二子玉川の多摩川堤防が完成し一部通路が開放 2019年台風19号で溢水箇所

世田谷区二子玉川地先で行われていた、多摩川堤防工事が概ね完了し、河川管理通路が2025年4月26日から開放されました(京浜河川事務所発表による)

今回堤防が整備されたのは、東急田園都市線交差部付近~コヤマドライビングスクール付近までの約550mの区間です。
この部分は堤防が存在しない「無堤部」で、2019年の台風19号では多摩川の水が溢水したことで、周辺家屋に影響を及ぼしました。堤防の整備はその台風前から検討が続けられてきましたが、台風を契機に「多摩川緊急治水対策プロジェクト」が進められ、二子玉川では堤防の工事に着手していました。

2020年度には、「R1多摩川左岸二子玉川築堤基盤整備工事」が始まり、溢水が発生した兵庫橋付近を中心に第1期工事として暫定堤防が整備されました。

その後「R3多摩川左岸二子玉川築堤護岸工事」により本格的な堤防整備工事が行われたほか、兵庫橋が架け替えられました。

そして直近では、「R5多摩川周辺整備工事」が行われ、河川管理通路などの整備が進められてきました。

完成した堤防

二子橋から上流側は計画高水位(HWL)に余裕高を見た高さで堤防が整備されています。天端部分には河川管理通路(通常時は歩行者自転車道)が整備されました。

マンションが近接して用地の足りない部分はコンクリート構造物による「特殊堤」として整備されています。

2019年
2025年

堤防整備前と同じ地点で比較すると、大きな堤防ができあがったことがよくわかります。

特殊堤部分の天端

特殊堤部分を含め、コヤマドライビングスクールまでの区間で河川管理通路が整備され、既に完成していますが、現時点ではBバリで閉ざされて通行できません。

現地には「植栽養生等の目的から当面の間、通行止めとさせていただきます」と書かれた張り紙がしてあります。

この部分の工事が完了した3月29日に沿線マンション住民らを対象とした現地見学会が開催されたようで、議事要旨によると、植栽(生垣)が繁茂してない状態での開放についてプライバシー上の懸念が出されており、これらを考慮して通行止めとしていると見られます。プライバシーについては、台風が来る前の堤防検討時からずっと議論になっていたことでもありました。

全面開放された(新)兵庫橋

あわせて(新)兵庫橋も全面開放されました。橋自体は数年前に完成していましたが、橋の一部を工事用通路としていたため、これまでは橋の一部のみの開放にとどまっていました。

旧兵庫橋の親柱

(旧)兵庫橋は撤去されましたが、右岸側親柱は現地に置かれています。

また、多摩川と野川の間の河川管理通路の一部が拡幅・舗装がされ、一部がきれいになっています。

二子橋交差部

なお、桁の低い二子橋や東急田園都市線交差部は、本来必要な堤防高さよりも低い堤防(計画高水位と同等の高さは確保)となっているほか、これより下流側二子玉川公園にかけても同様に、暫定堤となっています。

コヤマドライビングスクール側から見た様子

新二子橋246から上流側は土堤部となり、同様に天端に河川管理通路が整備されています。

コヤマドライビングスクール側

コヤマドライビングスクール側も同様にBバリ等で塞がれていて、通り抜けることができません。

前出議事要旨には、植物が繁茂する9月頃に再度現地見学会を行い交通開放の判断を行うような記載があることから、最低でも半年程度は通行できそうにありません。

野川も洪水対策進む

二子玉川で多摩川に合流する東京都管理河川の野川では、合流部~新井橋までの多摩川背水区間で、アクリル防水壁を設置する工事が進んでいます。

この部分の野川は、野川自己流による計画高水位及び多摩川計画高水位を満たす護岸が整備済みですが、多摩川計画堤防高を満たしていないため、その分をアクリル防水壁で嵩上げするものです。

その202工事完成箇所

吉澤橋野川水道橋天神森橋へのアクリル板設置については前回記事で記載済みですが、吉澤橋下流左岸側で行われていた「その202」工事も完了していました。

その204工事予定箇所(野川水道橋上流右岸側)

続きの工事となる「その203」「その204」「その205」工事についても入札済みです。現時点では工事着手していませんでしたが、近いうちに工事着手すると見られます。

「その203」2024年11月25日開札、池田建設株式会社
「その204」2025年2月13日開札、株式会社瀧澤建設
「その205」2025年2月17日開札、京浜建設株式会社

撮影日:2025年4月27日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました