象の3路線について、整備を推進していく必要があります。

「新広域道路交通計画」において、「一般広域道路」として位置づけられた3路線のうち、国道409号、尻手黒川線については、概ね事業化されていることから、本プログラムに位置づけのある工区の整備を着実に推進するとともに、世田谷町田線については、後期②での生田工区の着手に加え、生田駅付近から百合丘駅付近の未着手区間が、隣接する小田急線の複々線化計画と連携を図る必要があることから、本プログラムに位置づけのない区間の課題整理及び整備方針について検討します。

上記の他、道路整備は用地取得など長期間を要することから、限られた財源で最大の効果を早期に発現させるため、これまでに培ったノウハウを活用して、局所的・即効的な対策である交差点等の渋滞対策との連携を強化し、取組を推進します。

これらの文言は、ここ数年の市議会での答弁とほぼ同じ内容で、都市計画マスタープランに謳われている内容ではありますが、課題整理や整備方針についての検討について明記されたのは、少し前進した印象を受けます。

※市議会ウェブサイトの検索で引っかかったもののみです。

◎都市整備局長
次に,都市計画道路世田谷・町田線の計画と取り組みについてのご質問でございますが,この道路につきましては平成3年度に設置した川崎市総合交通体系調査委員会の中でも,本市の北西部地域における市域を横断する重要な幹線道路,このように位置づけて提案されております。したがいまして,本市といたしましてはこの提案を踏まえまして,本市の北西部における都市軸の道路として強化する必要があると認識しております。したがいまして,この道路計画につきましては今後小田急線の複々線化計画やご指摘のようなこの沿線の開発計画等の動向を見定めながら取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。
1992年6月18日 第2回定例会

◎土木局長
生田駅周辺整備についての幾つかのご質問でございますが,初めに都市計画道路世田谷・町田線についてでございますが,現在,多摩区登戸地内の延長約1,360メートルの区間及び麻生区万福寺地内の延長約400メートルの区間を事業中でございます。この路線は本市の幹線道路ネットワーク形成のための重要路線でございますので,現在,事業中の区間の進捗状況を見ながら,引き続き整備を進めてまいりたいと考えております。次期事業箇所につきましては,都市計画道路尻手・黒川線との連結及び新百合丘駅周辺の整備を優先したいと考えております。したがいまして,生田駅周辺地区の事業化につきましては,現在のところ未定でございます。
1996年6月25日 第2回定例会

◎建設局長
都市計画道路世田谷町田線等についての御質問でございますが,初めに,世田谷町田線の根岸陸橋から三田団地入り口までの延長約630メートルの区間につきましては,北側には傾斜地が続き,南側には五反田川が流れているという地形でございますので,道路を築造する際には,接続する取りつけ道路との高低差が生じるため,構造等につきまして慎重に検討する必要がございます。事業化につきましては,今後これらの問題解決に取り組むとともに,現在事業中の登戸陸橋工区の進捗状況を見ながら検討してまいります。
2002年12月11日 決算審査特別委員会

◎建設局長
今後の計画でございますが、現在事業中の区間から麻生区境まで順次進めていく予定でございまして、昨年度、根岸陸橋から三田団地入り口までの延長約630メートルの区間について、測量調査を実施したところでございます。この区間は、北側に傾斜地が続き、南側には五反田川が流れているという地形でございまして、道路を築造する際には、接続する取りつけ道路との高低差処理など、構造的に解決しなければならない課題がございます。さらに、この先の三田団地入り口から生田駅前までの区間には商店街などがあり、その方々の生活再建を確保するなどの難しい課題もございます。しかしながら、現在事業中の区間の用地交渉を積極的に行うなど、早期完成に向けなお一層の努力を行うとともに、完成後には次の区間にスムーズに移行できるよう、課題の整理を進めてまいりたいと考えております。
2003年12月12日 決算審査特別委員会

◎建設局長
 世田谷町田線の整備についての御質問でございますが、世田谷町田線は、市域北部の重要な幹線道路として、これまでも登戸駅周辺や新百合ヶ丘駅周辺を中心に重点的な整備を進めており、今回の道路整備プログラム案におきましても、生田根岸跨線橋から生田駅方面に向けた未整備区間を新たに着手する箇所として位置づけたところでございます。
 一方、残る未着手区間につきましては、小田急線と並行し、踏切に近接していることから、複々線化など鉄道計画や駅周辺のまちづくりの動向を見定める必要があるなど、早期の事業着手は難しい状況でございますが、今後、踏切対策も含め、幅広く整備手法を検討してまいりたいと考えております。
 このようなことから、生田駅や読売ランド前駅周辺のような渋滞や事故の多い箇所につきましては、交差点を中心とした早期の取り組みが必要と考えており、道路整備の進め方とともに、整備手法などについて国や県など関係機関と調整を進めてまいります。以上でございます。
2007年12月19日 第5回定例会

◎建設局長
 世田谷町田線の整備についての御質問でございますが、多摩区及び麻生区を横断し、東京都区部と町田市とを連絡する世田谷町田線は、市域北部における基幹的な幹線道路であり、本市の道路ネットワークの骨格を形成する主要な都市計画道路でございます。また、沿線では本市の都市拠点地区である登戸駅周辺地区や新百合ヶ丘駅周辺地区においてまちづくりが進められていることから、本市の幹線道路の整備計画を定めた道路整備プログラムにおいて、登戸周辺地区における登戸工区及び新百合ヶ丘地区における片平工区などの区間において優先的整備区間と位置づけ、現在事業を推進しているところでございます。一方、整備に着手していない生田駅付近から百合ヶ丘駅付近までの区間につきましては、狭隘な地形やまちの発展の経緯などから、その大部分で鉄道と道路が近接する状況となっております。この区間の整備におきましては、このような沿線の現状や計画されている複々線化などの鉄道事業の動向、さらには、生田駅や読売ランド前駅周辺の今後のまちづくりなどを踏まえながら取り組みを進めていくことが必要であると考えております。
 御指摘の立体化後の鉄道用地を道路に活用する方策につきましては、調査しました範囲において全国的にも事例が見当たらない状況であるとともに、現行法上などの課題もあると考えております。しかしながら、世田谷町田線の全区間整備は本市の都市基盤整備における重要な課題でございますので、小田急線の複々線化事業の推移を注意深く見きわめながら、今後のまちづくりの事例や国の動向を注視するなど幅広く研究してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、幹線道路網の構築を推進し、あわせて都市拠点地区の形成を支援する世田谷町田線の整備を推進することが重要であると認識しておりますので、今後も引き続き、現在事業を進めている2つの区間の早期完成に向け取り組んでまいります。以上でございます。
2010年3月10日 予算審査特別委員会

◎建設緑政局長
多摩区内の東生田小学校付近から生田大橋付近までの生田工区につきましては、本プログラムにおいて後期の平成34年度から平成37年度の間に着手予定となっております。次に、生田大橋付近から百合ヶ丘駅付近までの未着手区間の課題についてでございますが、狭隘な地形や、まちの発展の経緯などから、その大部分で鉄道と道路が近接する状況であることが課題と考えております。この区間の整備につきましては、このような沿道の現状などを踏まえながら、取り組みを進めていくことが必要であると考えております。以上でございます。
2018年12月18日 第4回定例会

◎建設緑政局長
都市計画道路世田谷町田線についての御質問でございますが、本年10月及び11月に行った調査の主な結果につきましては、読売ランド前駅入口交差点において500メートル以上の渋滞が発生していたことや、高石歩道橋下交差点において11回の渋滞が発生していたことなど、各交差点の交通状況や課題などを確認したところでございます。課題が確認できた交差点につきましては、これまでの緊急渋滞対策において実施してきた付加車線の設置や信号制御の改善などの対策の検討や、交通管理者との協議調整などを行ってまいります。以上でございます。
2022年12月20日 第5回定例会

◎建設緑政局長
渋滞対策と道路整備についての御質問でございますが、初めに、世田谷町田線の生田駅から百合ヶ丘駅付近までの未着手区間につきましては、並行する小田急線の複々線化計画と連携を図る必要があることから、第2次川崎市道路整備プログラムに位置づけておらず、現時点では事業着手の見通しをお示しすることができない状況でございます。しかしながら、当該路線が関東ブロック新広域道路交通計画に一般広域道路として位置づけられたことなどを踏まえ、昨年度、主要な交差点で交通量等の調査を行っておりまして、課題が確認できた交差点につきましては、付加車線の設置や信号制御の改善などに向けて交通管理者と協議調整を行っており、今後は協議が調った箇所から順次対策を実施してまいります。
2023年6月30日 第3回定例会

◎建設緑政局長
渋滞対策についての御質問でございますが、都市計画道路世田谷町田線の生田駅から百合ヶ丘駅付近までの未着手区間につきましては、第2次川崎市道路整備プログラムに位置づけておらず、現時点では事業着手の見通しをお示しすることができない中、当該路線が関東ブロック新広域道路交通計画に一般広域道路として位置づけられたことなどを踏まえ、令和4年に実施した交通量調査で課題が確認できた交差点につきましては、交通管理者と協議調整を行っているところでございます。このうち、高石歩道橋下交差点につきましては、上り車線において平日朝夕を中心に左折待ち車両による直進車への通行阻害を原因とする渋滞が生じていたため、センターラインの位置を変更し、上り車線を広幅員化する対策について本年3月に実施したものでございまして、これにより最大渋滞長が80メートル減少、最大通過時間が2分48秒短縮され、渋滞が解消されたことを確認したところでございます。以上でございます。
2024年6月20日 第2回定例会

小田急線の複々線化

すでに書いたように、この区間は小田急線と隣接している箇所があります。

ガイドマップかわさきの都市計画情報から引用

現状の都市計画では、世田谷町田線幅員20mに拡幅する計画です。
都市計画図を見る限り、都市計画道路が小田急線と被っている場所はありません。

東京圏における今後の都市鉄道のあり方について(答申)2016年4月20日交通政策審議会から引用

一方で、小田急線は、2016年4月20日に交通政策審議会からされた『東京における今後の都市鉄道のあり方について(答申)』において、「小田急小田原線の複々線化」について「関係地方公共団体・鉄道事業者等において、事業スキームを含めた事業計画について十分な検討が行われることを期待。」とされています。

仮に小田急線を、狛江市内と同じように高架4線構造で複々線化した場合、都市計画道路と干渉する可能性があります。市議会やパブコメ中の「後期の取組②」においても「隣接する小田急線の複々線化計画と連携を図る必要がある」としています。

こうしたなか、2018年には「小田急線(向ヶ丘遊園駅-新百合ヶ丘駅間)の地下2層化・複々線化を求める請願」が市議会に提出されるなどしました。
また、都市計画マスタープランでも複々線化の促進が謳われています。

一方で、市議会録などによると、小田急電鉄からは実現性は低いといった回答があるなどとされています。

◎交通政策室担当課長
小田急線の複々線化についての御質問でございますけれども、こちらにつきましては、委員御指摘のとおり、国の交通政策審議会答申、直近ですと第198号答申にも位置づけられている路線でございまして、こちらの路線につきましては、私ども川崎市からも小田急さんに対しても複々線の実現というのを要望しているところであるんですが、小田急さんからは、こちらにつきましては、今般のコロナの影響であったりとか、今後の少子高齢化等の人口減少とかがございますことから、将来の輸送人員が減少傾向に転じると推測されているということで、あと、こちらにつきましては莫大な事業費がかかるというところで、実現性は低いという回答をいただいているところでございます。そういった事情もございまして、こちらにつきましては国の位置づけもあるということで、川崎市からも要望しているということで、小田急電鉄さんに対しては求めてはいるところであるんですけれども、小田急さんの回答を踏まえまして、中長期着手を目指す路線と今回位置づけさせていただいているところでございます。
2025年8月27日 まちづくり委員会

個人的には、人口が減るフェーズに入っているなかで、コロナを期に本数を激減させ、現在もあまり本数を戻してない小田急電鉄が、100%鉄道会社負担となる複々線化を行うようには思えません。

また、川崎市は南武線の連続立体交差事業を始めようとしているなかで、小田急電鉄の連続立体交差事業を同時に行えるほどの体力があるわけがなく、しばらくは平面交差が続くのではないかと思います。

局所的な渋滞対策

『後期②の取組(案)』で「局所的・即効的な対策である交差点等の渋滞対策との連携を強化し、取組を推進します。」と記載のあるように、世田谷町田線では一部の交差点で局所対策が行われ、効果があった交差点があります。

このうち、高石歩道橋下交差点では、白線の位置を変更することで、左折待ち車両を通り抜けることが可能となったほか、上麻生交差点では街渠を一部移設し右折ポケットの新設が行われました。

市議会録によると、このうち世田谷町田線読売ランド前駅入口交差点については、「下り車線の右折待ち車両による直進車への通行阻害を解消する対策を検討し、現在、交通管理者と協議調整を行っており、協議が調い次第、対策を実施してまいりたいと考えております。」としています。

↑高石歩道橋下交差点についてはこの記事に記載しています。

全線整備を

局所的な対策のみならず、全線の安心・安全な整備が求められます。

まずは、生田工区を早期着手するとともに、2030年度頃に策定されるであろう次期道路整備プログラムまでに残る区間の整備検討を進め、次期プログラムでの整備推進路線への選定を期待したいところです。

撮影日:2025年12月11日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました