相模原市橋本から八王子市の左入橋に至る国道16号八王子バイパス。そのうちかつては有料道路だった相原IC~打越ICには使われていないトンネルがあるようです。
トンネルと言っても、八王子バイパスがくぐるトンネルではなく、八王子バイパスの下をくぐるトンネル。正確に言うとボックスカルバートです。
「はいはい、あれでしょ。御殿峠のあそこでしょ。」と思ったあなた。それもそうだけど、これだけじゃないんです。

御殿峠から鑓水に抜ける大型カルバート。2連のカルバートのうち使われているのは片側のみで、もう片方は使われていません。一部からは心霊スポット扱いされ、その手のマニアにはそこそこ有名なスポットでもあるようです。
全国道路施設点検データベースによると、「八王子2カルバート」として名前が付けられているようで、1985年に完成し、現在は国が管理しています。
現状ここに都市計画道路は存在せず、過去にも存在していませんでしたが、2連の理由は周辺の土地開発を見越して作ったなどと言われています。それについて詳しく調べてもよかったのですが、さすがにこすられすぎている施設を調べるのもつまらないので・・・
「八王子2カルバート」・・・?「2」?「1」は?と調べていると・・・

まだあった・・・
このうち謎のBOX①について調べてみました
謎のBOX①
謎のBOX①があるのは相原IC~鑓水IC間。京王が運営する八王子御殿山ゴルフ練習場の裏側にあります。(Googleマップ)
地理院地図にもしっかりとトンネル記号で描かれています。
行ってみた

過去何度も通ったことのある八王子バイパス・・・こんなところにボックスカルバートがあったとは知らなかったぞ・・・!?
と、現地に行ってみたものの、「これはわからん」
地形図を見る感じ、この付近は谷を埋めて法上に道路を造ったようで、転落防止冊の向こうには法下に降りる仮設の階段が設置してありました。
階段の下にはさらに柵があり、扉が開いているように見えます。
心の声「下りないのかい?」
自分「いやいや、たとえ公有地だとしても柵の向こうに行くのはよくないだろ」
心の声「下から見ないのかい?」
自分「ううう見たい・・・」
と、葛藤した挙げく・・・下りませんでした。
私がオフローダー系ブロガーなら決行したかもしれませんが、交通量の多い道路で柵を乗り越え、さらに下から写真を撮ってネットに掲載するのは流石にコンプラ的にマズイと思い良心に従いました。
ボックスカルバートはあるのか
地図情報まちだによると、カルバート内は堺246号線、堺596号線に認定されているようで、このGISの地形図にもボックスカルバートのような地形が描かれています。
なお、このように認定が入っているものの、現地は藪で覆われていて、到底人が入れるような状況ではありません。道がありません。

全国道路基盤地図等データベースに搭載されている道路台帳付属図にも明らかにボックスカルバートが描かれています。最近はこんなのまでネットで見られるようになり便利になりました。
どうやら本当にボックスカルバートはあるらしい・・・
情報公開請求してみた
と、これ以上の情報は集まらなかったので、国土交通省関東地方整備局に対して情報公開請求してみました。

このボックスカルバートは確かに「町田2」という名称で管理されているようで、地下道調書として台帳管理されていました。関東地方整備局職員によると、道路法に基づき法定点検が義務付けられている大型カルバートには分類されず、法定定期点検はしていないようです。(道路土工構造物点検要領により点検している)
これを見ると、2連のボックスカルバートのようで、片側の内空幅員は5mと、そこそこ大型です。
もう一つ請求した協定書。前書き部分にボックスカルバートを造った理由が書かれていました。
日本道路公団(以下「甲」という。)と、京王帝都電鉄株式会社(以下「乙」という。)及び町田市(以下「丙」という。)とは、甲が施工する一般国道16号八王子バイパス(以下「バイパス」という。)改築工事とバイパスに隣接の土地所有者である乙が希望する道路築造計画とが競合する部分の築造工事(以下「本工事」という。)の施行、費用負担及び管理区分等について、以下のとおり協定する。
協定書添付の地図にはボックスカルバートが朱塗りで描かれていて、このボックスカルバートは周辺に土地を持つ京王電鉄が要望し築造したものであるようです。
周辺の土地のいくつかの登記簿を取得してみると、確かに京王電鉄が土地を所有しています。思い返してみると、東側のゴルフ練習場も京王電鉄の運営です。
何のために京王電鉄が土地を所有していたかは明記されていないものの、宅地開発等を企んでいたのはほぼほぼ間違いないと思われます。今でもそうですが、当時は郊外で宅地開発をし、そこに住んだ人を都心に運ぶというビジネスを私鉄各社は利益の柱としており、周辺郊外では多くの土地が私鉄各社によって開発されました。
しかしこの周辺は市街化調整区域(宅地開発が厳しく制限される区域)で、都市計画変更されることもなく、宅地開発ができないまま残されることとなってしまいました。
さて、このボックスカルバート「町田2」ですが、2があるなら1があるだろうというになります。通常こういうのは起点側から数字を付けるため、橋本側に1があるはずです。「町田1」は相原IC入って150m北側の供用中のボックスカルバートのことと思われ、現地にも「町田1」と書かれた看板が設置してあるのですが、全国道路施設点検DBでは「相原1」として管理されています。
そのほかのBOX
これも③については地形図にも記載があり、②と③ともに全国道路基盤地図等データベースの道路台帳附図にも記載があります。ボックスカルバートがあるのは確かなようです。ただ、現地に行ってもどこにあるのかよくわからず、トンネルの下に行く道があるようにも見えません。
これらについても情報公開請求するのも60日もかかるのは正直疲れるしお金もかかるので、だれか頑張ってください。
謎多き八王子バイパス
そんな八王子バイパスには使われていないランプがあったり、計画経緯が調べてもなかなか出てこない謎多き道路です。
『山さ行がねが』のヨッキれん氏の記事で片倉ICの使われていないランプ等について調べられていますが、公文書館で調べてもほとんど出てこないのです。
まだまだ知らない謎があるのかも。
撮影日:2024年2月10日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。
コメント
いつも楽しく見させて頂いています。
多摩地区の情報が多く私の行動範囲と重なる所がかなりあって助かってます。
コンプラ重視の探索、自制心が重要ですね。
ある意味、謎を残すのは想像力を掻き立てるので楽しいです。
誰かが住んでたり。秘密基地を作ってたりして。なんて。
そのうち、公式的にその先を見せてくれたり活用したりすのではないでしょうか。
京王の施設もあるようですし。
何らかの理由で周辺の開発機運が高まって宅地造成されるようなことがあれば使用されるかもしれませんが、人口減少基調の現在ではなかなかなさそうですね。
追伸。
現場の写真撮影をするのは実は物凄い、労力を使いますよね。
人に迷惑かけず、駐車したり撮影したり。
私は道路ではないのですが、ロードサイドのあるものを調査、撮影する仕事を
時々しているので、写真を見るだけで物凄い大変なことをしているなと、
いつも感じます。
これからも頑張ってください。楽しみにしています。
山行がなら階段降りてる
そう思いつつ、降りませんでした。
レポートありがとうございます。
近隣のみなみ野地区に比べ、未開発の山林が多く宅地化が進まないな、と感じでいたのですが「市街化調整区域」エリアだったとは…
近隣の橋本エリアはリニア効果で地下の上昇が著しいですが、そのベッドタウンとしてこのエリアが開発され、カルバートが日の目を見れば良いな、と妄想してしまいます。
この近辺の開発されていない雑木林は基本的に調整区域です。
新横浜駅でさえ新幹線開通後半世紀たっても少し行くと農地が多いことを考えると、橋本駅も同様に、用途地域や開発規制の緩い周辺の工場群が撤退した跡地に対する開発程度に収まるのではないかなと思います。
面白い!!
色々根回しして
見てきて!!
大変おもしろい情報ありがとうございます.
不思議なものでちゃんと理由があって存在しているのですね.
お疲れさまでした.
いつも楽しく拝見させて戴いています。
この八王子バイパス。有料だった頃はNEXCOが管理していたのですが、私はNEXCO管轄道路の維持管理会社で働いています。
八王子バイパス沿線の草刈りをよくやっていたので、私は全て知っていますが、「こんなのよく見つけたなぁ!」という感想です。
該当のカルバートも通り抜けた事はありますが、やはり何処に抜ける訳でもなく、不思議に思っていた次第で、ここまで資料を観れたことに感動しています。
高速道路下には人知れず佇むカルバートは山奥に行けば沢山在り、もしも一緒に働く気があるなら毎日の様に見れますよ。連絡お待ちしています。
と言うのは冗談ですが、NEXCOの手を離れて大分経ちますが、国交省が草ぼうぼうにしているのを見ると「仕方ないのかな…」なんて思ったりしますが、この記事に出会えて当時を振り返り感慨に浸らせて戴きました。
今後も楽しい記事を期待しています。くれぐれもヨッキれんさんの様な無理はなさらない様に。
こんな通行の影響になさそうな法面も草刈りしていたのですね。新直轄国道と高速道路会社管理高速道路を比べると格段と高速道路会社の道路の方が管理水準が高いなと感じていました。
これからもお気を付けください。
片倉の(北野方面への)使われていないランプは、当初は開通予定が、近隣が住宅地からが反対があり、断念だったかと思います。
それについて調査しているサイトをリンク付きで紹介しています。
本記事では調査の対象としていないため、かつそれが正しいと裏付けも行っていないことから本文ではあえて記載していません。