多摩ニュータウン愛宕四丁目団地入居開始 豊ヶ丘でも基本設計着手の動き?

稲城市多摩市八王子市町田市にまたがる多摩ニュータウンでは、1971年の入居開始から半世紀が過ぎ、少しずつ再生の動きが進んでいます。

このうち、17住区にあたる多摩市愛宕東寺方和田の各地内では、都営住宅の建替えが進められています。旧西愛宕小学校跡地に建設が進められていた都営多摩ニュータウン愛宕四丁目団地の入居が始まりました。

多摩ニュータウン再生について

都営多摩ニュータウン愛宕四丁目団地

多摩ニュータウン17住区多摩市愛宕東寺方和田八王子市鹿島)、18住区八王子市松が谷山王下)は、東京都が新住宅市街地開発事業により整備した地区で、東京都施行地区でもは最も早い1972年から入居が始まっています。

この地区の都営多摩ニュータウン和田団地の一部都営多摩ニュータウン愛宕団地の一部都営多摩ニュータウン東寺方団地の一部建替えが進められていて、既に多摩市中沢一丁目地内の空き地に都営多摩ニュータウン中沢一丁目団地の入居が行われています。

今回、旧西愛宕小学校の跡地を種地として、都営多摩ニュータウン愛宕四丁目団地が竣工し、入居が始まりました

都営多摩ニュータウン愛宕四丁目団地

建設されたのは2016年3月末をもって閉校した多摩市立西愛宕小学校跡地です。

1号棟~5号棟の計5棟(1号棟は構造的には2棟)が建設され、入居が始まっています。この日は入居まもなくということか、駐車場はまばらでした。

旧西愛宕小学校は校舎と校庭が1段異なる地形だったものが継承され、1・5号棟と2・3・4号棟との間に段差があります。

都営住宅では「都営○○アパート」という名付けが一般的ですが、多摩ニュータウン内に限っては「都営多摩ニュータウン○○団地」と名付けられ、この住宅も同様です。

ただし、「○丁目」を含まなかったものが、建替え後には含むようになっています。

移転対象となる東寺方団地と和田団地の一部

東京都資料などによると、都営多摩ニュータウン東寺方団地都営多摩ニュータウン和田団地の一部都営多摩ニュータウン愛宕団地の一部がそれぞれ移転対象となる予定です。

これら移転後、玉突きのように東寺方三丁目和田三丁目の各地内に都営住宅が建設される模様で、入札情報によると、既に基本設計、実施設計、道路・下水道や造成の詳細設計も発注されています。
都営中高層住宅多摩ニュータウン和田三丁目・東寺方三丁目団地(仮称)基本設計
都営多摩ニュータウン和田三丁目団地・東寺方三丁目団地敷地造成詳細設計
都営多摩ニュータウン和田三丁目団地・東寺方三丁目団地道路及び下水道詳細設計
都営中高層住宅多摩ニュータウン和田三丁目団地・東寺方三丁目団地実施設計

豊ケ丘地区の基本設計?

多摩ニュータウン7住区(貝取)、8住区(豊ヶ丘)は、日本住宅公団(現:都市再生機構)が新住宅市街地開発事業により整備した地区です。

この地区では、現時点で旧公団住宅・公社住宅・都営住宅で建替えの建築はされていませんが、動きが始まっています。

都営多摩ニュータウン豊ヶ丘団地(豊ヶ丘六丁目1地内)

2023年9月には、豊ヶ丘六丁目1番を履行場所とする「都営多摩ニュータウン豊ケ丘団地現況高低・境界確定測量」が発注されたほか、11月には「都営中高層住宅多摩ニュータウン豊ケ丘六丁目団地(仮称)基本設計」も発注されています。

豊ヶ丘六丁目1番地内には、現時点では都営住宅4棟が建っていて入居中です。

ネットで検索した限りでは、豊ケ丘地内の都営住宅の建替えの計画や、玉突き建替えの手順等が見つからないので、機会があれば東京都に問い合わせて見ようと思います。

なお、2024年2月20日には、和田三丁目、東寺方三丁目、愛宕一~四丁目、乞田、貝取一~五丁目、豊ケ丘一~六丁目、南野一丁目、南野二丁目の一部が、マンション再生まちづくり推進地区愛宕・貝取・豊ヶ丘地区」として指定されています。
地区に指定されると、マンション再生に関して補助が受けられる等支援があり、多摩ニュータウンでは、既に建替えが進められている諏訪・永山地区でも指定がされています。

諏訪・永山地区

諏訪北公園

諏訪北公園

諏訪・永山地区では、都営住宅やUR賃貸住宅の建替えが進められています。

都営住宅は、諏訪四丁目地内で建設が進められていますが、今回は割愛します。

公園の再整備工事が行われていた諏訪北公園は、2024年3月17日から野球場の利用が再開され、全面的に開放されています。駐車場が大幅に広がり、この日は少年野球の観戦などでにぎわっていました。

UR賃貸住宅

多摩ニュータウン諏訪団地再生事業(先工区)

諏訪北公園の前で行われているUR賃貸住宅の「多摩ニュータウン諏訪団地再生事業(先工区)」は、引き続き建設工事が進められています。

建築本体の工事とガス工事のほかに、前回訪問時にはなかったエレベータ工事の看板も掲出されていました。

旧東永山小学校跡地

旧東永山小学校跡地で予定されている「旧東永山小学校地区団地再生事業」は、現時点では更地の状態です。

既に「旧東永山小学校地区第1住宅建設工事」、「旧東永山小学校地区第2住宅建設工事」の入札が行われていますが、請負契約は落札者による実施設計完了後のためなのか、現時点で落札者名が見つかりません。

旧多摩ニュータウン事業本部用地 跡地

建物が解体された跡地

多摩市がURから取得し、多摩市が建物を解体した旧公団多摩ニュータウン事業本部跡地です。

この土地と引き換えに、東永山小学校跡地をURと交換しています。

多摩市役所のウェブサイトによると、永山駅北側に1977年に開院した日本医科大学多摩永山病院が、2008年に多摩市に対して「東永山小学校跡地を病院として使用すること」について要望書を提出し、病院と多摩市との間で協議が続けられてきました。

2018年には、学校法人から市に対して、駅から離れている東永山小学校跡地ではなく永山駅周辺での用地の確保を要望する要望書が提出され、市は永山駅周辺で唯一適する土地(旧多摩ニュータウン事業本部跡地)を所有するUR都市機構と協議を進め、2019年に市とURで東永山小学校跡地と旧多摩ニュータウン事業本部の土地を交換する契約が行われています。


2019年7月には、市と学校法人で、病院の開設用地を東永山小学校跡地から旧多摩ニュータウン事業本部用地に変更する「確認書」を締結しています。その後、2020年11月に学校法人から市に対して旧多摩ニュータウン事業本部用地の無償貸与、造成等を含んだ依頼をし、多摩市は2022年度~23年度にかけて旧多摩ニュータウン事業本部の建物の解体を行っています。

しかし、以降、学校法人は市に対して、新病院建設費約 280億円の半額程度の財政支援のほか、年間の運営費の一部も含めた巨額の財政支援を要求し、市の財政状況からも不可能であることから、学校法人は2024年3月に2019年の「確認書」の解約を申し入れ、市も2024年5月に受け入れています。

詳細は多摩市役所ウェブサイト及び学校法人のウェブサイトを参照のこと。

学校法人のウェブサイトを見ても「金」のことしか書いていないので、結局は金なんだと思うんですが、確認書をもとに移転用地の整備などさせておきながら、病院の公共性を武器に金銭を要求し、呑めないとなると解約をする学校法人の姿勢にモヤっとします。

撮影日:2024年5月19日 記載内容は執筆日または撮影時のものです。変更があった場合も追記できていない場合があります。

コメント

  1. aksk より:

    ちょうど2020年〜頃にコロナもありましたし色々厳しかったんでしょうね

    • yunomi-chawan yunomi-chawan より:

      コロナを期に病院経営について考え直したのはあるような気がします。最初から金をせびるつもりだったのかは気になるところです。

  2. ル・ソサ より:

    愛宕四丁目団地の記事、ありがとうございます。
    迅速な対応に感謝します。

    日本医科大学多摩永山病院は、地元民としては複雑な気持ちです。
    無くなるのは困るのですが、かといって市の財政を圧迫するような援助は出来ないですし。
    やり切れない気持ちが残ります。

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