京王線の多磨霊園駅~東府中駅間の線路沿いには空き地がまとまって確保されています。
この空き地について、府中市議会HPで見られる1993年以降の議会録からゆくえを追ってみたいと思います。
空き地
京王線の多磨霊園駅~東府中駅間の線路の北側には、このようにまとまって空き地が確保されています。電車に乗っていても目立ち、気付いた人も多いはずです。空き地の一部は、写真のように歩行者用通路として開放されている状況で、空き地には府中市が設置したと思われる張り紙が取り付けられています。
空き地になっているのは上図の赤色で示した範囲です。
この土地がなんなのか。結論から言うと、
府中市が京王線の高架化促進のために用意した側道用地
のようです。
府中駅付近の高架化
京王線の府中駅付近の連続立体交差(高架化)は、1980年7月に事業認可を得て東京都が事業を着手。1981年10月16日には工事に着手し、1985年3月10日に上り線仮線に切替え、1985年9月29日に下り線仮線に切替え、1989年10月14日に下り線を高架化、1991年4月27日に上り線も高架化し、1993年3月1日に新駅舎の使用を開始しました。
都市計画決定された区間と高架化した区間は下図の通りで、このとき、西武多摩川線交差部付近までは都市計画決定、事業着手されませんでした。
第2期高架化構想区間
1993年の発言
インターネットで確認できる最も古い1993年の府中市議会録には、本会議で鉄道対策特別委員会の報告として次のような発言があります。
◯17番(松村伊輔君) 略
それによると、第2期高架化については、平成3年から東京都、京王電鉄、府中市の三者で検討会を設けて協議をしてきた中で、ただ単に京王高架だけの事業を進めるのではなく、核となる駅沿線のまちづくりと整合した形で進めることが必要であるとの意見が大半であるとのことから、市は東府中駅と多磨霊園駅の2カ所について、駅周辺の再開発を念頭に置いたまちづくりを考えており、また、両駅間の沿線については、南北の連絡をよくするということで検討をしているとのことであります。
両駅間のまちづくりについては、本年度、地元の地権者に呼びかけて話し合いを進めていくことにしており、また、沿線の側道の関係についても、現在、測量を実施しているが、今後どういう形でまちづくりとしての整合性を図るかについて、周辺住民の方々と話し合いをしながら進めていくことにしております。
以上、現在までの経過と取り組みの状況について説明を受け、審査に入り、今後のスケジュールについては、高架の都市計画決定を行い、駅周辺関係、駅前広場の整備など、地元との折衝の中で状況をつかみ次第、一定の工期を定め、できるだけ早い機会に取り組んでいきたいとの答弁がありました。
平成5年第2回定例会(第11号) 本文 1993-06-23 太字は筆者による
と、あり、多磨霊園駅付近~府中駅付近の区間を第2期高架化区間として考えていたようです。(この時点では発言がありませんが、のちの発言から京王競馬場線も含まれていたようです)
平成3年(1991年)から3者協議を行っていることから、この市議会録の1993年以前にも市議会で発言があったと思われますが、これより古い議会録がネットに公開されていないため確認できません。図書館とかに行けばわかると思いますが。
この平成3年(1991年)の時点では、これから高架化のため、沿線のまちづくりを呼び掛けていくとしています。
沿道まちづくりの開始と側道整備
翌1994年にも市議会本会議で委員会の報告として次のような発言がありました。
◯23番(松村伊輔君) 略
まず、東府中駅と周辺地区のまちづくりについては、昨年12月に実施したアンケート調査の結果をもって開催したまちづくり懇談会について説明がなされました。
この懇談会は、7月5日から19日までの14日間、5地区、5会場で開催されたもので、対象面積35.5ヘクタール、対象者として地区内居住者 2,525名、土地所有者で地区外居住者 366名、計 2,891名、そのうち出席者は 115名(出席率約4%)となっております。
懇談会の全体的な意見としては次のように報告されております。
1)まちづくりの方向性を具体的に示していただかないと、懇談会の趣旨がよく理解できない。2)第1期高架事業にかかった費用を教えてほしい。3)京王線はいつ高架になるのか。市としては具体的計画を持っているのではないかという意見。
また、各会場(地区)ごとの意見としては、次のように報告されております。
東府中駅南口を対象とした沿線地区では、1)東府中駅北側と南側を区分するのではなく、南北一帯としてのまちづくりを進めてほしい。2)連続立体交差事業を行うには、側道、駅周辺の再開発事業など、前提条件を認識させた上で説明を願いたい。3)懇談会は関係人を限定した話し合いではなく、地区全体を対象にしたものにしてほしいという意見。
東府中駅、多磨霊園駅間の沿線地区では、1)まちづくりをやることに反対ではないが、土地に影響するのは一番問題である。2)高架のためのまちづくりではなく、住民のためのまちづくりにしてもらいたいという意見。
多磨霊園駅東側沿線地区では、高架の具体的計画はないか。沿線に居住している者として不安であるという意見。
多磨霊園駅周辺地区では、都市計画道路3・4・7号(東京都施行)、3・5・14号(市施行)の2路線は、既に京王線を挟んで道路が整備され、ストップしているので早く開通してほしいという意見。
東府中駅周辺地区(三本木土地区画整理施行区域)では、1)区画整理事業区域から除外されたはずであり、区画整理はしないと理解している。2)市では具体的な構想があるのではないか。3)アンケート調査表の設問中に、区画整理について聞いているのは、市として区画整理をしようとしているのではないかという意見が出されているとのことであります。
次に、今後の進め方としては、まちづくりの計画案は行政側でたたき台を作成し、住民側と十分な意見交換をしながら進めていきたい。当面のまちづくりの検討の進め方としては、自治会、商店会などの役員と調整をしながら、全体の懇談会で話し合いをしていくことにしております。
また、今後の話し合いでは、なるべく早いうちに、まちづくりの問題点に対して、住民と行政側が共通認識を持つようにし、まちづくりの課題と目標(道路整備、商店街の近代化等)を確認しながら話し合いを進めていくことにしております。
次に、京王線第2期連続立体事業化に伴う道路計画の現在の進捗状況については、本事業予定区間は、東府中駅東側から西武線と交差する手前、六中通りまでの北側沿道で、延長約1キロメートルでありまして、東府中駅東側から多磨霊園駅ホーム西側までの区間、延長約 470メートルについては、委託業務により用地測量の作業を進めており、民民との境界確認作業と、一筆ごとの用地測量が終了し、現在、面積計算及びチェック作業に入っているので、9月30日までには用地測量に係る作業は、一部の筆の除いて終了し、提出される予定となっております。
今後の予定としては、成果品をチェックした後に、用地買収交渉に係る諸手続を行うので、用地買収に入るのは、平成7年1月下旬ごろになるとしております。
また6年度道路整備を予定している東郷寺通りから六中通りの7メートル手前までの区間、延長約 230メートルの進捗状況については、現在設計図面の作成作業に入っており、工事の予定時期は、下水道工事が平成6年11月から平成6年12月まで、道路工事は平成6年12月から平成7年3月までの予定で準備を進めているとのことであります。
以上の説明を受けた後、審査の中で、要望意見として、1)高架化事業の申請前に打つべき手はしっかり打ってもらいたい。また、高架事業の事業決定に向かって努力してもらいたい。2)沿線のまちづくりについては、まちづくり全体を考えた中で、調整しながら進めてもらいたい等の要望がありました。
平成6年第3回定例会(第15号) 本文 1994-09-26 太字は筆者による
この平成6年(1994年)では、沿線まちづくりについては話合いを始めている段階のようですが、道路(側道)については既に設計作業を進めていたようです。
平成7年(1995年)にも市議会で同様の説明がありました。
◯23番(松村伊輔君) 略
まず、東府中駅と周辺地区のまちづくりについては、平成5年3月に完成した京王線府中駅付近連続立体交差事業に続いて、東府中駅から西武多摩川線までの約 2.7キロメートルについても、駅周辺及び沿線市街地の面的整備という、まちづくりの観点をとらえた中で、都市交通の安全性の向上と分断された市街地の相互発展を図る連続立体交差事業の推進が必要であるため、東府中駅と周辺地区のまちづくりの方向性、あり方などについて関係者とまちづくり懇談会を開催しながら、当該地域のまちづくり計画案の策定を進めているものであります。
平成6年度のまちづくり懇談会については、平成5年度に沿線市街地 2,454戸を対象に実施したアンケート調査の結果を報告しながら開催。対象地区全体懇談会、自治会・商店会の役員懇談会、都市防災の観点から自治会・商店会の役員懇談会など、それぞれの開催状況と主な意見・要望、今後の進め方等について理事者側から説明がなされました。平成7年度については、まだ地元との懇談会を開催していないが、予定としては、1)まちづくり全体調整を図るための組織化を図る。2)各地域ごとにまちづくりのテーマを決めながら、まちづくりの方向等を決定するための懇談会を引き続き行う。3)東京都及び関係機関に対して状況を報告し連絡調整を進めていくことにしております。
次に、京王線第2期連続立体交差事業化に伴う道路計画については、東府中駅東側から西武線と交差する六中通りまでの北側沿線、延長約1キロメートルを整備するもので、東府中駅東側から多磨霊園駅ホーム西側までの区間、約 470メートルについては、平成5年度に地元説明会を行い、平成6年度から用地買収に入り、平成7年3月31日現在の買収率は 4.7%となっております。また、多磨霊園駅ホーム西側から東郷寺通りまでの区間約 170メートルについては、昭和62年、63年度で整備が終わり、東郷寺通りから六中通りまでの区間約 360メートルについては、平成2年度から事業に着手して、東郷寺通りのところの一部を除き、平成7年1月に整備が完了しており、道路計画1キロメートルに対する整備率は53%となっております。
なお東郷寺通りのところの一部については、地権者の都合により来年2月以降、用地交渉に入ることにしています。
以上の説明を受けた後、審査の中の意見として、京王線の高架化に対する関心は強いと思うので、東京都あるいは京王電鉄の方に対し、市として積極的に高架化を進めるように話をしてもらいたいとの意見がありました。
平成7年第3回定例会(第16号) 本文 1995-09-26 太字は筆者による
この発言から解釈すると、京王線の高架化第2期事業に関連する道路整備として、多磨霊園駅北側の側道は1988年で、東郷寺通り~6中通り間の北側側道は1995年に整備が完了したようです。多磨霊園駅西側~東府中駅間の側道も整備に着手し、1995年3月31日時点の用地取得率は4.7%だったとのこと。
鉄道を高架化する際、日照などの関係から影響のある範囲で側道を整備するのが一般的です。
この道路もその側道だったのですね。
沿線まちづくりの必要性
同じ年(1995年)の第4回定例会でも発言がありますが、ここにきて展開が見えます。
◯23番(松村伊輔君) 略
まず、東府中駅と周辺地区のまちづくりについては、本年11月15日に連続立体交差事業とまちづくりについて、東京都の関係4課(都市計画局地域計画部交通企画課、同開発計画部市街地開発課、建設局道路建設部関連事業課、同道路建設部計画課)と検討・協議を行った結果について報告がなされました。
それによると、鉄道連続立体交差事業は、都道府県、政令指定都市が都市計画事業として施行することになっていることから、住民の要望の内容を含めて検討・協議を行ったもので、協議結果の第1点は「鉄道立体化の条件整備として、本事業を効果的に行うため、各種のまちづくり事業と一体的に進める」というもので、これは交通事故、交通渋滞の解消について、これまで踏切の解消が主なものでありましたが、平成4年の事業基準の改正により周辺市街地のまちづくり事業と一体的に鉄道の連続立体化を進めるというものであります。
第2点は、「まちづくりの整備手法としては、市街地が一体化となる基盤整備の手法を地域の特性にあわせて検討する必要がある」というもので、これは駅前は再開発事業、沿線市街地は区画整理事業を行うのを基準としており、ここ数年事業採択を受けた地区については、その基準どおり再開発事業と区画整理事業が連動しているとのことであります。
第3点は、「各都市における鉄道の連続立体交差事業を予定している路線のうち、事業採択は年三、四件の状況となっており、このような状況の中で、事業採択を受けるにはまちづくりに対する熟度をより高めることが重要である」というもので、これはまちづくりの熟度が高まらなければ事業採択は受けられないというものであります。
これらのことを踏まえて、今後については、まちづくりの組織化とともに勉強会を進めていくことにしております。
次に、京王線第2期連続立体交差事業化に伴う道路計画については、東府中駅東側から西武線と交差する六中通りまでの北側沿線、延長約1キロメートルを整備するもので、本年10月31日現在の用地の買収率は約8%となっております。また、道路の整備率については、前回同様の53%となっております。
以上の説明を受けた後、審査の中の意見として、連続立体交差事業の基準が改正されたといっても、周辺市街地の交通渋滞については十分に留意して東京都と交渉してもらいたいとの意見がありました。
とのことで、発言によると、平成4年(1992年)に連続立体交差事業の事業基準が改正され、周辺市街地のまちづくり事業と一体的に進める必要があるとのことです。この時点では、沿線まちづくりが進展しておらず、事業採択に載るには難しいような発言に見えます。
※これ以前に事業化された場所についても、稲城市の南武線連続立体交差事業(1989年事業採択、1992年都市計画決定)も、各駅で土地区画整理事業が行われているほか、府中駅も土地区画整理事業と市街地再開発事業が施行、中河原駅付近も市街地再開発事業が施行されています。現在計画が進んでいる連続立体交差事業も、こうした沿線まちづくりが行われるのが一般的です。
沿線まちづくりが進展せず
1996年の市議会でも答弁がありました。
◯都市建設部長(森 晋君) 生き生き都市フロンピア事業の創設が平成7年度にできたということでございまして、これは連続立体交差事業を行うについては、地域の創意工夫によって、各種のまちづくり事業と一体的、総合的に実施をしていく、こういうことでございまして、地元の市並びに、府中の場合で言えば東京都、あるいは鉄道事業者が協力をして、計画から事業までを一元的に推進するという一つのチームをつくってまちづくりに取り組む必要がある。こういうことでフロンピア事業というものが創設された。
鉄道連続立体交差というのは、ただ単に鉄道を高架化するのみでなしに、その沿線のまちづくりと一体として進める。こういうことでやらなければ、事業の採択といいますか、そういったことが難しいんだ。こういうことでございます。
それから、沿道の側道の買収でございますけれども、全体で1キロのうち、既に53%は道路の整備をしておりまして、残る部分の用地買収が約13%、平成7年度末に終わって、平成8年度までも引き続き買収を進めていくわけですけれども、この生き生きフロンピア事業が邪魔をして、用地買収が進まないかというお尋ねですけれども、それはそれで別として、側道の整備は従来どおり進めていこう。こういう考えでございます。
この発言では沿線まちづくりの状況については触れられてはいないものの、このままでは沿線まちづくりが進展せず、高架化も難しいというニュアンスが読み取れます。
新小金井街道の整備着手と、単独立体交差
◯23番(松村伊輔君) 略
まず、東府中駅と周辺地区のまちづくりに関しては、9月議会以降、進展はないとのことであります。
一方、去る11月20日に、東京都北多摩南部建設事務所から、東府中駅の新宿寄りに南北に計画されている都市計画道路3・4・7号線の未着手部分について測量を実施したいとのことで説明会を開催したとのことであります。
その説明会において、当該道路事業については、今日まで京王線の高架化計画のもとに見合わせてきたが、高架事業が当分できないとの東京都の判断のもとに、ここで当該道路事業に着手していきたいということであります。その理由としては、是政橋の4車線の開通予定が平成15年3月となっているが、その開通に合わせて3・4・7号線を開通させていくため、京王線の南側から、はけ下までの未着手部分、約 220メートルについて、現況測量と用地測量に入っていきたいとのことであり、実際には旧甲州街道から坂道を下り、本線は京王線の下を通って、はけ下までつないでいくことが示されております。
市としては、今日まで、まちづくりについての懇談会を開催してきた5つの自治会の正副会長、2つの商店会の正副会長に対して、東京都が示した3・4・7号線の道路事業の概要説明と、今後の取り組みについての話し合いを、1月末から2月の初めにかけて行うことを予定し、現在それぞれ対処しているとのことであります。
次に、京王線北側側道の道路計画の進捗状況については、道路計画区間として東府中駅東側から西武線と交差する六中通りまでの京王線北側沿線、延長約1キロメートルを整備するもので、現在、多磨霊園駅ホーム西側から東府中駅東側までの延長約 470メートルについて、引き続き用地取得計画を進めており、今年度146.94平方メートルの買収が進み、区間の買収率は 17.01%の状況となっております。
以上の説明を受けた後、審査の中で、本事業の着手は、当面難しいと理解しているが、北側沿線の道路計画は、将来的に高架になったとき、また、生活道路としても必要であり、当面は生活道路としての意味から進めていくことにしております。そのほか一部委員の意見として、まちづくりを進めてきた中で、買収済みの方には高架の先行きのことについて説明をしてもらいたいとの要望がなされました。
平成8年第4回定例会(第23号) 本文 1996-12-20 太字は筆者による
1997年11月20日には、府中都市計画道路3・4・7号府中清瀬線(新小金井街道)のうち、しみず下通り~旧甲州街道間の事業化に向けた説明会を東京都が開催しました。
この道路は2013年3月23日15時に京王線と単独立体交差する形で交通開放。これにより、第2期高架化予定区間に2本ある都市計画道路のうち1本が立体化されたことになりました。
そもそも鉄道の連続立体交差事業は道路事業の一環で行われるもので、都市計画道路が単独で立体交差してしまうと、鉄道を連続立体交差させる必要性も薄くなってしまいます。
踏切対策基本方針
そんな中、東京都は2004年6月に『踏切対策基本方針』を策定しました。連続立体交差事業の対象区間などを示したもので、これでは第2期高架化区間は「鉄道立体化以外の対策の検討対象区間」とされ、連続立体交差事業の区間からは除外されました。
その後も1年に1回程度、この第2期高架化区間について市議会で発言があったようですが、沿線まちづくりは進展せず、高架化も難しいという内容になっています。
最近の発言
市議会録で「京王線 高架化」で検索してヒットした範囲だと、2010年の発言を最後に、この高架化について発言は見つかりませんが、2019年にとある議員が一般質問で第2期高架化区間について質問しています。その答弁は、
◯高野律雄市長 略
私から、京王線連続立体交差事業の今後の展開についての御質問のうち、(1)の京王線連続立体交差事業に関する東京都の基本的な考え方及び(2)の京王線連続立体交差事業に対する市の取り組み状況につきまして、一括してお答えいたします。
東京都におきましては、都内の鉄道網は高度に発達している一方で、急激な都市の拡大と車社会の進展により、踏切問題はより一層深刻化しているとの認識のもと、平成16年に効果的かつ効率的な踏切対策の促進を目的とする踏切対策基本方針を策定し、問題の早期解消に取り組んでいるところです。
この基本方針において、京王線府中駅から武蔵野台駅までの区間につきましては、鉄道立体化以外の対策の検討対象区間として位置づけられておりますが、東京都からは、将来まちづくりの進展や周辺環境の変化が生じた場合などには、対策の一つとして鉄道立体化を検討することもあり得るとの見解が示されているところでございます。
このため、本市では、市内の踏切問題を解消するためにも、京王線連続立体交差事業は不可欠であるとの認識のもと、毎年度、東京都に対し鉄道立体化の事業化を要望しておりますが、今後も当該要望を継続しながら、将来の事業化を見据えた側道整備のための用地取得も行うなど、京王線連続立体交差事業の推進に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
令和元年第4回定例会(第18号) 一般質問 2019-12-03 太字は筆者による
◯塚田雅司都市整備部長 略
また、用地取得の状況でございますが、当該事業に対応する側道の整備済区間を除き、現在事業を進めております多磨霊園駅西側の踏切から新小金井街道までの約300メートル区間の用地取得率は、令和元年11月末現在で約73パーセントでございます。
令和元年第4回定例会(第18号) 一般質問 2019-12-03
とのことです。現状では高架化は難しいものの、将来の事業化を見越し側道整備は進めていく・・・といった発言です。
結局のところ、この空き地は、
京王線(西武多摩川線交差部~府中駅間)を高架化するため府中市が取得した側道用地だが、高架化は沿線まちづくりが進展しなかったことから事業採択はされず、現状も同様で高架化事業着手は難しい状況だが、将来の事業化を見越して現在も側道整備を進めている土地
とのことでした。
ただまぁ、何年も側道整備がされていない感じ、市の中の優先順位もかなり低く、側道整備の予算もなかなか付かないんでしょうね。
東府中2号踏切
ところで、東府中駅から府中駅方面へ少し行った場所に「東府中2号踏切」があります。旧甲州街道と交差する踏切道です。この踏切道も第2期高架化区間に含まれています。
毎日新聞によると、2004年以降4件の死亡事故が発生しており、最近では2019年11月20日に発生しています。(いずれも60歳以上)
東京都では2020年2月6日に、京王電鉄と「京王電鉄京王線東府中2号踏切の安全対策に関する打合せ」を行っているようです。議事録を読む限りでは、カラー舗装や非常ボタンの増設、踏切照明の増設等の対策は行っているようですが、立体交差施設の設置や横断距離の短縮といった抜本的な対策には話が及んでいないようです。
(航空写真上で簡易計測したところ、道路と鉄道が約22°で交差しており、現状の最低基準※「45°」と比較しても非常に鋭角な交差となっています。※道路構造令第29条第1項、鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準)
近年では2021年3月31日に踏切道改良促進法が改正、4月1日に施行され、より一層の踏切対策が求められているところです。東京都の『踏切対策基本方針』も2004年の策定から年月が経ち、そろそろ新しい方針に改訂してもいいんじゃないですかね。
撮影日:2022年1月27日ほか 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。(0000)
コメント
【多磨霊園駅付近~府中駅付近の区間を第2期高架化区間】
非常に興味深い内容でした。経緯をお纏めいただきありがとうございます。
一刻も早い、鉄道高架化の実施と、地域まちづくりの発展に向け、
行政は努力・邁進してほしいものです。また、近隣の米軍基地跡地 再開発に合わせて、
東府中駅 周辺の益々の発展に期待!です。※近隣住民より
地元民ですがあの辺は当初から高架への商店街の反対が強く話がまとまらない印象が強いです。東府中に急行が停まらなくなったのもそのせいだと言われてますがほっときましょう。
30数年前の時刻表を見ると、準特急が無く、急行が今の準特急的な位置付けですね。
周辺の開発に伴う相対的な地盤沈下も否めませんが、1980年代の時刻表を見ると、競馬場線との接続と運用の都合から急行を停車しているようにも見えました。
まちづくりは基本的に住民主体で進めていくものだと思いますので、どのようにその機運を作れるのかといったところでしょうか。
米軍基地の返還に伴うまちづくりも1つの機運かもしれません。
地元です。京王線の線路沿いに空き地があるのは知っていましたが、そんな経緯があるとは知りませんでした。纏めて頂きありがとうございます。
記事にもある通り、新小金井街道が立体交差化されたことで南北の交通もマシになりましたし、今後高架化される見通しはなかなかなさそうですね。
本当ならもっとちゃんと文献を漁るべきですが、議会録を検索しただけですみません。
東京との方針でも鉄道高架化以外の方法としっかり書かれていますし、連続立体交差事業の現在の事業化条件から見ても、条件が変わらない限り連続立体交差は無いと思います。
画像を送信できず申し訳ないのですが、空き地の部分で現在工事が行われており、どうやら車道付きの市道とするようです。
道端のお知らせには今年6月から遺跡発掘調査が行われ、来年度以降道路新設工事が行われると記載されていました。
高架化は諦めてしまったのでしょうか。
先日見てきました。後日掲載します。
おそらくですが、多磨霊園駅東側のような整備になるのだと思います。
鉄道高架化には日照権の関係などから側道が必要となり、今回整備される道路もその側道の性格があるため、議会答弁も考慮すると諦めてはいないかなと思います。
正にこのエリアの者で地主さんや古くからの方を知っていますが、上記にも書いてありました通り商店街の連中が高架にすると人の流れが自分たちにとって悪くなると頑なに反対し続けたため、京王が見限って高架にする予定で駅の改装も見送っていた多磨霊園、東府中の両駅を一気にリニューアルしたようです…
それでも尚、市のほうは諦めきれずに用地取得した部分を何とかしようとしてる感じかと思います。